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305  作者: 灰谷 An
第1章・1年次、全日本Jr.クラブ選手権 編
25/26

025:中学生らしからぬ

 岩崎がスローインでボールを貰うと、フロントコートに向かってドリブルを始める。スローインした倉田はフロントコートに向かうのだが、岩崎のマークマンである蓮にチョッカイかけながら進んでいく。

 そして無事にフロントコートに入ったら、倉田は右のハイポストに面を張ってボールを呼び込む。啓太はボールを入れさせないように手を出すが、倉田が上手く体を入れて岩崎からパスを受ける。

 啓太はピタッと体を当てて、ペイントエリア内に押し込まれないように腰を落とす。



(お 重い!? この舞華って選手は、高校生にも引けを取らない話だったよな……押し込めない!?)



 倉田はペイントエリア内に押し込もうとするが、啓太は岩のようなドッシリと重たい。啓太のパワーは高校生にも匹敵するという風に言われている。その噂通りに啓太を、ペイントエリア内まで押し込めない。

 どうにかフェイクをかけながらペイントエリア内に侵入しようと考えた。そんなタイミングで、パスを出した岩崎が走り込んで来るのである。

 しっかりと蓮がマークしているが、ハンドオフなら問題ないだろうと岩崎は考えていた。蓮と啓太は互いにアイコンタクトを取る。できる限りは蓮が、倉田と岩崎の間に割って入ってスティール。それが上手くいかなければ啓太がチェンジングで、岩崎をマークするという風に決まった。


 ハンドオフするというタイミングで、蓮は倉田と岩崎の間に割って入ろうとした。それと同時に啓太も岩崎の方に顔をヒョコッと出して牽制をする。これなら対処できると蓮も啓太も心の中で油断してしまった。

 ハンドオフするタイミングで倉田が、岩崎と反対の方向にターンしたのである。蓮と啓太は「なに!?」と完全に裏を突かれてしまう。

 悠々と倉田はシュートを放とうとした。そんなギリギリのタイミングで啓太が「やらせるか!」と右腕を伸ばしてシュートチェックに入る。伸ばした指が、倉田の放ったシュートを僅かに掠ったのである。それで軌道がズレて、シュートを外させる事に成功。

 あとはリバウンドを取るだけなのだが、外から走り込んでいた手越が樹里を交わし空中でリバウンドを取り、そのままリングに叩き込んだ。



「こ これが本当に中学生のプレーなのか……勝場くんもスクリーンアウトを、しっかりとやっていた。それを掻い潜って、リバウンドから直接ダンク………信じられん」



 スカウトマンの入江は、今の信じられないプレーをしたのが、本当に中学生なのかと言葉を失う。

 観客たちも興奮して立ち上がる者と、一体なにを見てしまったのかという驚愕で言葉を失っている者。この2択で会場は異常な雰囲気に包まれている。

 会場のムードは完全にブルドックス側に傾いた。

 それもそうだろう。ブルドックスのエースが、印象的なプレーをしたのだから。それに対しレッドスターズのエースである樹里は次のターンで、自分も負けていられないと対抗心からドライブを仕掛け、プルアップジャンパーを放つがリングに嫌われてしまう。


