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追放された無能魔術師、実は世界で唯一「魔法を創れる」男でした  作者: ななほし


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第36話 六人の反撃

――ズドォォォォン!!


黒い炎が。


帝都の空を覆った。


まるで。


夜そのものが。


落ちてきたかのようだった。


「来るぞ!」


カインが叫ぶ。


俺たちは。


同時に散開した。


次の瞬間。


俺たちが立っていた場所へ。


黒い炎が。


一直線に落ちてくる。


――轟!!


地面が。


大きくえぐれた。


「危なっ……!」


リナが。


尻もちをつく。


「リナ!」


「大丈夫!」


俺は。


彼女へ手を伸ばす。


その手を。


リナが掴んだ。


「ありがとう、お兄ちゃん!」


「無茶するなよ!」


「お兄ちゃんもね!」


「……分かってる!」


だが。


正直に言えば。


分かっているわけではない。


目の前にいる存在は。


これまで戦ってきた魔物とは。


次元が違う。


空を覆うほど巨大な身体。


黒い翼。


赤い瞳。


そして。


世界樹そのものを。


片手で掴めそうなほどの巨体。


――終焉王。


完全なる姿。


「……でかすぎるだろ」


カインが。


呟く。


「どうやって戦うんだよ」


エリスが。


剣を構える。


「大きさは問題ではありません」


「問題だろ!」


「いいえ」


エリスは。


終焉王を見上げる。


「どれだけ巨大でも」


「倒す方法はあるはずです」


「……そうだな」


俺も。


剣を握り直す。


透明だった刃が。


淡く輝いている。


「レオン」


セレナが。


俺の隣へ立つ。


「その剣」


「何か変化しています」


「え?」


見る。


刃の中心。


そこに。


六つの光が。


渦を巻いていた。


「これ……」


ミアが。


目を見開く。


「世界樹の力だけじゃない」


「じゃあ何だ?」


「みんなの」


「魂」


「……!」


「この剣は」


「力を集める剣じゃない」


ミアが。


静かに言った。


「繋がった心を」


「形にする剣なんだよ」


俺は。


剣を見る。


「心を……形に?」


そのとき。


終焉王が。


巨大な腕を振り下ろした。


『――死ね』


「全員!」


俺が叫ぶ。


「防御!」


セレナが。


杖を掲げる。


「《聖域結界》!」


エリスが。


剣を構える。


「《剣界》!」


カインが。


拳を握る。


「《剛力解放》!」


リナが。


杖を振る。


「《大地壁》!」


ミアが。


両手を広げる。


「世界樹よ!」


アリアが。


黒い魔力を放つ。


「《終焉障壁》!」


六つの力が。


一つになる。


――ドォォォォン!!


終焉王の拳が。


巨大な結界へ。


叩きつけられた。


地面が。


揺れる。


「ぐっ……!」


「うあああっ!」


「まだだ!」


俺は。


剣を握る。


「みんな!」


「力を!」


「任せて!」


セレナ。


「いけ!」


エリス。


「ぶちかませ!」


カイン。


「頑張って!」


リナ。


「世界樹の力を!」


ミア。


「私もいるよ!」


アリア。


六つの光が。


剣へ集まる。


俺は。


一歩。


前へ出た。


「――《可能性断ち》!」


剣を。


振り抜く。


――ズバァァァァン!!


空間そのものが。


切れた。


終焉王の腕が。


途中から。


消える。


『――!?』


「効いた!」


カインが。


叫ぶ。


だが。


終焉王は。


すぐに腕を再生させた。


『愚かな』


「……再生するのか」


『我は終焉』


『終わりなきものなど』


『存在しない』


「なら」


俺は。


剣を構える。


「お前にも」


「終わりはある」


『――戯言を』


終焉王が。


口を開く。


その奥に。


巨大な黒い光が。


集まっていく。


「まずい!」


ミアが。


叫ぶ。


「《終焉砲》!」


黒い光が。


放たれる。


「――!」


避ける暇がない。


「レオン!」


アリアが。


俺の前へ。


出る。


「姉さん!」


「大丈夫!」


アリアが。


両手を広げる。


黒い魔力が。


巨大な盾になる。


――ズガァァァァン!!


