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慈照一行は札幌には戻らず途中のトマムに宿をとった、札幌から帯広は距離があり天候が崩れれば足止めを食らう恐れもあった、それに庄崎からの要請と言う名の強要が再三あったのだ当然だろう帯広と言えば北海道でも札幌、函館、旭川に継ぐ街である政府は焦っているのだ、だが巌はいつでも倒せると言う、鎮める手段が見出せなければ薫は不本意であるが巌に任せる選択をも視野に入れていた。
帯広での怪事件が警戒されているのか比較的近郊であるトマムはハイシーズンであったが人はまばらでチェックインしたホテルは閑古鳥が鳴き支配人からは大歓迎を受け2部屋頼んだのだが4部屋用意して貰った、一同はとりあえず小休止を挟み食堂の大きなテーブルに入手した資料を広げた、巌は頭脳労働は無理だと早々と隣のテーブルへ移動してビール瓶片手に舌鼓を打ち薫からはとりあえず寝ないで下さいと釘を打たれていた。
「やはり雪女の伝承は主に東北地方、京都や愛媛でもありますが北海道は全くですね」
薫は頭を掻き悩んでいた、それを慈照が諭す。
「清井君、雪女と断定すると視野が狭まりますよ確率は高いですが確率は所詮確率ですから」
「しかし⋯」
薫は焦っていた川崎の一件迄はあくまで庄崎からの依頼であったが今は請けているのだ、請けたからにはクライアントの意向に添わなければ信用を失う、正直、今すぐゲレンデに巌を押し込んで帯広に戻りたい気分であった。
「あれですかね“温暖化”その所為で北海道へ北上して来たとか?」
裕二が最もらしい事を言い出すと薫と慈照は一瞬顔を見合わせたが無言で首を振ると資料に目を落とした、裕二は別の線から攻めていた、新聞、雑誌、学術資料でなく民間の情報から手掛かりを探っていた、薫は学術資料から離れて古地図を眺めていた、慣れた手つきで図書館の位置を古地図へ落とす、しかしそこで手を止めたよく考えれば市内の状況を考えるに雪女は市内全域に現れているのだ、薫はタブレットから地図ページを閉じながら言った。
「アイヌと何か関係があるのでしょうか?」
「ウパシ⋯何か聞いた事あんなぁ」
巌はビール瓶片手に振り返る事なく呟いた、確かに明治あたりまで帯広はアイヌの村落があった、であればあの雪女と思われた存在は精霊の類い川崎の焔の精霊と同じでありやはり害星人が裏で糸を引いている可能性が濃厚になってきた、では行うべきは雪女ではなく害星人の殲滅であるがその手習は慈照にも薫にもなかった、薫は裕二に聞いた。




