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305  作者: 灰谷 An
第1章・1年次、全日本Jr.クラブ選手権 編
13/22

013:エースとの対決

 木下がボールを拾うと直ぐにPGの小林にパスを出し、ゲームをリスタートさせる。

 バスケは他のスポーツに比べて0点に抑えるのは、相当な事が無い限りは不可能。だから選手たちは決められた瞬間、切り替えて直ぐにリスタートする。

 小林はフロントコートまでボールを運ぶ。千隼が待ち構えており、自由にドライブはさせないよう意思表示で地面を叩いて両手を広げた。確かに下級生である千隼に負けるとは全然思っていないが、ここでミスをして先輩に迷惑をかけたくは無いと考えていた。

 左サイドには啓太と樹里がいる。45度に啓太、0度に樹里が控える。



「啓太さん!」


「おう!」



 小林は45度の啓太を選択。バウンドパスをして、小林自身は反対サイドに寄ってスペースを空けた。

 ボールを啓太が保持したのを見た樹里が、啓太のマークマンである岡田の右側にスクリーンをかける。

 しっかりかかったのを確認してから啓太は、スクリーン側にドライブを開始した。マークマンの岡田が、スクリーンに引っかかっているのでスライドステップで突破できない。仕方ないと樹里がカバーで飛び出す。岡田は遅れて啓太のマークに戻って来た。



「累、このままダブルチームだ!」


「は はい!」



 岡田は累に、樹里のマークに戻るのではなく、このままダブルチームでボールを奪うと指示を出す。その指示通りに累は、岡田と共に啓太をダブルチームで挟み込む。

 ノーマークになっている樹里は、反対サイドのローポストにいる木村にスクリーンをかけた。木村はボールサイドのローポストに移動。スクリーンをかけた足のまま右サイドの0度に切れていった。

 啓太は「ふん! ふん!」と言いながらピボットを踏んで、ボールをロストしないように耐えている。そのタイミングでローポストにやって来た木村が「啓太さん!」と声をかけてボールを要求。



「ナイスなタイミングだ、木村っ! 受け取れ!」



 啓太はジャンピングパスで、木村にパスを出した。

 このままスクリーンで、マークマンの加藤が遅れているならシュートを選択しようとする。

 だが「打たせるか!」と加藤が向かって来ていた。これではシュートを選択する事はできない。どうしようかと頭の中で選択肢を選ぶ。1つは押し込んで自らシュートを打つ。2つ目は反対サイドにパスを出す。



(向こうのサイドには、樹里さんと安藤さんがいる。でも樹里さんのマークマンである累が、こっちサイドでまだ移動できてない。つまり安藤さんのマークマンである千隼が2人分の守備についてる……これなら向こうのサイドだ)



 向こうのサイドには樹里と安藤がいる。その2人をマークしているのは蓮1人だ。そう考えるのならば自分で攻めるのではなく、反対サイドにパスした方が可能性がある。

 木村は反対サイドの安藤にパスを出した。

 蓮は片方に付くわけにはいかないので、中間地点でマークをする。しかしそれを有利にできない安藤では無い為、シュートフェイクを入れた。仕方ないと蓮は、安藤にシュートチェックをする。

 このままではシュートが上手くできないので、ジャンプした空中で、0度に控えているノーマークの樹里にパス。

 綺麗に相手を崩し樹里はノーマークで「ナイス」と呟いてから3Pを放った。そのまま樹里のシュートは、綺麗な弧を描いてリングに吸い込まれた。


 ここから激しい序盤戦が始まる。

 蓮が安藤に1on1を仕掛け、1年生ながらのプレーの質の高さをアピールする。キレの良いドライブからストップ&シュート。他のマークマンを引きつけてからのキックアウトでのアシストなど、総合力を見せつけた。

 蓮が活躍すればするほど、仲間ながら千隼が対抗心を燃やし始め、小柄ながら体感の強さをアピールし、ガツガツと体の当たりを嫌がらない。ダブルチームを受けても比較的落ち着いてボールキープする事ができる。

 そして累も、この2人に遅れを取らない。マークマンである樹里に、少し前にやった1on1のやり返しをしようと積極的にボールを貰う。



「簡単には決めさせないよ」


「そう来なくっちゃ面白くありませんよね!」



 右45度で累はボールを貰った。その累にピタッと正面で樹里がマークする。距離感はキッチリとワンアームの距離が保たれており、抜かせないと全身で示す。

 累はエースである樹里に勝たなければ、このチームのエースになる事ができない。そう強く思っているので、面白いと楽しみ始めていた。

 仕掛けたのは累の方からだ。右足を軸足にピボットを踏んで樹里の左足の横に、累は自分の左足を持っていく。そのまま右手でドライブを仕掛ける。樹里はピタッと真横に着いたまま抜けてはいない。

 このままドリブルを続けても抜けないと累は直感し、ペイントエリア内に入る手前で、1・2とサイドラインに水平にステップを踏みストップした。クルッとターンしてからフェイダウェイシュートを放とうとする。

 しかしタイミングを測った樹里によって、シュートは打ち落とされてしまった。ルーズボールは啓太が飛び込んでモノにすると、ブロックに飛んでいた樹里が着地すると同時に前に走り出す。啓太は倒れながら樹里が走っている前にボールを出し、カウンターの速攻を仕掛ける。



「戻れ!」



 蓮はチーム全体に急いで戻るように叫んだ。

 ブロックされた累も急いで樹里を追いかけるが、どんどん加速していく樹里には追いつけない。そのまま樹里はペイントエリア内に侵入。

 そして誰にも追いつかれないまま、樹里はノーマークでスラムダンクを決めた。会場は「うぉおおお!!!!」という感じで盛り上がる。

 

 スーパープレイだ。普通の1年生ならばトラウマになって消極的になるのが自然だろう。

 しかし累は消極的になるどころか、満面の笑みを浮かべて状況を楽しんでいる。笑っている累に、蓮は尻を蹴り飛ばし「え?」と言わせる。



「なにブロックされた上に、あんなダンクされて笑えんだよ。頭イカれてんのか? もう諦めたか?」


「い いや、完璧に外して打てたと思ったんだけど。まさかあそこまで追いついてくるなんて……こんな楽しい試合って、今まで無かったからさ」


「そうかよ、やっぱり頭イカれてるんじゃねぇか。それも負けたら、全くもって楽しくねぇぞ。良いか、ここから気を引き締めて行くぞ」


「う うん」



 ブロックされた上にダンクを決められて、何を笑っているのかと累に言うのだ。累的には凄まじい強敵との戦いは楽しくてしょうがない事である。

 しかしそれも全て負けたら意味がなくなると蓮は指摘。それもそうだと累は理解した上で、蓮はここから気を引き締めて再開すると気合を入れさせた。


 だがこの樹里のプレーで、Aチームの調子が上がる。

 ディフェンスではキーマンであろう累と蓮を徹底的にマークし、PGである千隼を孤立させた。オフェンスでは樹里を起点に安藤との連携や、啓太のインサイドでのプレーなどで点数はみるみるうちに開いて行く。

 1Qが終了した時点で29対13点とダブルスコアで大差が付く結果となってしまった。3年生や2年生の選手は暗い顔だ。

 しかし累や蓮たち1年生たちは、まだまだやれるという闘志に溢れる表情を浮かべている。

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