「ぐっ……!」


「姉さん!」


盾が。


ひび割れる。


「まだ……!」


「アリア!」


俺も。


剣を盾へ。


突き立てる。


すると。


剣から。


金色の光が。


流れ込んだ。


アリアの黒い盾が。


一瞬で。


白と黒。


二色の光へ。


変わる。


「……え?」


アリアが。


目を見開く。


そして。


終焉砲が。


消滅した。


『……何だと』


終焉王が。


初めて。


驚いた。


俺も。


驚いている。


「これが」


「可能性の剣……」


ミアが。


笑った。


「違うよ」


「え?」


「それは」


「お兄ちゃんだけの力じゃない」


「……」


「アリアの終焉を」


「否定するんじゃなくて」


「受け入れた」


「だから」


「力になった」


「……」


俺は。


アリアを見る。


「姉さん」


「うん」


「俺たち」


「一緒に戦えるんだな」


アリアは。


涙を浮かべながら。


笑った。


「最初から」


「そうしたかったんだよ」


「……」


「ごめんね」


「もう謝るな」


「……うん」


---


その頃。


王城の地下。


誰もいないはずの。


暗い部屋。


一人の男が。


膝をついていた。


「……始まったか」


老人だった。


白い髭。


黒いローブ。


そして。


左目に。


大きな傷。


「終焉王が」


「完全に顕現した」


老人は。


ゆっくり。


立ち上がる。


「ならば」


「私も」


「約束を果たす時だ」


老人が。


壁へ手を当てる。


ゴゴゴゴゴ……。


隠し扉が。


開く。


その奥には。


巨大な石碑。


そして。


そこに刻まれた文字。


――第一王家の血を継ぐ者。


――世界樹の子。


――可能性の鍵を持つ者。


――終焉を宿す者。


――創造を受け継ぐ者。


――そして。


最後の一人。


老人は。


最後の文字を見る。


「……まだ」


「一人足りない」


そのとき。


背後から。


声がした。


「いいえ」


「揃っています」


老人が。


振り返る。


「……!」


そこに。


一人の少女が。


立っていた。


黒い髪。


青い瞳。


見覚えのない少女。


「誰だ」


老人が。


警戒する。


少女は。


微笑んだ。


「あなたたちが」


「ずっと探していた」


「最後の一人です」


「……何?」


少女は。


石碑へ。


手を伸ばす。


触れた瞬間。


石碑が。


大きく輝いた。


「私の名前は」


「――ノア」


「レオン・アストリアの」


「もう一人の妹です」


老人の顔が。


凍りついた。


---


――帝都上空。


戦いは。


激しさを増していた。


「はああああっ!」


俺は。


終焉王へ。


斬り込む。


「《可能性断ち》!」


ズバッ!


黒い翼を。


切り裂く。


「今だ!」


エリスが。


跳ぶ。


「《月影斬》!」


ズバァッ!


カインが。


地面を蹴る。


「《轟拳》!」


ドォォン!!


セレナが。


魔法を放つ。


「《聖光槍》!」


無数の光槍が。


終焉王を貫く。


リナが。


杖を掲げる。


「《大地拘束》!」


巨大な根が。


終焉王の足を。


縛る。


ミアが。


叫ぶ。


「今!」


アリアが。


俺を見る。


「レオン!」


「分かってる!」


六人。


同時に。


動く。


「――いけぇぇぇぇぇっ!!」


俺は。


剣を。


振り下ろした。


六つの力が。


一本の斬撃となる。


白。


黒。


金。


赤。


青。


緑。


六色の光が。


空を切り裂いた。


――ズガァァァァァン!!


終焉王の胸に。


巨大な亀裂が。


走る。


『――――ッ!!』


終焉王が。


初めて。


苦痛の声を上げた。


「やった!」


リナが。


叫ぶ。


「まだだ!」


カインが。


叫ぶ。


「倒れてねえ!」


その通りだった。


終焉王は。


胸の亀裂から。


黒い血を流しながら。


ゆっくり。


立ち上がる。


『……人間』


『貴様らは』


『なぜ』


『そこまで抗う』


俺は。


答える。


「生きたいからだ」


『……』


「守りたいからだ」


『……』


「笑いたいからだ」


「大切な人と」


「明日を迎えたいからだ」


終焉王が。


俺を見る。


『明日……』


「そうだ」


『くだらぬ』


「そうかもな」


俺は。


剣を構える。


「でも」


「俺たちにとっては」


「世界を救う理由なんて」


「それで十分なんだよ」


終焉王の瞳が。


赤く輝いた。


『ならば』


『その明日を』


『今ここで』


『奪ってやる』


その瞬間。


終焉王の身体から。


黒い波動が。


爆発的に広がった。


「――っ!」


「何!?」


「魔力が……!」


セレナが。


叫ぶ。


「さっきより」


「圧倒的に強い!」


ミアが。


青ざめる。


「違う……」


「何が?」


「終焉王が」


「本気になったんじゃない」


「……」


ミアが。


震える。


「世界そのものが」


「終焉王を」


「選び始めてる」


「……何だって?」


空を見る。


雲が。


黒く染まる。


海が。


逆流する。


遠くの山々が。


崩れ始める。


「世界が……」


アリアが。


呟く。


「終わる……?」


俺は。


剣を握る。


「まだだ」


「レオン……」


「まだ」


「終わってない」


そのとき。


俺の頭の中に。


聞き覚えのない声が。


響いた。


『――レオン』


「……誰だ?」


『こちらへ来て』


「誰なんだ!」


『あなたが』


『まだ知らない』


『家族の声よ』


「……!」


俺は。


空を見上げる。


その声の主が。


どこかで。


俺を見ている。


そして。


帝都王城の地下。


先ほどの少女――ノアが。


静かに。


微笑んでいた。


「やっと」


「声が届いた」


彼女の手には。


白い結晶。


それは。


俺の持つ剣と。


同じ輝きを放っていた。


「お兄ちゃん」


「今度は」


「私が」


「迎えに行くね」


――物語は。


新たな「家族」の存在を。


明らかにし始めた。

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