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追放された無能魔術師、実は世界で唯一「魔法を創れる」男でした  作者: ななほし


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第37話 もう一人の妹

「――家族の声?」


俺は。


空を見上げた。


さっきまで。


終焉王の巨大な姿しかなかった空。


そこに。


小さな光が浮かんでいた。


白い光。


まるで。


星のようだった。


「レオンさん?」


セレナが。


俺を見る。


「今」


「何か聞こえませんでしたか?」


「……ああ」


俺は。


頷く。


「女の子の声だ」


アリアが。


その言葉を聞いた瞬間。


顔色を変えた。


「……女の子?」


「どうした?」


「その声」


「何て言ってた?」


「俺を」


「お兄ちゃんって」


「……!」


アリアが。


息を呑む。


「そんな……」


「姉さん?」


「レオン」


アリアが。


俺を見る。


「その子の声」


「私には」


「聞こえなかった」


「……」


「でも」


アリアの顔には。


明らかな動揺が浮かんでいる。


「お兄ちゃんと呼ぶ少女なんて」


「私たちの家族には」


「……」


言葉が。


途切れた。


俺は。


嫌な予感がした。


「姉さん」


「何?」


「俺たちには」


「他にも家族がいるのか?」


「……」


アリアは。


答えなかった。


その沈黙が。


答えだった。


「……いるんだな?」


「レオン」


「教えてくれ」


「……」


アリアは。


目を伏せた。


「分からない」


「分からない?」


「うん」


「私も」


「知らない」


「……」


そのとき。


ミアが。


突然。


空を見上げた。


「……来る」


「何が?」


「ノア」


「……!」


ミアが。


呟いた。


「もう一人の」


「鍵」


---


――王城地下。


「お兄ちゃん」


ノアは。


静かに。


目を閉じていた。


白い結晶を。


両手で包み込む。


すると。


結晶から。


光が溢れる。


「……」


老人が。


その光を見る。


「ノア」


「本当に」


「行くつもりなのか?」


「うん」


「危険だぞ」


「分かってる」


「地上には」


「終焉王がいる」


「うん」


「そして」


「お前は」


「まだ完全には」


「目覚めていない」


ノアは。


微笑む。


「でも」


「お兄ちゃんが」


「呼んでる」


「……」


「だから」


「行く」


老人は。


目を閉じた。


「そうか」


「じゃあ」


ノアは。


白い結晶を。


胸元へ。


押し当てた。


「――《転移》」


光が。


少女を包む。


そして。


姿が消えた。


---


「……来る」


ミアが。


もう一度。


呟いた。


「何が来るんだ?」


「上」


俺たちは。


一斉に。


空を見る。


終焉王の巨大な身体。


そのさらに上。


白い光が。


一つ。


落ちてくる。


「……!」


俺は。


剣を構えた。


「敵か?」


エリスが。


尋ねる。


「分からない」


白い光が。


どんどん近づいてくる。


そして。


俺たちの前へ。


ゆっくり。


降り立った。


「……」


少女だった。


黒い髪。


青い瞳。


白い服。


そして。


胸元に。


白い結晶。


俺は。


息を呑んだ。


「……君は?」


少女は。


俺を見る。


そして。


嬉しそうに。


笑った。


「やっと」


「会えたね」


「……」


「お兄ちゃん」


「……!」


背後で。


アリアが。


息を呑んだ。


「……ノア?」


少女が。


アリアを見る。


「お姉ちゃん」


「……」


「久しぶり」


アリアの身体が。


震えた。


「……どうして」


「生きてるの?」


「え?」


「だって」


アリアが。


一歩。


後ろへ下がる。


「あなたは」


「私が」


「殺したはず……」


「……」


ノアは。


少し悲しそうに。


笑った。


「うん」


「私は」


「一度」


「死んだよ」


「……!」


「でも」


胸元の結晶を。


触る。


「世界樹が」


「私を」


「保存してくれた」


「保存……?」


ミアが。


頷く。


「そう」


「ノアは」


「世界樹の中に」


「眠っていた」


「ずっと」


「……」


俺は。


ノアを見る。


「じゃあ」


「俺たちが」


「知らなかったのは?」


「お父さんが」


「隠してたから」


ノアが。


答える。


「どうして?」


「私が」


「第四の鍵だから」


「……!」


終焉王が。


突然。


笑った。


『――ようやく』


『揃ったな』


俺たち全員が。


終焉王を見る。


『六つではない』


『七つだ』


「……七つ?」


終焉王の瞳が。


赤く輝く。


『創造』


『終焉』


『可能性』


『世界樹』


『王家』


『魂』


そして。


『虚無』


「……虚無?」


ノアが。


小さく。


頷く。


「それが」


「私」


「……」


「私は」


「何も持っていない」


「魔法も」


「剣も」


「特別な力も」


「ほとんどない」


ノアが。


笑う。


「だから」


「虚無」


「……」


「でも」


彼女が。


俺を見る。


「何もないからこそ」


「何でも入れられる」


「……どういう意味?」


ノアは。


答える前に。


終焉王を見る。


「私は」


「あなたを」


「消せる」


『……』


初めて。