 外れたボールを清水がリバウンド。

 トップの位置でスクリーンアウトをしていた岩崎が、清水の近くまで降りてボールを貰った。

 清水がリバウンドを取った瞬間、左サイドの45度にいた最上が「ここだ!」と言わんばかりに走り出す。マークマンである安藤は、急いで最上を追いかける。

 しかし一向に安藤は最上に追いつけない。走れば走るほど、距離がドンドン開いて「ど どんだけ早いんだよ!」と安藤は驚愕したのである。

 前を走り出した最上に、岩崎はバックコートから的確にロングパスを出し速攻を決めた。



「ドンマイ、ドンマイ! 切り替えろよ。蓮はしっかりとセーフティしろ!」



 大輔はベンチから手を叩いて選手たちを鼓舞する。今回は本当ならば蓮がセーフティで、バックコートに戻ってブルドックスの速攻を止めるはずだった。

 しかし調子が上がらず、蓮はセーフティを忘れていた。そこを見逃さなかった岩崎と最上によって、シュートを決められてしまった。

 普段の蓮ならばしないミスだ。そんなミスをしてしまうくらいに、今日の試合のムードが異様なのである。

 だが何を言っても今は切り替えるしか無い。安藤がスローインして蓮が、フロントコートまでボールを運ぶ。



(どうする? 誰を使うか……安藤さんの調子も見ておきたいし、ここは安藤さんか? それともまだシュートを決められていない勝場さんに渡すか?)



 蓮はボールをキープし、首を振って周りを確認しながらプレイメイキングを考える。

 まだシュートを打っていない安藤にパスを出すか。それともまだシュートを決められていないので、エースの調子を上げる為にパスを出すか。色々と頭を働かせる。

 そして決めたのは樹里だ。

 右45度の3Pラインにいる樹里にパスを出した。パスを受けた樹里は、ピボットを踏みながら様子を見る。手越はピボットの1つ1つの動きに、細かく反応する。

 少しの間合いが空いたと思った樹里は、ドリブルもせずに3Pシュートを放った。しかし放った瞬間から、このシュートは外れると思うくらいに曲がっていた。

 倉田がリバウンドを取る。


 倉田は近くにいる最上にパスを出した。

 少し離れたところに岩崎がいるので、代わりに最上がフロントコートまで運ぶ。

 最上はフロントコートに入ったところで、岩崎にパスを出すフリをしてドライブを試みる。安藤はスライドステップで正面に入って止めようとしたが、最上のスピードが想定よりも速かった。完全な正面で止められず、ブロッキングファールを吹かれるのである。



「ちっ! ドリブルも速いのかよ……」


「誠っ! 無理に正面で止めようとするな! お前ならクロスステップでも十分に着いていけるはずだ!」


「は はい!」



 大輔は安藤に無理矢理、正面で止める必要は無いとアドバイスをして考えを変えさせる。安藤も言われた事を理解しているので返事をして最上のマークに戻る。

 ブルドックスのスローインで試合が再開。

 ボール出しの最上が、ボールをパンッと叩いて「ボール入った!」と声を出す。それを聞いてからブルドックスのメンバーたちは動き始める。


 岩崎は走り出すと、手越にスクリーンをかける。センターライン付近で手越はボールを貰う。

 手越は、ゆっくりとドリブルを始める。右足を少し前に広げ、レッグスルーをしながら様子を見る。

 そして一気に右手でドライブを仕掛けた。やはり速度とキレが一級品である。樹里はギリギリで反応し、手越の真横にピタッと張り付いている。

 抜いたと思っていたので手越は「やはり面白い」と樹里の方を見た。そして視線をリングの方に向けた瞬間、右サイドの45度にいた蓮がカバーに出て来ており、ボールをポンッと叩いてスティールした。


 ボールを拾った蓮は、そのままドリブルして単独で速攻を仕掛ける。トップの位置でスティールしたので、ほぼ誰にも邪魔される事なくレイアップまで行こうとした。

 しかしほぼと言ったように、瞬時に判断した最上が猛ダッシュで追いついて来た。蓮に「打たせるか!」と言って最上が正面に回り込む。

 速攻は止められたと最上は思った。

 だが蓮はニヤッと笑ってから自分の股を通して後ろにパスを出した。いきなり後ろにパスを出したので、どうしたのかと思われたが、最上が後ろを見て驚いた。そこには安藤が待っていたのだ。

 最上が走り出したのと同時に、安藤も走り出していた。

 ノーマークでパスを貰った安藤は「ナイスパスだ、この野郎!」と言ってシュートを打った。

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