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305  作者: 灰谷 An
第1章・1年次、全日本Jr.クラブ選手権 編
3/22

003:セレクション試合

 40分間のアップが終了する。

 セレクション生たちは話し合って、交代は各Qの終了時点で済ませるという方向に決まった。

 なので1人2Qは出れる。

 そしてそのチーム分けは、ジャンケンで決めた。

 もう試合をしたいという気持ちが前に出ていた累は、ジャンケンで勝利をして1Q目に出る事が決まり喜ぶ。

 他の試験生たちも出るタイミングが決まる。


 

【セレクション生チーム】

PG:牛沢 千隼(うしざわ ちはや)(150cm)

SG:池田 累(156cm)

SF:酒井 和利(さかい かずとし)(157cm)

PF:富増 正(とみます ただし)(159cm)

C :森下(もりした) ふくや(161cm)


【レッドスターズ2軍】

PG:土屋 光太郎(つちや こうたろう)(2年生167cm)

SG:浅島 貴一(あさじま きいち)(3年生169cm)

SF:安藤 誠(あんどう まこと)(3年生179cm)

PF:畑 道良(はたけ みちよし)(2年生171cm)

C :内藤 信親(ないとう のぶちか)(3年生171cm)



 試合が始まるまで累は屈伸したり、ジャンプしたりと準備を整えている。

 するとそこにPGの千隼がやって来た。



「なぁお前。蓮と話してたみたいだけど知り合いなのか?」


「え? まぁミニバスの時に少しやった事があるから」



 千隼は累が親しそうに蓮と話していたのが気になり、知り合いなのかと聞いたらしい。

 別に親しいというわけでは無いが、ミニバスの時に戦って話したんだという事を伝えた。

 すると「ふ〜ん」と、もう興味なさそうに返って来た。

 直ぐに興味を失ったので累は「えぇ〜…」と言う。



「千隼くんは、蓮くんと知り合い?」


「俺は、あんなナルシスト野郎は嫌いだ! レッドスターズが強いから入りたいだけで、蓮なんて大嫌いだ!」


「そ そうなんだ……」



 自分も聞かれたので聞き返してみると、凄まじい剣幕で大嫌いだと返された。

 まさかそんな勢いで言われるとは思っていない。

 累は何も言い返せず、会話が終了してしまう。

 口下手な累は向こうが沈黙してくると、こちら側も何も言えずに気まずい空間が広がる。

 すると千隼は累の襟を掴んで自分の方に引っ張った。

 首元がグイッとなって「うぇ!?」となる。



「おみ、見てみろ。あの先輩」


「ん? えぇと……安藤先輩だっけ?」


「あぁ安藤 誠先輩だ。あの人はバリバリ、スターズのレギュラーだぞ」


「え? レギュラーなのに出てるの?」


「怪我をしたって聞いてから、きっと調整で2軍の試合に出るんじゃ無いか? あそこだけは気をつけるぞ」



 SFとして出場する安藤は、バリバリの1軍選手。

 ならば、どうしえ1軍の試合に出るのか。

 それは2月の練習試合の時に、足首の怪我をしてしまって2軍に落ちていたのだ。

 今回はきっと1軍に上がれるかという事件なのだろう。

 だから死ぬ気でくるから、そこは気をつけるべきだと千隼は累に説明した。

 そして監督の大輔がセンターサークルに立つ。

 首にかけてあるホイッスルを加えてピーッと吹く。

 審判は大輔が執り行う。



「さぁ試合を始めようか!」



 大輔は選手たちを整列させる。

 そして「気をつけ、礼!」と叫び、選手たちは「よろしくお願いします!」と互いに挨拶する。

 センターサークルにCの森下と内藤が並ぶ。

 大輔がボールを持って2人の間に立つ。

 2人の顔を見て準備が整っているのを確認してから、ボールを上に上げてティップオフする。


 空中に上がったボール目掛けて、2人の選手がジャンプしてボールを弾こうとする。

 セレクション生の森下は貰ったと思った。

 しかし10cmも身長が違うのもあり、後半から空中で内藤の方が伸びて来た。

 そのままボールを先に後ろに弾き、試合は2軍チームの方からスタートする。



「1本 作って行きましょう!」



 PGで2年生の土屋がボールを保持する。

