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「ほんまわがままなジャリやのぉ、ブクブク、ブクブク⋯」
薫はダメですと巌の口を押さえようとしたがそれは必要なかった、巌は一瞬で氷像と化していた。
「えっー!!!」「えっー!!!」
薫と裕二は絶妙にハモり叫んだ、慈照は目を剥いて口は半開きで雪女を見たが首を振り娘を指差していた。
「おっさん、いっぺん殺したろか」
雪女は申し訳なさそうに雪音の後頭部を押し謝罪させると巌を戻す様に言われ雪音は渋々それに同意した。
「⋯太りやがって!」
一同、当然雪音を見ると行動を見守った、巌は何が起こったかすら気付いていない一瞬の沈黙の後、雪女が恥ずかしそうに口を開いた。
「申し訳御座いません、少々甘やかし過ぎました⋯」
皆、何も言えなかった巌はどうしたと裕二の肩を揺らす雪女ですら出来なかった事をいとも簡単にやってのけたのが子供、身長は120cm程度、女子であるなら小学校低学年、6歳か7歳程度であろう常世の理で現世の人間とは違うのはわかるが今後の成長過程を考えればこの子が親の世代に到達した時の能力を考えると畏怖の念を抱かざる得なかった薫は思った害星人は人質の人選を間違ったのだと、しかし同時にこの子が何故いとも簡単に連れ去られたかと言う疑問も浮かぶが丸く納まったのだ藪を突く事もあるまいと心にしまった。
「あの雪女さん」
慈照は雪女が去ろうとしている事を思い出すと雪音のやった事と合わせ質問を投げ掛けた。
「申し遅れました私小雪と申します、えっと⋯」
「あっ慈照と申します」
「慈照様何か御質問が御座いますのでしょうか?」
「はい、大変申し上げにくいのですが小雪様は何と申しますか、貴女様は⋯」
歯切れの悪い慈照に変わり薫が意図を汲み忖度なしに小雪に言ってのけた。
「小雪さん、ハッキリ言いますが貴女はここ帯広の市民を死に追いやった責務はどの様にお考えなのでしょうか?事情があるとは言え決して許される事ではありません」
慈照は若干ニュアンスの違う発言に訂正を入れようとしたが小雪はそれを含め答えてくれた。
「市民の皆様は死んでいる訳では御座いません、しかし私の行為により数名の方が亡くなられた事は事実、申開きの余地は御座いません、その贖罪は自らに掛ける所存で御座います」
何をもって贖罪と為すか迄は語らなかったが薫は“市民は死んでる訳ではない”この言葉に疑問を抱き更に問いただそうとしたが慈照がそれを止めた、先程雪音のやった事が全てを物語っていたが薫はそれに気付いていなかったのだ。
一向はスロープを登り外へ出た、陽こそ差してはないが吹雪は止み小雪がちらつく程度、そしていつもと変わらぬ人の行き交う姿に薫は驚きを隠せなかった。




