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魔術師様の失敗 〜呪いに掛かって美形の魔術師様と離れなくなっちゃいました??〜  作者: Moonshine
王太子からの呼び出し

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そんな事があって、しばらくしての事だ。


(はあー、よく寝たわ・・)


朝、小鳥のさえずりで目が覚めると、いつもはソフィアの隣で爆睡して、ソフィアがどんなに叩き起こしても起きないブライスが、どういう訳だかもうしっかりと着替えも身支度も終えて、じっとソフィアが目覚めるのをベッドの隣で本を読みながら待っていた。


(やだ、ブライス様がいつもより早起きしてる、寝顔をみられちゃったかも)


ソフィアは慌ててよだれがでていないか口元をぬぐった。

本当にブライスは、口さえ開かなければつくづくと美しい男だ。

いつまで経っても慣れないブライスの容姿の美しさにソフィアは顔を赤くしながら口を開いた。


「ブライス様、えっと・・オハヨウゴザイマス。今日は早いですね、どうかされましたか」


ブライスはにっこりと笑顔になって言った。


「おはよう。さっきレイに緊急で呼ばれたんだ。君が起きたら行くといって下で待たせてあるから、起きたら早く着替えてね」


と、何やらチカチカとしている、首からかかっている赤いペンダントを見せてくれた。


(レイ?・・ん?)


あまり寝起きのよくないソフィアは、ブライスのいうレイが、王太子のレイである事にピンと来なかった。

大きくあくびをして、ゆっくり、ゆっくり目覚めていく中でようやく気がついて、ソフィアは真っ青になる。


よくブライスを見てみれば、いつも適当なシャツとパンツのブライスが正装して、そのマントには、王宮魔術師である証明である赤いルビーでできたピンが飾られている。王太子の前に出る魔術師の正装だ。


さきほどからチカチカしているブライスの首のペンダントには王家の紋が彫り込まれている。王家の緊急呼び出し用の魔道具である事は明白だ。


顔面蒼白で急いで外をみると、王家の紋のデカデカと入った馬車と、レイの執事であるセバスチャンが屋敷の前で退屈そうに待っている。


(王太子様が・・王太子様のお迎えの馬車が、私なんかの目覚め待ちって、ちょっと!!!!)


哀れソフィアは、目覚めから3秒、高速の大急ぎで着替えて、化粧も洗顔すらほぼ半分以下といった状態で、来た時と同じ馬車にのせられて王城にドナドナされたのだ。


前回急に転移魔法で王太子部屋いn押しかけて行った時とは異なり、王城ではレイは二人を迎え入れる準備をして待っていたらしい。

テーブルの上には3人分のお茶の用意と、美しい茶菓子が用意されていた。

すでに人払いは済ませてある。


二人が到着すると、レイは執務机から立ち上がって出迎えてくれた。


「やあ、久しぶりだね二人とも。調子はどう? ブライス、君ずいぶん顔色がいいじゃないか」


「ああ、レイ、僕たちはなんとかやってるよ。利き手がつながってしまっているのはちょっと不便だけど、ソフィアがよく僕の面倒を見てくれているんだ。レイ、そっちこそ貴族議員達への根回しは?」


「そうか、お前は人が生活圏にいるのが苦手だから心配していたよ。 上手くやっているようで安心した。貴族議員はこちらにまかせておけ。来週お祖母様が反対勢力の派閥の夫を持つレディ達を招いて舞踏会を行う。ここで数票でもこちら側に入れば、大きな前進だ」


「もう引退された王太后様までひっぱり出してきて、お前は本当に人使いが荒いな」


(これほど王太子様とブライス様が力を注いで立案をめざす法案なのね)


ブライスの隣でぼうっと立っていたソフィアに、レイが声をかけた。


「マーレ子爵令嬢、久しいな。結婚前のうら若き君のような乙女が、この変人と密着してあの地獄のような汚屋敷で生活をしなくてはいけない事には、大きな責任を感じているんだ。こいつに辛い目に合わされてはいないか? 法案の立法化の為に、君には大変酷い犠牲を強いてしまってすまない・・」


深々と頭を下げるレイに、ソフィアは本日何度目かぶりの目眩を覚えて叫んだ。


「あ、頭を上げて下さい王太子殿下! た、たしかに館はちょっと信じられないくらい汚くて、あまりの事で目眩がしましたが、御不浄もお風呂も手がつながったままで恥ずかしくて死にそうではありますが! あの! あの、ブライス様はものすごい変人で本当に信じられないくらい無神経なお人ですが、すごくお優しいので!! あの、あの、割とダイジョウブです、はい!!!」


レイとブライスは真っ赤になって、緊張で色々心の本音を全部吐き出してしまっているソフィアの言葉にお互い顔を見合わせて、ぷ、とふきだした。


「ソフィア、そこまで言わないでよ・・ちょっと傷つくよ」


「ククク・・変人で無神経か・・仲良くやっているみたいで安心したよ。いや、失礼。笑うのは間違えだ。マーレ子爵令嬢には我々問題に巻き込んで本当に申し訳ないと思っている。今日は一刻も早く君たちを呪いから解放してやろうと、解析できた所までは解呪する事を思って呼び立てた。早朝にすまなかった」


その言葉に壁の時計をみると、なんとまだ深夜よりの早朝だ。

静かに隣でひかえているセバスチャン、よく見ると目の下に深いクマがある。


(ブ、ブライス様といい王太子殿下といい・・高位魔術師には変人が多いのかしら)


「ともかくマーレ子爵令嬢、早速先ほど解明したやり方で解呪していこう。私の分析によると、この呪術はポーションと魔術の複合で、3層で施錠された魔術だ。すなわち層を一層づつ剥がしてゆくことで・・」


「レイ! 説明はいいから早くやってくれ」




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