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第46話 妄想が捗るテスト勉強会

 「一颯さん、起きてください!」

 「……んあ?」


 彩葉の声が聞こえて、目を擦りながらゆっくり体を起こす。

 何で、彩葉の声が聞こえるんだと思ってしまったが、すぐに昨日は泊まったことを思い出した。

 感覚がおかしいのか、それぐらいでは驚くことは無くなったのだが……。


 「一颯さん、おはようございます!」

 「……おはよ——」


 大きな欠伸をしながら彩葉に挨拶を返そうとするも、彼女の姿を見て言葉が止まる。


 「どうしました?」

 「……何でそんな服着ているんだ?」


 目の前には白いブラウスに黒スカート姿の彩葉が立っている。

 ブラウスはサイズが合わないのか、一部分が強調され、スカートに関してはギリギリじゃないかってぐらい短くなっている。

 あと、赤いフレームのメガネをかけていた。

 

 「郁奈さんが先生をやるならこの服とメガネは必須だって言っていましたので」


 そう話しながら彩葉はかけていたメガネをクイっと上げていた。

 もしかしてノリノリなのか?


 「……ちなみに郁奈ちゃんは?」

 「先ほど、バイトに行くと言って早々に出かけて行きました」

 「タイミングが悪いな」


 俺のぼやきに彩葉は首を傾げていた。


 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「それでは始めましょう!」

 「……は、はい」

 

 着替えや洗顔など朝にやることを済ませてリビングに向かうと彩葉は1人用のソファに腰掛けていた。

 テーブルの上にノートや教科書を置いて広げて、始めようとはしているが……視線はずっと彩葉の方へと行ってしまう。


 「どうしました? わからないところがありましたか?」

 「い、いや……」


 彩葉がこちらへと身を乗り出すのはいいが、服装も相まってか、いつもよりも気まずく感じてしまう。


 「その服装キツくないか? 嫌なら着替えてもいいんだぞ」

 「大丈夫ですよ、と、いうよりも昨日の服は洗濯に出してしまったのでこれ以外に着るものがなくて」


 たしかに泊まるのは姉が唐突に言い出したことなので、着替えがないのはわかった。

 ……だからと言って、何でこんな服しか出さないんだあの姉は。


 「この服装なら一颯さんのテスト勉強も捗ると郁奈さんが言っていました!」

 

 真剣な眼差しで俺を見る彩葉。

 うん、少しは疑うってことを教えた方がいいのかもしれないな。特にあの姉の言動に関して。


 「あと、一颯さんの集中力が切れた時はご褒美をあげると回復するとか……?」

 「ご、ご褒美……!?」

 「はい、えっとたしか……」


 彩葉はスマホを取り出してじっくりと画面を見ていた。


 「まずは上2つのボタンを外して……」


 声に出しながら、ゆっくりとボタンを外していく彩葉。

 ブラウスの上部が開き、中には黒い……


 「え、ちょ……ちょっとまって!?」


 驚く俺に目もくれず、こちらへと身を乗り出していく彩葉。

 そして、俺を見て微笑む。

 微笑むというか妖艶と言った方がいいのか、言葉選ばずに言えばエロいと言った方が正確だろうか。

 そしてはだけた部分を強調するかのようにこちらへと身を乗り出し……

 

 「一颯さん、私を好きにしてください」

 

 と、囁く。


 その直後、俺の頭の中は真っ白になっていった。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「一颯さん!」


 彩葉の叫び声が聞こえると、目の前に困惑する彩葉の顔が映し出されていた。


 「え、あ……あれ!?」

 「どうしたんですか? 何度声をかけても心ここにあらずって感じで……」

 

 彩葉は心配そうにこちらを見ていた。

 ふと、彼女の首の付近を見てみると、先ほどはだけていた部分がしっかりと止められていた。

 そこを確認して、先ほどまでのは俺の脳内が作り出した映像作品もうそうであることに気づく。

 安心する反面、続きを見てみたかったと思う気持ちも……。


 「ご、ごめん……寝不足でついつい、ってかご褒美って?」

 「ご褒美は、集中力が切れるときまで秘密です」


 そう告げた彩葉は人差し指を口元にあてながら片目を閉じる……俗にいうウインクというやつだ。

 だが、その直後に顔を真っ赤にして下を向いてた。

 

 「……郁奈ちゃんにやれって言われたか?」

 「はい、一颯さんはこうすれば喜ぶって言っていました」

 

 俺は大きくため息をつきながら、ガッツボーズをしていた。

 ちなみにご褒美はコンビニで買ってきた生クリームたっぷりプリンのことだった。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「たっだいまー!」


 昼を過ぎてからしばらくすると姉の騒がしい声が聞こえてきた。

 どうやら帰ってきたようだ。


 「お、勉強やってるねえ!」


 そしてリビングに入ってくると、俺と彩葉を交互に見ていた。


 「彩葉ちゃんどうだった? 一颯の勉強捗ったでしょ?」

 「そうですね、定期的に問題を出していましたが、覚えていましたので効果はあったと思います!」


 彩葉の返答に喜ぶ姉だが、すぐに俺の顔をみると、目を細めながらニヤけた表情で親指を立てていた。

 返すように俺は笑顔で親指を下に下げる。


 「今度私もテストがあるから、同じ服で一緒にいてもらおうかなー」

 「……3年が1年に勉強を教わろうとするなよ」


 俺の言葉に姉は「チッチッチ」と言わんばかりに口元で人差し指を左右に振っている。


 「勉強よりも私のやる気を上げるために決まってるでしょ! 気分良くなったらあんなことやこんなこと——」

 「——彩葉、これに変なことされたら容赦無く通報していいからな」


 彩葉に向けて、そう告げるも状況がわからないのか、首を傾げていた。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「……今日はありがとな、それと姉が迷惑かけて申し訳ない」

 「いえ、私も楽しかったですので」


 彩葉は満面な笑顔で答えていた。

 ちなみに彼女が昨日着ていた服は完全に乾かなかったので、姉のパーカーとデニムパンツを借りていた。

 

 「もちろんテストが終わるまでやっていきますから!」

 「……俺は願ってもないけど、彩葉は大丈夫なのか?」

 「私のことはご心配なく、テスト範囲の箇所は把握済みですので!」

 

 彩葉は自信たっぷりに答えていた。

 同じ年齢なのにどうしてこんなにも差があるのだろうか……。


 「そんなことよりも私は一颯さんと一緒に——」

 「——まもなく3番線に電車が参ります」


 彩葉の話し声が電車到着のアナウンスにかき消されてしまう。

 

 「電車きましたので、また明日!」

 「それじゃな、気をつけてな!」


 最後に彩葉は勢いよくお辞儀をしてから、改札を抜けてホームに向かって走り出していった。


 「……それにしてもさっき何を言いかけてたんだろう?」


 そう思いながらも俺は彼女を見送ったのだった。


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コミュ障ぼっち、最強剣客として無自覚にバズる〜最弱魔物を真っ二つにしただけなのにバズってしまいました。え、実はS級モンスター? いやいやご冗談を〜
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