第八話 志望理由
バスの中、ノベナガは他三人に対し、気になっているあることを質問した・・・
ノベナガは気まずさで顔が赤くなった。初対面の人二人と、これから何分移動するかもわからないバスの中で話すなんて・・・。横を見ると、イエヤーズは泡を吹いて立ち尽くしていた。「座りな」そう言われ、「仕方がなく」席に座った。しかも、席は当然のように向かい合う形で置かれていた。なんだか面接されている感じがして、ノベナガは座った後、右手の親指から目を離さなかった。でも、相手は黙らせてはくれなかった。しかし、相手に先に質問するのは悪いような気がしたのかわからないが、あっちから先に話し始めた。少し赤みがかった髪色の受験生が話した。「俺の名前はタラウジ、こっちはチョーソカベだ。二人とも別々のところから来てる。」そう言われたって、こっちはなんて返せばいいんだ?ノベナガはできる限り自分が離さないような話題にするために、チョーソカベと言われていた子に目を移した。よく見ると、おでこあたりに三つの小さな傷がある。でも、別の話題に変えるノベナガの作戦は、一瞬にしてなくなってしまった。「ああ、この傷は生まれつきなんだよ。ところで、君たち二人は、名前、なんて言うんだい?」ノベナガはもじもじするしかなかった。でも、それではこの後の時間をただ沈黙する気まずい空間にするしかなくなる。思い切って、ノベナガはしゃべった。「俺の名前は、ノベナガ(イエヤーズ)」ちょうど、イエヤーズが言うのと被ってしまった。でも、向こうは「わかった。」と言うように頷いて、話題を振ってきた。「二人とも、出身はどこなんだい?」「延奈愚町」またもや二人同時に答えた。
「ところで、みんな、なんでここを受験しようと思ったんだい?」今度はタラウジではなく、チョーソカベが聞いた。イエヤーズは気まずくなくなったのか、余裕を持って答えた。「俺は、父さんがここの学校出身だったからだけど」今度はタラウジが答えた。「俺は・・・イエヤーズとおんなじ感じかな」次にチョーソカベが答えた。「僕は、預け親にここのこと教えてもらったからだけど」あれ?とノベナガは思った。誰も手紙について話していない。それどころか、ここを選ぶのがさも当然のように話していた。ノベナガは質問した。「あれ?みんな手紙もらってないの?ほら、学校長のサナガさん?からの手紙」すると、みんな口を揃えて「もらってない」の一点張りだった。ノベナガはもう一つ、一番気になっていることを聞いた。「みんな学校を目指そうと決めた、あるいはこの地下世界?について知ったのっていつなの?」すると、イエヤーズが「生まれた時から」と言うではないか。イエヤーズとは子供園の時も一緒だったが、そんな話を聞いたこともなかった。タラウジは「五歳ぐらいの時に親から話を聞いて志望した」と言うし、チョーソカベは「三歳の時に預け親から話を聞いて勉強し出した」と言う。かくいうノベナガは「三月の終わりぐらいから・・・」とボソボソと言うしかなかった。タラウジに「そんな遅くから勉強始めてこれるって、すご!」と言われたが、正直なはなし、ノベナガはこの三人に勝てる気がしなかった。
そうこうしているうちに、バスが発進し始めた。それからは、勉強について確認しあったり、「実技はどんなことをするんだろう?」と話すだけだった。バスに揺られて一時間経ったような気がした。みんなも席にもたれて寝ているか、外の景色を見るだけだった。外の景色といえば、あそこを出発してから、ずっと山の中を通っている。試験会場にはつきそうにもない・・・。そう思っているうちに、ノベナガも睡魔に襲われた。朝三時台から起きたせいで、ろくに寝ていない。そうして、ノベナガは夢の中に落ちていった・・・。
「おい、ノベナガ!起〜き〜ろ!」その声で目を覚ますと、みんな、部屋から出ていきそうだ。どうやらバスは会場に到着したらしい。ノベナガもみんなに続いておりた。その時、ノベナガは目の前に信じ難い光景を見た。