終焉王が。


黙った。


「おい」


俺は。


ノアを見る。


「本当に?」


「うん」


「どうやって?」


「簡単だよ」


ノアが。


笑う。


「終焉を」


「終わらせる」


「……」


「でも」


「そのためには」


「お兄ちゃんの力が必要」


「俺の?」


「うん」


「お兄ちゃんの」


「可能性」


ノアが。


俺の剣を見る。


「その剣で」


「私の虚無に」


「未来を一つ」


「渡して」


「そうすれば」


「終焉王を」


「消せる」


「……」


「じゃあ」


俺は。


剣を見る。


「やろう」


即答だった。


しかし。


ノアは。


首を横に振った。


「駄目」


「なぜ?」


「それをすると」


「お兄ちゃんの」


「可能性が」


「なくなる」


「……」


「つまり」


「未来を選べなくなる」


「そんな……」


セレナが。


息を呑む。


「それでは」


「レオンさんは」


「……」


ノアが。


悲しそうに。


微笑む。


「一つの未来しか」


「選べなくなる」


「それって」


リナが。


尋ねる。


「死ぬってこと?」


「違うよ」


ノアは。


首を振る。


「生きる」


「でも」


「未来が」


「一つだけになる」


俺は。


考える。


未来が。


一つ。


それは。


俺がずっと。


拒んできたものだった。


「……」


俺は。


仲間を見る。


セレナ。


エリス。


カイン。


リナ。


ミア。


アリア。


そして。


ノア。


「みんなは」


「どう思う?」


誰も。


答えない。


最初に。


口を開いたのは。


アリアだった。


「やめて」


「姉さん?」


「レオン」


アリアが。


俺を見る。


「あなたが」


「そんなものを」


「背負う必要はない」


「でも」


「私のために」


「未来を捨てないで」


「……」


「私は」


「あなたに」


「自由でいてほしい」


セレナも。


頷く。


「私もです」


エリスが。


続く。


「私も」


カインが。


笑う。


「当たり前だろ」


リナは。


泣きながら。


「お兄ちゃんは」


「お兄ちゃんのままでいて」


ミアも。


微笑む。


「未来を一つにする必要なんて」


「ないよ」


「……」


俺は。


剣を握る。


そして。


ノアを見る。


「じゃあ」


「別の方法を探そう」


「……」


ノアの目が。


大きくなる。


「終焉王を」


「倒せる方法を」


「みんなで探す」


「そんな方法」


「あるかな?」


「ある」


「どうして?」


「まだ」


俺は。


剣を掲げる。


「可能性があるから」


「……」


ノアが。


笑った。


「うん」


「それがお兄ちゃんだね」


その瞬間。


終焉王が。


咆哮した。


『――くだらぬ!!』


ドォォォォン!!


巨大な衝撃波が。


帝都を襲う。


「――!」


建物が。


次々と吹き飛ぶ。


「全員!」


俺が叫ぶ。


「防御!」


六人が。


一斉に。


魔力を放つ。


ノアも。


白い結晶を。


掲げた。


「《虚無障壁》」


――シン。


何もない。


本当に。


何もない。


なのに。


終焉王の攻撃が。


その場所だけ。


消えた。


「……!」


俺は。


目を見開く。


「すごい……」


ノアは。


小さく。


笑った。


「虚無だから」


「何もない」


「だから」


「何でも消せる」


終焉王が。


怒りの声を上げる。


『貴様……!』


『虚無の器め……!』


ノアの表情が。


変わった。


「……」


俺は。


彼女を見る。


「ノア?」


「……大丈夫」


「でも」


「怖い?」


「うん」


ノアは。


正直に。


頷いた。


「怖いよ」


「でも」


「お兄ちゃんがいるから」


「……」


「お姉ちゃんも」


「みんなもいるから」


俺は。


笑った。


「だったら」


「一緒に戦おう」


「うん!」


七人。


俺たちは。


並んだ。


終焉王を。


見上げる。


「行くぞ!」


その瞬間。


ノアの胸元の結晶が。


強く輝いた。


世界樹が。


それに呼応する。


そして。


遠く離れた場所から。


もう一つ。


巨大な光が。


帝都へ向かって。


飛んできた。


「……何だ?」


セレナが。


空を見る。


「まだ」


「何か来ます」


俺は。


目を細める。


光の中に。


人影が見える。


一人。


いや。


二人。


三人。


そして。


その先頭に。


見覚えのある男が。


「……父さん?」


俺は。


息を呑んだ。


死んだはずの。


父――アルベルト。


その姿が。


空に。


浮かんでいた。


「レオン」


確かに。


父さんの声だった。


「まだ」


「終わっていない」


「……!」


俺の目から。


涙が落ちる。


「父さん……」


アルベルトは。


俺を見て。


笑った。


「お前なら」


「きっと」


「ここまで来ると思っていた」


そして。


終焉王へ。


剣を向ける。


「――さあ」


「最後の戦いを」


「始めよう」


世界樹。


帝都。


そして。


七人の鍵。


すべてが。


一つの場所へ。


集まり始めた。


だが。


俺は。


まだ知らなかった。


空に現れた父さんが。


本物ではないことを。


そして。


彼の隣に立っている。


二人の人物こそが――


この世界の運命を。


根本から変える存在だということを。

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