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目の前にいる裕二は外装アーマー装着の自分を投げ飛ばした男であると晶は認識していた、晶は改めて裕二を見回したがそんな力があるとは到底思えない細身でその腕は女性と見紛うばかり抵抗されなければ間接をきめそのまま折るなどいとも簡単だろうと思えた、しかしそう見えて尚、あの行為に至る事が可能という事なのだそれは常軌を逸してる、そうだ“常識を疑え”戻った記憶と高千穂での経験は晶の中に特異なバイパスを開通させていた。
途端に目の前の裕二は姿形こそ人間ではあるが薄皮一枚の下は得体の知れない存在であると晶は想定した、であれば其れを踏まえて兄の薫でなく裕二に聞いた。
「あの日、貴方の背後にいた物って何なんですか?惚けなくても結構です時間の無駄ですから」
晶は確証を持って裕二に聞いた、そもそも裕二の性格的に惚けるつもりはなかったが晶の真剣な眼差しに敢えて惚けたくなる衝動に駆られていたがそこに薫がやってくると時間を巻き戻した。
「何の用だ晶、俺らは今忙しいんだ」
だが晶は掌で薫の言葉を制止すると裕二の答えを待ち凝視していた、薫は裕二と晶を交互に眺め状況を把握し行方を見守る事にしてソファーに深々と座り直した、裕二も当初ははぐらかすつもりであったが晶の真剣な眼差しにそれを改めて事実を語った、薫は黙って聞いていたが確か押上での記憶は庄崎が消去した筈であったならば何故それがと薫は晶に聞いた。
「お前記憶は?」
「やはりあの女か」
晶は左目辺りを指で縦になぞった、そして薫の問いに答えるべく携帯を取り出すと中に保存された動画を見せた。




