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第25話 ミッション:テスト勉強に備えよ!

 「お勉強には甘いものがいいから持ってきたわよ」


 4月も終わりを迎えようとしている土曜の昼下がり、俺は姫島家の姫島彩葉の部屋で教科書を見ながら頭を捻っていると突如、部屋のドアが開いた。

 ドアの外には彼女の祖母、きく江さんが立っており、手にはたい焼きが載った白いお皿。

 中に入ると、テーブルの上に置いていた。


 「……ありがとうございます」

 

 きく江さんにお礼を言うと、にっこりとした表情で俺の顔を見ると「それじゃお勉強頑張ってね」と言って、すぐに部屋から出ていった。

 

 「これ駅のすぐ近くにある和菓子店のたい焼きですごく美味しいんですよ!」


 そう言いながら彩葉はたい焼きをとっていく。


 正方形のテーブルの上にはたい焼きが置かれた白い皿の他にノートや教科書、筆記用具が散乱している。

 何故かというと……。


 「何で連休前にテスト何かやるんだろうな……」

 

 と、目の前に座る彩葉に問いかけるが、たい焼きを食べていたので困惑した顔でこちらを見ていた。


 「……うん、タイミングが悪かった、ゆっくり味わって」


 そう伝えると彩葉は何度も頷いていた。

 俺はそのまま天井を見上げて、数日前のことを思い出していた。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 

 「もうすぐ5月の大型連休がやってくるな」


 その日の帰りのホームルームにて担任が教室に入ってくるなり、そう話を切り出した。

 俺もそうだが、その時教室にいた誰もが「何を言っているんだコイツは」と思ったことだろう。


 「今年は8連休になるみたいだから、バイトに明け暮れたりどこに旅行行くのもいいかもしれないな」

 「そうなんすよね! それを見越してこの前ゲーム買いまくったんですよ!」

 「俺は夏休みに旅行行きたいからバイトのシフトいれまくって——」

 「私は両親と一緒に北海道にいくんですよ!」


 担任の話に次々と大型連休の予定を話していくクラスメイトたち。

 ちなみに俺は何も予定もない。毎度の如くゲームをやっているうちに終わるだろうと思っている。


 「なるほど、これだけ長い休みがあれば色々なことが出来るだろうな」


 担任の言葉に予定を話して行った連中は一斉に担任の言葉に頷いていく。


 「テストで赤点にならなければの話だけどな」


 その一言にクラスメイトたちが一斉に驚きの声をあげる。


 「ってどういうことですか!?」

 「どう言うことってそのまんまだな。 大型連休の前日にテストがあるんだが、もしかして前に配った年間スケジュールを確認してないのか?」

 「ちなみに、そのテストで赤点になったらどうなるんですか!?」

 「大型連休3日間、補習が行われる」


 補修という言葉に一瞬にして教室の中がざわめき出した。

 俺のその中の1人に当たるのだが、それに反して彩葉は顔色ひとつ変わっていなかった。

 

 「……もしかして彩葉知ってた?」

 「知っていましたよ、先生のおっしゃってる通り年間スケジュールに書いてましたので……」

 「うわ、真面目か」


 追い討ちをかけられたかの如く俺は頭を抱えていた。

 カレンダーを確認すると、大型連休の前日が来週の月曜になっていた。

 とりあえず土日でどれだけ詰め込めるかが勝負になってくる。

 

 「月曜だけ我慢すれば大型連休が待っているのに……この学校の教師は鬼かよ」

 

 クラスメイトたちの叫び声が教室内に広がっていく、まさに阿鼻叫喚の光景とはこのことを指すのかもしれない。

 その光景を吹き飛ばすように、担任が勢いよく教卓を叩き出した。


 「学生の本文は勉学にあるんだ! 大型連休が欲しければ勉学に励め! 以上だ!」


 最後にそう告げた担任は教室から出て行った。


 「土曜彼ぴとデートだったのにどうしよう!」

 「急いで帰ってカンペ作らねーと!」

 「この2日は徹夜覚悟だ! エナドリ買いまくるぞ!」


 教室に残されたクラスメイトたちは急いで教室から出て行った。

 俺も土日でどうにかしないと……


 「そうだ、一颯さん!」


 帰ろうとカバンを肩にかけると彩葉が声をかけてきた。


 「どうしたの? あ、土日遊ぶのは厳しいかもしれない、何とかして頭の中に詰め込まないと——」

 「それだったら勉強会しませんか?」

 「勉強会……?」

 「はい! 一度してみたかったんですよ!」


 彩葉は遠足前の小学生みたいに顔を輝かせていた。

 

 「さすがにそれをする時間がもったいないかな……」

 「それに一颯さんの場合、1人だと誘惑に負けてゲームとかしちゃうと思います」

 「……正論すぎて何も言えない」


 休憩でちょっとのつもりが、何時間もやっていた……なんてことはゲームが好きな人間なら誰しも経験することだろう。


 「それは彩葉も同じことじゃないのか?」

 「私は授業でやってきたことは見直してるから大丈夫です!」


 自信たっぷりに答える彩葉。

 俺もそんなこと言ってみたいと思い、ため息が漏れ出してしまう。


 「……わかったよ、それでいつにする?」

 「流石に今日は急ですので、明日の朝にしましょう! 場所は——」

 「明日うちは無理そうかな……郁奈ちゃんが友達連れてくるとか言ってたような気がしたから」

 「それじゃ私の家で!」


 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 そんな経緯があり、今に至るのである。

 甘いこし餡たっぷりのたい焼きを食べたのか、先ほどに比べたら理解度が上がってるような気もしていたが、それでもつまづくところは出てくる。

 

 「彩葉、これなんだけど……」

 

 教科書に載っているつまづいた箇所を指差す。

 

 「それはですね、この公式を当てはめて……そちらで説明をしたほうがいいですね」


 そう言い出すと、白紙の用紙とシャーペンを持って俺の隣に座った。

 説明するのに近づく必要があるのか、彼女とほぼ至近距離になっていた。

 相変わらず、使っているシャンプーの匂いが鼻の中に忍び込んでいく。


 「それで、こうなるんですけど……わからない箇所とかありましたか?」


 匂いに釣られていくうちに説明が終了していた。

 彩葉が持ってきた用紙には多数の公式が書かれているが、全く理解できなかった。


 「……ごめん、もう一度聞いていい?」


 彼女の前でもう一度両手を合わせる。

 彩葉は不満そうな顔を見せることなくもう一度説明してくれた。


 ——ちゃんと説明を聞いても理解するまでに相当時間が必要になっていた。

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コミュ障ぼっち、最強剣客として無自覚にバズる〜最弱魔物を真っ二つにしただけなのにバズってしまいました。え、実はS級モンスター? いやいやご冗談を〜
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