45
晶はてっきりあの僧侶の孫が職場見学にでも来ているのだろうと思っていた少女、いや幼女と言った方が的確な雪音と呼ばれる子に晶は注視した。
「雪音よ、お前この姉ちゃんにしばらく付いとれや」
「何でや」
「そりゃお前、あれや女は女同士言うやろ」
すると雪音の能力を知らぬ晶はそれを丁重に断った当然であるそもそも晶側から園を訪れる事があっても特救関東支部は職場見学は行っていないのだ、雪音も気が乗らなかったのか晶の言葉に安堵すると薫から借りたタブレットに引き続き目を落とした。
「それなら問題あらへん姉ちゃんトコに四六時中、眉間に皺寄せて辛気臭い顔した海斗ゆう奴おるやろ龍一郎お兄さんの命令言うたら二つ返事や、なぁ裕二」
巌は唐突に唐突過ぎる事を言い出し晶の脳内は大量の疑問が交錯し絡み合うと言葉自体を失い口は言語を忘れた、すると裕二が巌に言った。
「海斗兄さんが兄貴の言う事を、それはないでしょ逆に雪音ちゃん処分されますよ」
「アホな事言わんとって、ウチがおっさん連中に負けるわけあらへんやろ」
晶はようやく整理がつくと先ずはその海斗と言う人物が隊長、深見海斗であるかを聞いた。
「せやで、ワシの愚弟であり裕二の愚兄や、ん?あいつ深見ちゅう名前やったか裕二?」
あまりの驚きに晶の口はだらしなく開け放たれたままで巌がそこに指を入れてきた、晶は無表情にその指を払うと矢継ぎ早に隊長との関係や生い立ちを聞いてきたが巌は振り返ると薫に聞いた。
「姉ちゃんも霧島の爺のトコ連れてったが早いんちゃうか?」
しかし今、優先すべき事は明らかでそれに晶をこれ以上巻き込む事は憚れる、がしかし状況から今後晶達が害星人との接触の恐れは濃厚で晶の身を案じとりあえずタブレットで雪音を釣ると晶に付いていてくれないかと頼んだ。
「兄ちゃんが言うなら、まぁしゃあないなぁ」




