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改 悪役令嬢がいじめてこないのでストーリーが進まない! 〜もしかして私は、悪役令嬢がヒロインの物語で断罪される元ヒロインですか!?〜  作者: うみの もずく
この世界のヒロインは

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12話:断罪回避の第一歩

 週明け。

 リリアの助けも借りながらまとめた『聖書』の報告書を携え、私はユリウス殿下の待つ特等室を訪れていた。


「――つまり、あの聖書には聖女リリアージュが国の安寧を守る軌跡と、魔王の復活が予言として記されています」


 報告書から顔を上げたユリウス殿下と視線がぶつかる。

 当然、私が最終的に断罪され魔王化する未来については、一文字も書いていない。そんなことを正直に伝えれば、即座に「危険因子」としてこの場で物理的にデリート(処刑)されかねないからだ。

 代わりに、小説では描かれていなかった真の魔王復活を記載し、詳細については、「復活後の部分は白紙で不明」としておいた。


「魔王が……。そうか……」


 深刻な面持ちで殿下が呟く。いきなり強大な災厄が降ってくると聞かされれば、王族として顔を曇らせないはずがない。


「このことは、決して他言せぬように。魔王への対応は、極秘裏に検討することになるだろうからね」

「かしこまりました」


 この事実を知っているのは、解読に関わったリリアと、王族のアレン王子、ユリウス殿下のみ。

 いたずらに混乱を招くつもりはないので、私は静かに頷き、特等室を後にした。


 さて、報告という義務を果たした今の私には、断罪回避のために早急に進めなければならない、「死活問題」がある……


 *


 生徒会室に到着するなり、私は一目散に本棚へ向かった。

 目的は、精神魔法への対策が記された古びた魔導書だ。


(確かこのあたりに魅了への対策が……あった!)

 目的のページに辿り着いた私は、食い入るようにその内容を読み込む。

 

(なになに、まずは……術者よりも高いレベルを維持する?……これはパス)

 私のレベルは50に到達した。生徒会メンバーの誰よりも高い。まさか魔王討伐のために上げたレベルが、こんなところで枷となるとは思わなかった。

 

(次は……術者への嫌悪感を持つ??)

 なんでも、魅了のかかり易さは、元々の好感度に比例するという。魅了に関係なく惹かれていればいるほど、魅了の効果も大きくなるらしい。

 

(うーん、他にはないの?)

 嫌われるまで好感度を下げるのもできれば避けたい。学園生活はまだ始まったばかり。嫌われて過ごす3年間というのも精神的にキツい。

 

(最後は……魅了を威圧へ変換する??そんな対策もあるのね!)

 レベルが10以上離れた格上の強敵と対峙した際、本能的に身体がすくみ、呼吸さえ困難になる感覚――それが『威圧』だ。

 魅了をその威圧へ変換することで、恋心を抱かなくする方法があるという。

 

(これを私自身にかけておけば一件落着?)

 生徒会のメンバーに私とレベルが10以上離れた人は居ない。威圧に変換された魔力を浴びても、腰を抜かすほどの影響力はないはずだ。

(さっそく試してみよう!方法は……)

 私はそこに記載されている方法をなぞる。

 

「……ええと、周囲を魔力で覆い、そこに『反転』の効果を付与……? なんじゃそりゃ」

 

 説明になっていない。こんな説明でささっとできるのは限られた天才だけだ。

 

(反転……反転ってなんだ……恋の反対、威圧をかけたいから……なんかこう、重い……質量!みたいな、筋肉!!ってイメージ??)

 私は他のページから「反転」の概念を強引に引きずり出し、己の魔力を筋肉のごとく「剛健」に練り上げていく。

 

(できてる……?かな……?)

 自分の内側から溢れ出していた、「ふわふわした魔力」が、ずっしりと重い「鉄塊のような魔力」に置き換わった感覚があった。


 ちょうどその時、生徒会室の扉が開いて、ジーク様とライオス様が現れた。


「お、アリナちゃん!まだ1人?」

「こんにちは!まだ誰も来てないです!」


 気さくに声をかけてくれたライオス様は、赤い髪をまとめたプレイボーイ。彼こそ魅了の進行度が一番高く、メーターは不穏な「20」を示している。ジーク様も「15」だ。

 絶好のテスト環境。私はソファに座った2人の背後から、書き換えたばかりの「鉄塊のような魔力」をジリジリと押し流してみた。


「……っ!?」


 ジーク様が反射的に首の後ろを押さえ、鋭い視線で振り返る。その手はすでに、腰の剣の柄にかかっていた。

 慌てて私は魔力を引っ込める。


「……どうかしましたか?」

「いや……今、殺気を感じたような……」


 さすが武の名門シルベール家、勘が鋭い。


「……気のせいか?」


 ジーク様が首を傾げながら座り直すと、その頭上のメーターが「13」まで減っていた。ライオス様も「18」に下がっている。

 

(よし!! 効果あり! この調子でゼロまで削るぞ!!)

 

 断罪回避への確かな手応えを感じ、私は一人ほくそ笑んでいた。

 

 ――そんな私はまだ気づいていない

 この学園の入学基準はレベル30。ほとんどの生徒はレベル50の私と10以上レベルが離れている。

 無意識に威圧を振り撒くその姿は、まさに悪役のイメージとぴったり重なっていることを……

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