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突如スロープを降りてくる喧しい足音に慈照は巌の側で立ち上がると明らかに人ならざる群れに警戒を示した、雪女はゆっくりと振り向きその行方を追った、大群は雪女の背後で止まり整列するとその中の一体が列を割り前に出てきた。
『最も厄介な相手を貴女が始末してくれるとは正直驚きを隠せませんね』
その全身白尽くめの人型に口はなかったがその声はちゃんと届いていた、慈照はこれが皆の言う害星人なるものかと凝視すると通じるかどうか霊視を施してみた、空虚、空洞、伽藍堂の中にはただ一際灯る“正義”が見えた、立ち位置が違えばこうも正義の捉え方が違うのかと今更ながら慈照は頭を抱えた。
『その老ぼれは知らぬ顔ですね、3人、そいつとその雑魚、もうひとり脅威がいると聞いてましたが、まぁ良いでしょう』
慈照は倒れる巌の前に出ると害星人に発言を具申した。
「申し訳ありません、その老いぼれに発言をお許し下さい」
『……宜しいでしょう、ただ命乞いなら無駄ですが』
「感謝致します、聞いたところあなた方は肉体を持たない存在と言う事ですが⋯個々を区別する名前などはお有りになるのでしょうか?」
害星人の『この老ぼれ最期に何を言い出す』と失笑が直接伝わってくる、そして間抜けな事に懇切丁寧にそれに答えた。
『勿論御座います、がっお教えしようにもあなた方地球人の言語体系、いやそもそもその未熟な声帯では発音すら不可能、ですからお教えしたいのは山々ですがその手段は御座いません、申し訳ない最期の質問がこの様な形で結するのは』
慈照の口角は不敵に吊り上がると言った。
「いえいえ、不躾な質問で此方こそ申し訳御座いませんでした、では失礼致します」
害星人は惜別の言葉とでも思ったのだろうかならばその望みを叶える為に一歩踏み出すと突如薄皮に包まれた感覚に襲われ自由を奪われた、視界は生きていたがそれは霞みピントがボケる聴覚は必要なかったが若干ハウリングが起こり聞き取りづらかった慈照の問いに害星人は具体的には答えていないが意識下では当然思い浮かべており慈照はそれをコピー&ペーストすると害星人の意識体を拘束した。
「もう良いですよ巌さん」
それを聞いた巌はムクっと起き上がり胡座をかくと言った。
「どや先生、ワシの名演技レッドカーペットも夢やあらへんやろ?」
「⋯はっはは、まぁ努力次第では」
慈照は困り顔を浮かべながらやんわりとそれを否定した。




