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東の山の稜線が赤味を帯び見上げると稜線には朝日を背に受ける禍々しく巨大な何かが今まさにその稜線を越えようとしていた。
「さっ佐久間っ、どっどうするんだ」
晶は努めて冷静に特救隊員として然るべき態度で住民に接していたが背負う老婆も気にせず腰を抜かしそうに狼狽していた、稜線からは逆立つ髪を黄金に染め威風堂々、巨人が今まさにその稜線を越えてきたのだ、右足がその山肌を荒々しく削り岩や木々が崩落してくる、晶は佐久間の返答も聞かず車両へ急いだ、背負う老婆をその場に置き身軽になって自分だけでもと悪魔が囁く、晶は首を振り後ろを向く事なく走った。
「どげしてスサノオ様はあぎゃん荒ぶっておられるとやろか」
背中の老婆がポツリと言った。
「晶、今パイロットを救助した県道50号を2km程入った地点だ黒煙が見えるからすぐわかると思うピックアップしてくれ」
佐久間からの連絡を受け晶は老婆を席に座らせるとバスを急発進させた、バックミラーには既に片足が高千穂の地を踏み締めているのが見えた、富士で見た物と同じであればその大きさは50m程その一歩でどれ程の距離を移動出来るのだろうか、数kmの距離はあったが数歩で踏み潰される可能性もあると晶はアクセルを更に踏み込んだ、バスは左折し県道50号に入った辺りは大分明るくなってきた同時にあれが踏み出す一歩一歩に大地が微かに揺れ遠くに黒煙が立ち昇っているのが確認できたバスは右折して橋を渡ると道路上で佐久間がパイロットに肩を貸し手を振っていた。
「いいぞ出せ」
「佐久間、高校に戻るのはヤバくない」
晶が右手の山越しに見え隠れする存在を指差した、中心部に近付くにつれ振動と激しく木材が弾ける音が聞こえてきた、このままであれば高校へ戻る過程で接触の可能性が高い、佐久間は深見へ連絡を入れた。
「隊長、装備ヒトマルキューの承認お願いします」
「許可する、そちらの座標を送れ」
「了」




