第26話 暗殺
一度帰還した私たち、そんな私たちは今……
「説明をお願いできますか?」
コーネリアの前に正座させられていました。
「敵陣で少し暴れてきました。」
「百歩譲りましょう。フェスとソラさんは分かります。好戦的ですから……ですが、あなたは指揮官ですよね?」
「はい……ですね。」
「なぜそれを理解した上で行ったのですか?」
2人は解放されて私だけです。おかしいですね
「えーっとですね。このメンバーなら先陣をきれると判断したからです。」
「私への一報もなかったのはなぜですか?」
「コーネリアは避難誘導に出向いていたので……戻ってくるまでに夜になりそうだったから待たずに夜襲をかけました。」
そこからくどくどとお説教でした。
「コーネリア副官って怖いですね」
「お姉様ってあんな怒り方するんだ。」
「アネリーも初めて見るんですね。」
マーヤとアネリー、そしてフェスとソラは別の部屋で休む事にして私は朝方まで正座させられました。
「みなさん……おはようございます」
「もう夕方だよ」
フェスの言葉は無視して話を続けます。
「恐らく敵は今混乱してると思われます。」
「かなり暴れましたからね。3人で……」
コーネリアの言葉には棘がありますがこれも無視して話を進めます。
「前回の襲撃でダメージを与えたのは事実です。しかし敵の中でも精神的支柱を倒さなければこの戦争は泥沼化して勝ちが遠のきます。」
「つまり先に倒しておくべき人物がいると?」
そこで私は頷き黒板に3人の名前を書きます。
『クローバー元帥
フレア軍曹
アインレッツ・シェパード』
「第1目標はクローバー元帥です。彼を落とせば中枢機関はほぼ停止します。」
「そんなにですか?」
マーヤの質問に私は頷きます。
「武功もさることながら頭も切れます。何より発案が下の者であろうと良いと思えば使いますし、部下の功績として報告する。人望も厚い方です。」
「うちの上層部も見習ってほしいですね。」
「しかし、これは拳銃などの新兵器が出る前の話です。今の戦闘力はさらに高いとみていいでしょう。獲物はナイフですが、使える物はなんでも使います。地形すらも利用して来ますので彼は私が……」
「ゴホンッ!」
私が担当しようと言いかけましたところコーネリアの咳払いで却下となりました。
「次にフレア軍曹、この方も人望に厚い方ですが何より厄介なのは連携の攻撃です。」
「連携とな?」
「彼は決して1人では戦いません。3人、もしくは4人で攻撃を仕掛けてきます。」
「つまり、多対1で戦いにくると?」
「そうですが、味方を囮にした誘い出しや仲間を呼ぶ事にも長けています。なのであっという間に手がつけられなくなる可能性も……」
「なるほどね。それならばその部隊にはわっちが行こうかのぅ。」
「いいのですか?せめてもう1人いた方が……」
「いや、わっちは多対1の戦いをよくしておった。ならばその役はわっちが引き受けるべきじゃ!」
そこまで言われてはソラに任せる他ありません。そこでフェスがソラに声をかけます。
「ソラ!絶対生きて帰ってきてね!決着まだ着いてないんだからね!」
意外な言葉でした。フェスはあまり仲間のことを気にかける事はなかったからです。それをこんな真剣に言うなんて驚いてしまいます。
「安心せい、わっちは負けん!」
なんだかほっこりしてしまいますが場の空気を締めて最後の方の説明です。
「最後にこの方ですが……この方は今は軍を抜けてます。」
「軍をですか?引退したということですか?」
マーヤの疑問に首を横に振ります。
「問題行動が多すぎて追放されてます。」
「……?えっ?」
「簡単に言うとフェスが更に凶暴になった人間です。上司には噛みつき、命令は聞かない、他の国の戦争に首を突っ込んでしまう様な超のつく戦闘狂なのです。」
「それで何故投獄されないのですか?」
「結果を見ればそれが全て作戦成功に1枚噛んでるからです。」
「才覚と勝負勘、この2つは天才と言って間違いありません。」
「それでいてフェスと同等の戦闘力と……この中にその化け物を倒せる奴は……」
そう言ってソラはフェスを見ました。しかし私とコーネリアが首を横に振って却下します。
「フェスは相性悪いです。」
「なんでよー!」
「相手の方が頭が良いからです。特に戦術という面では1枚どころか5枚は落ちます。」
「ぐぬぬ!じゃあ誰が行くのよ!」
「決まってます、私とコーネリアです!」
「……それさオーバーキルじゃない?」
「いいえ、こういう方は確実に倒すに限りますから。」
そして話し合いの途中で走ってくる足音が外から聞こえました。
「ほ、報告します!」
「どうされましたか?」
「総指揮官、コルサ殿が何者かに暗殺されました!更に副官のアルバルト氏も重症。命の危機からは脱却していない状況です。」
「……はい?」
私の口からはその感想しかでませんできた。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!
敵を知り己を知れば百戦危うからず日本にもそんな参謀長がいました。彼らは常に暗号解読を進め一説には敵の上陸ポイントをピンポイントで当てたとも言われてます。ただしこれは戦力が揃ってるのが前提だったのです。その報告を無視し、軽んじたばかりに失われた命が沢山あった事を忘れてはならないと思います




