第23話 囮
私とフェスは真夜中のしかも敵陣の真っ只中にいました。そしてその周りには無数の死体が転がっていました。
「やっぱ短剣は扱い辛いや……」
「何言ってるんですか、普段の槍で戦ってたら逃げる時に遅くなりますよ?」
「分かってるよー!ほら、第二陣が来たよ!」
「ええ、少しずつ引き付けますよ!」
わざと数名逃してさらに戦力を連れてきてもらう。そしてここは足場が悪い為平坦な地面はかなり少ないです。つまりは……
「動き辛いなぁ!もぅ!」
「ですね。でも、あと少しですから我慢して下さい!」
フェスは動き辛いと文句を言いますがそれが私たちに活路を与えているのです。狭い場所だからこそ少ない人数を相手にしながらの戦いが出来るのです。そしてまた壊滅させ少し逃して私たちは本拠地へと少しずつもどります。
「フェス、ケガなどは?」
「今の所はないよ。大丈夫!」
「そうですか……損な役をさせて申し訳ありません……」
「気にしてないよ!衣食住を貰えてるんだからこのくらい当たり前だよ!それに……メアリー以外ならこんな作戦言われてもしないよ?」
「なぜですか?」
フェスは満面の笑みで答えました。
「だってメアリーなら最前線で一番危険な事をやるじゃん!他の指揮官は絶対しない事をメアリーはしてくれる。なら、私はメアリーに背中を預けられる。」
少しの会話の後また敵が来ます。今度は少し人数が多そうです。
「それじゃあ続きをやりますか!」
「そうですね……私もフェスに背中を預けますからね。頼みましたよ!」
「おうよ!」
一方その頃の拠点では……
「正気ですか!?」
「私も正気かって何度も聞いたわ。至って健康と返ってきたわ。」
コーネリアがセレナに噛み付いていました。理由は私が先陣にいると聞いたからです。
「あり得ません!指揮官が先陣を切るなど……それもたった2人でなんて!」
「私も貴女と同じ意見よ……全くまた始末書書かされるわ……」
「はぁ?セレナ副官は指揮官の命が心配じゃないのですか?」
「そっちは心配してないわ……殺して死ぬ様ならとっくに死んでるからね。」
「セレナ副官……不躾な質問ですが……指揮官の心配は?」
「してないわ!これっぽっちも!」
セレナは親指と人差し指のつまむ様な形でコーネリアに見せました。全く心配などしてませんでした。
「なぜですか?普通指揮官が前に出るなどあり得ないのに……なぜ止めないのです?」
「それはね……あの子もわかってるからよ。下級貴族で13歳の小娘が戦果を上げ続けてるのが上層部はお気に召してないって事をね。だから先陣切ってるのよ。あの子はいつ死んでも良いって考えで戦ってるのよ。」
「でしたらなぜメアリー指揮官は戦ってるのですか?」
「聞きたいの?」
セレナは少し圧をかけました。その言葉には生半可な気持ちで聞くのは許さないという意味も込めてました。
「はい!」
「……よろしい、あの子が戦ってるのは家族のためと仲間の為、下級貴族だからと蔑まれる両親へ胸を張って貰いたい。いつも嫌な思いをしてるのを知ってたからそして仲間を失いたくない。仲間を失えば私たちも悲しいけどそれ以上にその人の家族も悲しむ事になるメアリーはあぁ見えて優しい子なのよ。だから誰にも悲しんでほしくないって願ってるのよ。まぁだから私が副官に就いてるのだけどね。上層部は人の命なんて消耗品としか思ってないみたいだし……出来ればあの子に総指揮官になってほしいのよね。」
「…………確かにあんな方が総指揮官になって貰えたら失われる人命は減るでしょうね。」
コーネリアは少し笑った後に真面目なら解答が返ってきました。
「笑ってるなんて……あなたも大概ね。それで相談なんだけどさ……」
「……え?」
その時、部屋に入ってくる人がいました。
「伝令!メアリー指揮官とフェス殿が戻って参りました!全隊準備も完了しております!」
「わかりました……では、答えは後日という事で、コーネリアさん。」
「はい……」
その後私たちと合流したセレナから私は拳骨をもらう事になりました。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
今回のメアリーとフェスがやった戦い方は一乗寺下り松の決闘を少し見せ方を変えて書きました。日本にはその後空の宮本武蔵という方も現れました。長所を活かし、相手の長所を潰す。戦い方次第で数の利も相手の利も上回る。というのは勉強になりますね!




