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眼下の帯広駅は白く霞み辛うじて駅舎の輪郭がわかる程度、時間が経つにつれ吹雪は酷くなりその輪郭も怪しくなると駅前には一際濃い真白な球体が現れた。
「裕二さん来ましたよ」
裕二はベッドの上で『あっそ』と愛想なく相槌を打つと天井を見上げていた、薫は又、ため息を付き球体の行方を目で追った球体は行先がわかっているのか迷う事なく駅舎へ侵入し姿が消え薫は慈照に連絡を入れた。
「先生、雪女が真っ直ぐ其方に向かっています」
「だそうです巌さん」
慈照が巌に言うとコクリと頷き屈伸を始めた。
「ほな先生、始めよかぁ」
慈照は巌から離れると駐車車両の影に身を潜めた、入口のスロープからはイントロにのせて歌手でも現れるのか白い冷気が雪崩れ込んでくると天井の配管が軋みだした、巌は肩を回しながら言った。
「3回目やぞ勿体つけんとちゃっちゃと降りてこんかい」
雪崩れ込む冷気の層はどんどん厚みを増しあの雪煙が現れると入口を塞いだ、駐車車両のタイヤが一斉に萎みセキュリティが作動すると彼方此方でアラート音の大合唱が始まる、すると入口を塞ぐ雪煙から白い塊が吐き出されたかと思うとその中からスキニーデニムにレザージャケットを着た女性がヒールを鳴らしスロープを降りてきた慈照は天井にあるカーブミラーでその姿を確認すると唾が気管支へ入り思わず咳き込んだ。
「お前なぁ人前に出るならイメージちゅうもんを大事せなあかんてお爺ちゃん驚いて咳込んではるわ」
巌が笑いながら雪女に言った。
「黙れ、お前と話す言葉などもたぬ」
「いや、話せるんかい!まぁええ、ちゃっちゃと終わらせるしかかって来なさい」
スロープにいた雪女は鬼の形相になりその姿は霧散すると次の瞬間、巌の背後に現れ息を吹きかけた、巌は躱わすでもなく冷たい吐息を後頭部で受けるとポリポリと襟足辺りを掻いた、雪女は何かを感じサッと後方に霧散して逃げた、巌はゆっくりと振り向き大きなため息をついた。
「あぁ姉ちゃん先に言うとくわ、これは時間稼ぎやあんたを操っとる奴を見つけるまでの、せやからワシにあんま本気出させんでくれるか」




