第42話 彩葉のライバル出現!?(SIDE IROHA)
「一部を除いて大型連休は大いに楽しんだと思うし、今週は休み明けでのんびり過ごせただろう!」
大半が待ち遠しかった金曜の帰りのホームルームにて担任の先生が教卓の前に立つと力強い口調で話し始めた。
「そう、来週の終わりには中間テストがお前たちを待っている!」
嬉々として拳を突き上げる担任の先生に対して、クラスメイトは一斉に項垂れていった。
「……やっぱり現実はクソゲーだ」
私の隣にいる方もその中の1人だった。
すぐに私の顔を見て大きくため息をついている。
「だが、それが終わった後に待っているのは学園祭だ! さあ歯を食いしばって中間テストを乗り切ってくれ!」
担任の先生はオーバーリアクションで必要事項を伝えると、そのまま教室から出て行ってしまった。
「だれだぁぁぁぁ! 中間テストなんてものをつくったやつぅぅぅ!!」
「ってか誰かノート写させてくれ! 連休のこと考えすぎてノートが真っ白だ!」
教室はまさに阿鼻叫喚という言葉が似合うほど、嘆く声が響き渡っていた。
「……彩葉は余裕そうだな」
一颯さんは頭を抱えながら私をみていた。
「毎日復習は欠かしてませんので」
「毎晩、日付変更まで『アケロク』やってるのに勉強の時間をどうやって確保しているんだ……?」
「帰ってからノートを見返すぐらいしかしていませんので、長くても1時間ぐらいですね」
「……1時間もノート見てたら眠くなってそのまま寝ちゃうんだけど」
そう言いながら一颯さんはカバンの中に大量のノートをしまっていた。
「……私の場合、癖みたいなものですから」
これは母親が生きていた時に強制的にやらされていたもので、体に刻み込まれているといっても過言ではない。
家に帰って教科書や参考書以外のものを見ていたら、叱責を受けてしまう。
家に帰ったらすぐに教科書やノートなど、勉強に関わることをしないと……あの時受けた痛みや恐怖がフラッシュバックしてしまう。
……もう母親がいなくなって何年も経っているのに。
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『悪い、この週末で叩き込まないといけないから、当分の間対戦はなしだ!』
その日の夜、一颯さんから連絡が入り、開口一番にそう言われてしまう。
私は問題ないけれど、中間テストで赤点があると期末テストの結果にも響くみたいなので、グッと堪えることにした。
たった数日我慢すればまた一颯さんと一緒に遊べるのだから……。
「わかりました……でも、無理は禁物ですから! 適度に休憩を取ったり甘いものを食べて体を休めないと頭の中に入らないですので」
『ありがとう、そうだ、彩葉に言おうとしてたことがあったんだ』
「何でしょうか?」
『ずっと俺と対戦してるけど、たまにはオンラインモードでやってみたらどう? 俺よりも強い相手がわんさかといるし』
『アケロク』にはオンライン対戦があり、インターネットを通じて数多くのプレイヤーと対戦することができる。
一颯さんと対戦することが楽しいので、することはないと思っていた。
『そこで猛者に揉まれれば連敗記録がストップできるかもよ?』
嬉々として一颯さんはそう告げる。
たしかに三桁を超えた連敗記録は止めたい気持ちは大いにあるので、彼のいう通りやってみるのもいいかもしれない。
「わかりました、次対戦した時は絶対に勝たせていただきます!」
力強く返すと一颯さんは「そりゃ楽しみだ」と告げ、通話を切っていった。
「では、早速やってみよう」
すぐにPCを立ち上げてから『アケロク』を起動し、オンライン対戦を開始した。
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「……もうこんな時間」
オンライン対戦を開始してから夢中になりすぎていたのか、時間の感覚がすっかりなくなっていた。
机の上に無造作におかれていたスマホを見ると、日付を跨いでいる。
「一颯さんの方が強い気がする」
ディスプレイに表示された対戦記録は30勝3敗と表示されている。
猛者がたくさんいると話していたので、それなりの覚悟で対戦をしていったが、思っていたよりも自分が勝てることに驚いてしまう。
「……さすがに今日はこれぐらいに——」
やめようと思っていたその瞬間、対戦相手が表示された。
プレイヤーネームを見ると、『あまなつ』と書かれていた。
可愛らしい名前にほっこりしてしまうが、試合が始まった瞬間、名前にそぐわない動きに戸惑ってしまう。
落ち着いてから相手の動きを見て攻撃を当てていくも、第1ラウンドは床に沈んでしまう。
「……面白いじゃないですか!」
そして第2ラウンドの開始のアナウンスがスピーカーから流れ出した。
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「やばい、動きが読まれてる!?」
こちらも必死にカウンターや投げ技で相手の動きを止めつつ、反撃をしていくが、こちらのライフが0になり敗れてしまう。
「これで終わったなんて思わないでよね!」
すぐに再戦ボタンを押して、先ほどの相手との勝負に挑んでいく。
プレイヤーネームは『いろいろ』とでていた。最初はふざけたプレイヤーネームだとバカにしてたが、あまりの強さとしつこさに気がつけば私もムキになっていた。
「……な、なんとか勝てた」
対戦してからどれくらい経っただろうか、リハビリ兼ねて2〜3試合ぐらいで終わらせるつもりが10回ぐらい再戦を申し込んでいる。
ちなみに画面の対戦成績は5勝5敗と表示されていた。
そして、すぐに同じプレイヤーから対戦の申し込みが行われた。
「わかったわよ!こうなったら、意地でも勝ちまくってやるから!」
気づかずに叫んでいたことが親の耳に入ってのか 「菜月、いい加減にねなさい!」と大声をあげる声が聞こえてきた。




