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第1話-③


 消灯後の病室。深夜0時。

 私は眠れず、窓から夜空を眺めていた。


 隣にはあれだけ元気なタイヨウ君が、今はすやすやと眠っている。

 よほどクローバー探しで疲れたのだろうか。全く、可愛い寝顔なのだね。

 ――昔、“お母さん”が教えてくれたクローバーの話。

 ……今じゃ見つけるのも難しいみたいなのだよ。


 私は窓際に置いた花瓶を、指先でそっとなぞる。

 そこには、一輪の黄色いお花を生けていた。


 私を思って見つけてきてくれたという、そのお花。

 その名前を、私は知っている。前に本で読んだことがあった。

 ――黄色のアルストロメリア。

 そして、その花言葉は。


「……希望、か」


 偶然か必然か、“これ”が私みたいだなんてね。


「面白い子なのだよ、君は。――怖いくらいに」


 私はベッドを降りて、隣に歩み寄る。

 手を伸ばして、タイヨウ君の頭をそっと撫でた。

 ちょっと硬めの髪の手触りが、癖になる。


「おやすみ、タイヨウ君」


 私は再びベッドに戻る。

 窓から差す月明かりが、黄色のアルストロメリアを淡く照らしていた。


 叶うなら――今はただ、このまま照らし続けていてほしい。

 そう心の中で願う。


 そして――私はゆっくりと眠りに落ちていった。




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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