14話:聖女のしきたり
なんとか乗り越えたテスト。私は皆のおかげで満足のいく成績を収めることができた。
魔法の実技は当然の如く満点。他の科目も、あんなに苦手だった歴史や帝国語を含めて90点を超え、全生徒中20位以内にこぎつけた。マナーだけは65点と平均をギリギリ超えた程度だったが――まあ及第点と言えるだろう。
「みなさん! 本当にありがとうございました!!」
全員が集まっている生徒会室で、がばっと120度のお辞儀をして感謝を伝える。
この場にいる面々は、もちろん全科目95点以上の化け物揃いだ。
「あそこから2週間でよく頑張ったね。マナーは……まあ、次に向けて頑張ろうか」
アレン王子からも苦笑混じりのお褒めの言葉をいただく。
「魔法の実技は流石だね!僕、負けちゃったよ」
ハルト様も萌え袖を揺らしながら褒めてくれた。
「本当に、皆様にお時間をいただき……感謝感激です!」
「いいのよ、私にとっても良い復習になったわ」
「リリア……!」
リリアは今日も天使である。
*
さて、テストを乗り越えたところで、改めて魔王討伐について考える。
現在のパーティーレベルは以下の通り。
• ライオス・ハルト: Lv.41
• リリア: Lv.43
• アレン王子・ジーク: Lv.45
• 私: Lv.50
王子のバフを足しても、魔王討伐戦参加に必要な最低レベルは60。まだ距離がある。一刻も早くレベリングに向かってほしいが、公爵家のご令息たちをホイホイ危険な場所に連れ出すわけにもいかないのが、この世界の不自由なところだ。
そして、建国の歴史を学んだ私には、どうしても気になることがあった。
(歴代の聖女、王子と結婚して皇后になったか、魔王と相打ちで亡くなったかの2択なんだよね……)
初代聖女の建国から約500年。この国には定期的に聖女が現れているが、その末路は驚くほど固定されている。独身を貫いて寿命を迎えた者も、王子以外と添い遂げた者もいない。
おまけに魔王は、狙い澄ましたように「聖女がいる時代」にしか復活していないのだ。
(この流れ、私が魔王と相打ちになる運命なんじゃ……?)
さらに、この王国には厄介な伝承があった。
聖女を皇后に迎えた王は、本来持たないはずの『聖属性魔法』を聖女から受け継ぐという。どうやら聖女は、初めてを捧げた相手に、自らの魔力特性を譲渡する性質があるらしいのだ。
(貞操も守らなきゃいけないのね。まあ、今のところ捧げる予定も相手もいないけど……)
北の山岳地帯にある魔王城。初代聖女が魔王を封印したとされるその土地は、瘴気が強すぎて近づけば正気を失うと言われている。今もそこから溢れる瘴気が魔物を生み出し、人々に襲いかかっているのだ。
(……いつかはここに立ち向かわなきゃ)
何度も挑んだ魔王戦のルート取りは覚えている。
王子の攻略はリリアージュに任せた。
私がやるべきことは、レベリングとアイテム回収である。
来る日までに三種の神器を揃え、パーティーメンバー全員でレベル60を超える。
この使命を達成するべく、まずはレベリングの方法について思考を巡らせた。