 そのままゆっくりとドリブルを突いて、フロントコートに足を踏み込んだ。

 土屋は周りをキョロキョロして攻撃する場所を決める。

 まずはチームとしてエースに得点を決めてもらいたいと考え、左サイドの45度にいる安藤に回した。


 安藤は ゆっくりとドリブルを突き始める。

 右手から左手へのレッグスルーから抜きに行くフェイクを挟み、また右手に戻しレッグスルー。

 マークマンの酒井は、フェイクに引っかからず、ジッと我慢して耐えている。

 しかし3回目に入ろうとした瞬間、安藤はレッグスルーではなくクロスオーバーに変更し抜きにかかる。

 上手く反応しようとした酒井が、一歩後ろに下がって止めようとするが、その動きは安藤に読まれていた。

 酒井が後ろに下がった瞬間、安藤は力強く右足を踏み込んでステップバックをする。

 完全に間合いが空いてしまった。

 酒井は急いでチェックに入ろうとするが、悠々と安藤は3ポイントを放つのである。

 そして綺麗にボールはリングを通った。

 見ている人間たちの間で歓声が上がる。



(キレは悪く無いし、順調に回復してるみたいだな。まだ分からないが、この調子なら戻しても良いかもしれない)



 安藤の動きを確認した大輔は、まだ確定では無いが、この調子ならば1軍に戻しても問題なさそうだと思った。

 まだ始まったばかりだから断言はできないが。

 富増がボール出しをし、PGの千隼にパスをしてリスタートするのである。

 セレクション生たちの顔が変わった。

 いきなりのプレイにしては、あまりにも印象が残りすぎる圧倒的なプレイだ。



(どうする! どうする! 今のは、ただのワンプレイじゃない……あのワンプレイで、こっちの士気が下がった)



 安藤のプレイは、ただのワンプレイでは無い。

 セレクションを受けるレベルの選手ならば分かる。

 自分たちとはレベルが違うのだと、セレクション生たちの士気は下がったしまった。

 もちろんまだまだ千隼は折れてはいない。

 しかしプレイメイキングをする千隼からしたら、諦められていたらメイキングしづらい。

 どうしたものかとドリブルしながらフロントコートに向かって歩き出し、困っていると右45度でボールが欲しいという表情をしている累がいた。



(おいおい、バカみたいな顔で待ってんなよ。ボールを待ってる犬じゃないんだからよぉ)



 ボールを欲しそうにしている累と、自分の家で飼っている犬を重ね合わせて苦笑いする。

 こうなったら、とりあえず累に任せてみる事にした。

 スッと累にパスを出す。

 ボールをキャッチした瞬間、ポンプフェイクをする。

 マークマンの浅島は騙されるわけじゃないが、少し膝が上に浮いた。

 それを見た瞬間、累はアウトサイド側にドリブルを仕掛け抜き去ろうとする。



(舐めんなよ、1年坊が! そんなフェイクに引っかかってたまるか!)



 フェイクに引っかからず、ピタッと横に張り付いて完璧には抜けなかった。

 浅島も抜かれてたまるかと思っていたのだが。

 ワンドリブルを突いた瞬間、浅島は「なに!?」と驚きの声を出すのである。

 ツードリブルした瞬間、加速して浅島を抜き去った。

 周りで見ている選手たちも「速っ」と呟く。



「そう簡単に取らせるかよ!」



 やはり名門チームなだけあって、3線の選手がカバーに出て来たのである。

 完璧なタイミングだ。

 こうなったら、ドリブルで外に戻るか。

 パスをして仕切り直すかのどちらかだろう。

 しかし累はカバーの前で、レイアップの為のステップを踏み始めたのである。

 周りの人間たちは「はぁ!?」となった。



「な 舐めるんじゃねぇよ! 打ち落としてやる!」



 カバーに出た選手は、舐めてるのかと思う。

 そのまま来るなら打ち落としてやると、膝を曲げて真上にジャンプするのである。

 累も2歩目を踏み込んでジャンプをした。

 だが空中でクルッと一回転して、カバーの選手を交わしシュートまで持っていく。

 観覧者も選手たちも「なに!?」と盛り上がる。

 ボールは綺麗にリングの中に吸い込まれていった。

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