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晶はこの少女の語る事に耳を傾けている自分が可笑しくて仕方なかった“雪女”それは子供の頃から幾度となく聞いた事があった子供の頃、兄の薫が見ていたアニメで見た妖艶な女性とは掛け離れてはいるがその名前は知っている、では子泣き爺やぬりかべ、一反もめんもいるのかと聞きたくなる衝動に駆られた晶であったが流石にこれはバカにしているとその言葉を呑んだ、しかしそのアニメを薫と見ていた時、薫の言った事を思い出すと晶はそれが口を突いて出た。
「ねぇ雪音ちゃん昔から疑問だったんだけど雪音ちゃん達って夏はどうしてるの?」
それを聞いた雪音はこの世の終わりかと言わんばかりの疲弊しきった表情で大きなため息をつくと晶に答えた。
「お姉ちゃん、と言うか人間はみんな勘違いしとるんやて、あのぉ何て言うたかな忘れてもーたけどウチらの事面白おかしく書いた外国人のおっさんおったやろ、あの話に引っ張られすぎや何で好き好んで雪山に現れんとアカンのやって話よ何もあらへんくっそ田舎に現れるかいちゅー話しやで、ウチらはそりゃー快適なトコで何不自由なく暮しとんねん忘れんとってや」
晶は『はぁ』と気の抜けた返事を返した夢や憧れを抱いていた訳ではないが何かが確実に自分の中で壊れるのを認知した、すると薄暗かった食堂の照明がカチカチと全点灯し雪音は慌てて又、姿を消したテーブルの上には子供用の服だけが置かれ見様によっては晶へ声を掛けづらい状況を醸し出していた。
「道明寺帰っていたのか?」
晶が振り返るとそこには特救関東支部隊長、深見海斗が立っていた。
「あっ隊長お帰りですか?」
「あぁスマンが2、3日休む留守中頼んだぞ」
「ですね、災害続きで半年くらい休まれてませんもんね、ゆっくりして下さい」
そんな世辞よりも晶には聞くべき事があったのだがなかなか喉から出てこず恨めしそうな顔で深見を見た、すると深見の表情がみるみる変わってゆくのだそれは表情では収まらない目からこめかみ辺りにかけ無数の血管が浮き出て下顎の幅は耳のラインを越えていた表情と言うよりも顔の造形自体が変化していた、そして深見の眼球から白い部分が消え去り漆黒に染まった瞬間、深見は目の前の雪音の服に拳を打ち付けその服を穿つとテーブルは粉微塵に破壊された。




