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第4話 姫島彩葉という人物

 『あ、藤阪さんですか? 姫島です!』


 夜、夕飯や風呂を済ませてから部屋でこの前インストールしたばかりのゲームをプレイしていると、スマホがブルブルと震え出していた。

 画面を見ると、LIMEの着信で発信者は『姫島 彩葉』と表示されていた。

 スピーカーモードで電話をとると、元気な彼女の声が聞こえてきた。


 「……ど、どうしたの?」


 LIMEのID交換はしたが、すぐに連絡が来るとは思っていなかったので、戸惑っていた。


 『藤阪さんとずっとお話ししたかったんですよ』

 「ふぁ……!?」


 彼女の言葉に思わず変な声が出てしまっていた。

 え、何で俺!? こういうのって普通同性でするもんじゃないの!?

 もしかして一目惚れ!?

 何か自分で言って悲しくなるけど、一目惚れされるほどカッコイイとは思ってないぞ!?


 『DPOで話せるのがいいんですけど、サービス終了してしまいましたし……リアルだとDPO以外の話せる話題がないんです』

 

 そういや、イリスからDPO以外の話をされたことがなかったことを思い出す。

 他のフレンドは仕事の愚痴やアーティストやアイドル、テレビで話題のドラマなどの話をしていたが。

 ちなみに仕事はもとより、テレビも朝のニュース以外見ないので、話題にのることはできなかった。


 「そうなの? 女子ってテレビの主演男優がカッコいいとかアイドルの新曲がいいとか話すのが普通だと思ってたけど」

 『テレビは昔からあまり見てこなかったですね。 強いていえば朝ごはん食べながらニュース番組を見るぐらいです』


 やってることが俺とほとんど変わらなかった。


 『部屋にテレビもありますけど、DPO専用となってました』

 

 姫島さんは俺か……?

 そう思ってしまうぐらい生活スタイルが似すぎていた。


 『そういえば藤阪さんはDPOで衣装に凝ってたりしてましたか?』

 「いや全然」

 『そうですか……アッシュさんも結局最後まで衣装を変えようとしてくれなかったんですよね』

 

 仕方ない、バトルしかやってなかったしステータスに関係ないのもあるし、衣装って基本ガチャでしか手に入らないのでお金かかるし……。

 

 『衣装が変われば倒せなかったボスも倒せる……気がしたんですよ!』


 そういや、イリスは気分とかやその場の雰囲気など、ことあることに衣装を変えていたな。

 それでも倒せなかったボスはいたのだが。


 「あ、そうだ! ダウンロード期間ギリギリでダウンロードした写真があるんですけど送りますね!」


 そう言ってLIMEの通知で『姫島 彩葉』さんからファイルが送られましたが表示された。

 PCとスマホを連動させているので、PCでファイルを開くと中には大量の画像が入っていた。

 1枚開いてみると、白いモコモコのセーター姿で両手を広げているイリスの写真だった。

 これはたしか、イベントの報酬で手に入る限定衣装だったので付き合わされたな……。


 「私のおすすめはですね——」


 それから姫島さんの写真レビュー会が始まった。

 そういえば、新衣装が出た時、いつもこんな感じであったことを今更になって思い出した。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 

 「……姫島さん」

 「どうしました?」

 「時間大丈夫?」


 部屋の壁掛け時計をみると、もうすぐ日付が変わる時間だった。

 気がつけば結構な時間話していた気がする。普通の通話じゃなくてLIME通話でよかったとホッとする。


 「もうこんな時間なんですね、楽しかったから時間忘れてました」


 半分以上姫島さんが話していたけどね……。


 「楽しんでもらえて何よりだよ……」


 俺は思っていた以上に疲れたけど。


 「やっぱりDPOプレイヤーの人と話をするのが一番楽しいですよ、欲を言えばアッシュさんと話せるのが一番楽しかったんですけど」


 彼女の言葉がまるで槍のように俺の体にグサグサと刺さっていく。

 たしかにアッシュを操っていたのは俺だ。実は俺がアッシュの中身だと言えば姫島さんは信じてくれそうな気がする。


 ——いつまでゲームなんてやってるの? いい加減大人になりなよ

 

 そう思っても、過去の出来事が俺を止めてしまう。


 「藤阪さん?」

 「うん……あ、ごめん、どうしたの?」


 どうやら過去のことを思い出している時に何度か呼ばれていたようだ。

 

 「また明日も連絡していいですか?」

 「俺は構わないけど、毎日話してると内容がなくなってくるんじゃない?」


 基本的にゲームが趣味なので、それぐらいしか話せる内容がない。

 DPOのことなら姫島さんもついていけると思うが、それ以外のゲームになると聞いていても面白くはないと思う。


 「そういえば、最近になって『機神』ってゲームダウンロードしたんですよ。 朝のニュース番組のCMでやっていて、気になってたので」

 「マジか……」


 そのゲームは彼女から連絡来る前にプレイしていたゲームだ。

 俺も同じようにCMで知り、DPOのサービス終了してやることがなかったので暇つぶし程度にやっていたものだ。

 オープンワールド系のRPGでDPOとは違い、コマンド入力式のタイプだった。

 

 「もしかして……藤阪さんもプレイしてます?」

 「やってるよ、そこまでキャラ育ててないけど」


 DPOはプレイヤーキャラを操作していくは機神はガチャで手に入れたキャラを操作していくものになる。

 自分にあったキャラを手に入れるため、とりあえずログインボーナスは欠かさずやっているが。


 「よかったら一緒にやりましょう!」


 このゲームは複数人で遊ぶことは可能だ。

 チャットとかネットゲーのようなことは無理だけど。


 「それこそ、こうやって通話しながらでしたら楽しいですよ!」


 ゲームしながらなら、話題に尽きることはないと思うけど……。


 「……そうだね」


 そう言ってもらえることは悪くもないし、俺も一緒にゲームのできる知り合いができたことは喜ばしく思う。

 

 「って、そろそろ寝ないとですね、それではおやすみなさい! また学校で!」

 

 姫島さんは早々に通話を終了させていった。


 「俺も寝るか……」


 PCをシャットダウンさせてから、部屋の電気を切って布団の中に入っていった。

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コミュ障ぼっち、最強剣客として無自覚にバズる〜最弱魔物を真っ二つにしただけなのにバズってしまいました。え、実はS級モンスター? いやいやご冗談を〜
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