第25戦 敵陣
その頃敵陣(西の国)セイレーンでは作戦会議が行われていた。
「小国ごときに策など無用!武器の性能もこちらが有利、数も有利ならば攻め込むべきだ。」
「そうだ。罠にかかり負傷した者もいると聞いたがその場所を通らずとも進行は可能だ!」
会議室で行われているものとは思えないほどの楽観的思考であった。
「お待ち下さい。罠とは言え命を失った者もいます。ここはじっくり攻めるべきです。」
「何を言うか!人員をいくら使っても……」
「だからこそです。完璧な勝ちを国王に届けたいと思いませんか?」
この発言をしている者はフレア・シェイド。軍曹である。
「ただ勝つのと何が違うのかね?」
「はい、兵士が亡くなれば国民の反戦意識は高まります。折角の資源国を得たとしても反戦の空気が国内に漂えば次の侵略にも支障がでてしまいます。また戦力の立て直しの時間も不要となるのでこちらも利点になると思われます。」
「なるほど、しかし早期決着をするのも被害を少なく済むとも思わないか?」
「確かにそうです。相手がこちらの武器を解析し、増産してくるやもしれません。」
「ならば……」
「しかし、我々他国から直々に習い作った。そこから完全に作り上げるまでに半年は掛かりました。それに比べて彼らは自己分析し、そこから組み立て、改良、生産一体どれほど掛かるでしょうね?」
フレアの言葉に水をさすものがいました。
「しかし、この戦争が長引けば他の国から横っ面を叩かれないか?」
「……そうかもしれませんが……あの小国を手に入れたい国は四方を囲む全ての国が言えます。」
全員が黙り込んでしまいました。そこで指揮官はこんなことを言いました。
「総指揮官を潰さないか?」
「奴らの中枢をやると?」
ガヤガヤとする中1人の男が声を上げます。
「良いではないか?確か向こうの指揮官は天才と言われてるではなかったか?」
発言者はクローバー元帥。数多の戦いにて功績を上げ続けた猛者だ。奇抜な発想を好むタイプだが通常通りの作戦を軍全体で精度を高くした最高の軍人だ。
「では、狙うは総指揮官メアリー・バーンか?」
「そちらもですが、コーネリア・サーシャもです。メアリーの部下でこちらも切れ者と聞きく。メアリーが死んだ後にまた優れた指揮官が出て来ては意味がない。少数精鋭の第16師団を投入し暗殺にて相手を混乱させ我が国家の手中へ落としましょう」
「しかし、この2人は指揮官と言えどなかなかに武術も達者……簡単にやれますかね?」
「その時はあの男を向かわせます。出来れば使いたくはないですがね……」
クローバー元帥は少し眉根を寄せて言います。扱い辛いのか?はたまたなんなのか……
「こちらは常に警備を厳にし、何があっても厳守しろ!」
国王の一言は会議にいる皆の背筋を正す物だった。そしてこの会議室に慌てて入ってくる者がいた。
「ほ、報告します!」
「なんだ騒々しい……会議中だぞ!」
「申し訳ありません!しかし緊急事態ゆえご容赦を!第7、8師団の拠点に襲撃があり壊滅されました。生存者500名、負傷者1万名以上、死者は545名確認!現在も確認中です!」
「な、なんだと!?」
「……私が行こう。現場への案内を頼めるかね?」
クローバー元帥は報告に来た兵士に案内を頼み部屋を後にした。
「なんという体たらく!奴らの師団を壊滅まで追い込んでおきながらこちらも2師団が壊滅とは!」
机をバンッと叩いて立ち上がったのは王様でした。
「貴様ら何をしてる!クローバー元帥に続け!不届き者どもを抹殺してこい!」
王様の一喝に蜘蛛の子を散らす様に部屋から出て行く幹部たち。そしてその頃現場では……
「なんとか逃げ切れましたね。」
「つまんなーい!まだ暴れたかった!」
「フェスの言う通りじゃ。まだまだ戦力は削れたはずじゃぞ?」
「ダメです!お2人はお説教です!なんですかあれは!」
遡る事数時間前……
「のぅ、フェス!どちらが多くやれるか競争せんか?」
「いいね!でも、死んだらリセットね!」
「ちょっと……2人とも?」
「いいのぅ!では、わっちが先陣を切るぞー!」
「あー!ずるい!」
と言って2人とも敵陣に侵攻、私は遅れて向かいました。しかしここで更に問題発生……
「わっちのが多く斬り捨てておるぞー!」
「何をーー!私だって負けてないもん!ほらこれで20人目!」
完全会話が狂ってました。その狂気に敵のほとんどは逃げてましたがその後ろを2人は追いかけて殺して行きました。戦争ですから敵を殺すのは必然です。しかし逃げる者まで追いかけて殺していては最早虐殺に等しい行為です。その後2人は……
「やっぱり直接決着つけた方が早くない?」
「奇遇じゃなわっちも同じ事を考えておったわ!」
そこから2人の戦闘は開始されました。そしてその隙を突こうと向かった敵兵は無惨な死を遂げました……
「戦闘中にしかも敵のど真ん中で決闘しだす人がいますか!」
「だって!強い戦士を見たら戦いたくなるじゃん!」
「そうじゃ!そうじゃ!戦士の血が騒ぐんじゃ!」
「味方同士で戦わないでください!それなら模擬戦でいくらでもしていいですから!」
「ええー獲物を使わないと臨場感が……」
「フェス……大人しく出来ないのならアレをしますよ?」
「……アレは……許してください……」
「ソラもそんなに好戦的に刀を振ってるとまた折れてしまいますよ。しっかり手入れをしてください。でないと鍛冶屋のおじさんに言いつけますよ?」
「むむむ……それは困るな。」
2人が大人しくなったところで改めて作戦会議を行う為に本拠地へ戻りました。
ここまで読んで頂きありがとうございました!次回もお楽しみに!
戦争というのは正常な精神では出来ません。ですが相手が異常な状態でやってくると恐怖を覚えます。日本兵が行ってた万歳突撃は正にそれだと言えます。異常な気迫で奇声を発し、敵へと突っ込んでいく。ですがそれが一番怖く相手の進軍を止めた要因でもあるのでしょうね。




