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巨人が現れた時点で高千穂には図らずして携帯とは一定の距離を置くお年寄りばかり、職員が数名残り動画にそれを収めていたが地方公務員である彼等に上からの指示は絶対、こうして巨人の出現は秘匿されていた、しかし晶は懲罰必至にも関わらずボディカメラの映像を私物の携帯へ転送すると今この場で人目に晒しているのだ。
「こっこれは⋯素戔嗚⋯」
いつしか応接セットの周りには皆が集まると慈照は鎮痛に呟いた、その名は広く知られ伝説も有名であったがしかし有名無実、実際存在していたなど誰が信じようか、だが慈照がそう言うのだ見た目からだけでなくそう言わせる何かを感じ取っていたのだ、すると動画を見ていた巌が感心しながら言った。
「こいつ、ものごっつスゴいな、感心するわ」
当然、素戔嗚に対しての言葉と思われたがそれは違った巌をもってしてそう言わせる阿修羅の如く巨人へ立向う佐久間の姿、動画を見る面々はやはり素戔嗚の巨大さと禍々しさに怯えてたが晶は佐久間の一挙手一投足、巌はその闘志を奥歯を噛み締め眺めていた、重苦しい空気の中動画が終わると巌が言った。
「姉ちゃん、この人ようけ勲章貰ったんちゃうか」
晶は巌の言葉に巨人でなく佐久間を讃える者が自分以外にいたのだと驚いた、しかしその佐久間はもう戻らないのだ、だが晶はその意思を引き継ぐと固く誓っていた、そしてここに訪れた理由は己の使命を全うするにあたり訪ねたのである、決して興味本位で怪異に触れようとしてるのではないのだ“敵を知り己を知れば百戦危うからず”であった。
「佐久間はひとりで闘い勝った、しかし⋯」
「姉ちゃん可笑しな事言うたらアカンわ、兄ちゃんボロボロやが生きとるやないけ」
晶の持ち込んだ映像には佐久間のボディカメラの映像も残されていた、佐久間は互いの健闘を讃えるかの様に巨人へ近付くと横たわる足を撫でヘナヘナと崩れ落ちた、カメラには巨人の蹂躙した瓦礫の町が拡がるとそこで映像は突然途切れ再開した時そのカメラは佐久間自身を映していた。
「そのヘルメットの中には切り取られた佐久間の頭が収まっていた⋯少し前まで会話してたのに⋯」




