↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能魔術師、実は世界で唯一「魔法を創れる」男でした  作者: ななほし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/132

第35話 六つの魂

――ドクン。


世界が。


脈打った。


まるで。


巨大な心臓になったかのように。


帝都の地面が。


大きく上下する。


「な、何だこれ……!」


カインが。


鎖を引きちぎろうとする。


「くそっ!」


ガキンッ!


だが。


鎖は。


傷一つつかない。


「こんなもん……!」


「カイン!」


俺が叫ぶ。


「無理に引っ張るな!」


「分かってる!」


「でも!」


カインは。


歯を食いしばる。


「このままじゃ」


「何もできねえだろ!」


その通りだった。


俺たちは。


完全に拘束されている。


右手。


左手。


身体。


すべて。


動かせない。


唯一。


自由なのは。


握り合った。


アリアの手だけだった。


「姉さん」


「……うん」


「大丈夫?」


「大丈夫」


アリアは。


笑った。


でも。


その顔は。


明らかに無理をしていた。


「嘘だろ」


「……」


「震えてる」


「……少しだけ」


アリアが。


俺の手を。


強く握り返す。


「怖いよ」


「……」


「本当は」


「すごく怖い」


「じゃあ」


「俺も怖い」


「え?」


「俺だって」


「怖いよ」


俺は。


苦笑した。


「父さんが死んだ」


「世界が壊れかけてる」


「終焉王が目の前にいる」


「怖くないわけない」


アリアが。


目を丸くする。


「……レオン」


「でも」


俺は。


彼女を見る。


「だから」


「一人で怖がる必要はない」


「……」


「姉さんも」


「俺も」


「みんなも」


「一緒に怖がればいい」


アリアの目に。


涙が浮かんだ。


「……本当に」


「あなたは」


「昔から変わらないね」


「昔?」


「ううん」


アリアが。


笑う。


「何でもない」


その瞬間。


終焉王の声が。


世界へ響き渡った。


『――儀式を開始する』


ゴォォォォン!!


空に。


巨大な魔法陣が。


浮かび上がった。


その中心に。


赤い光が。


集まっていく。


『創造』


白い光。


『終焉』


黒い光。


『可能性』


金色の光。


そして。


最後に。


『魂』


赤い光。


四つの力が。


一つに集まっていく。


「……魂?」


セレナが。


呟いた。


「それが」


「第四の力なのか?」


終焉王が。


答える。


『違う』


『魂は』


『力ではない』


『器だ』


「器……?」


『創造も』


『終焉も』


『可能性も』


『すべて』


『魂という器があって初めて』


『意味を持つ』


「……」


『だから』


『六つの魂を』


『一つにする』


『それこそが』


『最後の儀式だ』


俺たちの身体に。


黒い光が。


流れ込んでくる。


「――っ!」


頭が。


割れそうになる。


「ぐああああっ!」


「レオン!」


セレナの声。


「大丈夫か!?」


「大丈夫……!」


嘘だ。


全然。


大丈夫じゃない。


頭の中に。


知らない記憶が。


流れ込んでくる。


戦争。


炎。


泣いている人々。


死んでいく兵士。


崩れる街。


そして。


――父さん。


「……!」


俺は。


目を見開く。


父さんが。


誰かと戦っている。


「これは……」


『アルベルトの記憶だ』


終焉王が。


告げる。


『お前の父親が』


『何をしたのか』


『すべて見せてやろう』


映像が。


変わる。


二十年前。


世界樹。


その前に。


若い父さんが。


立っている。


そして。


その隣には。


一人の少女。


「……アリア?」


今より。


ずっと幼い。


父さんが。


彼女の頭を撫でている。


『大丈夫だ』


『レオンは』


『俺が守る』


幼いアリアが。


笑う。


『約束?』


『ああ』


『絶対?』


『絶対だ』


映像が。


変わる。


今度は。


父さんが。


血だらけで倒れている。


その前に。


終焉王。


『アルベルト』


『選べ』


『息子か』


『娘か』


『どちらか一人を』


『助けてやろう』


「……!」


俺は。


息を呑んだ。


父さんが。


ゆっくり。


立ち上がる。


『……両方だ』


終焉王が。


笑う。


『できると思うか?』


『やる』


『ならば』


『お前自身を』


『封印の一部にする』


父さんが。


剣を握る。


『それで二人とも助かるなら』


『俺は構わない』


そして。


映像が。


消えた。


「……」


俺は。


何も。


言えなかった。


「レオン」


アリアが。


泣いている。


「……父さん」


「ずっと」


「私たちを」


「守ってたんだね」


「……ああ」


そのとき。


終焉王が。


笑った。


『だが』


『それも』


『すべて無駄だった』


「何?」


『お前たちは』


『今』


『ここで』


『一つになる』


「……」


『そして』


『お互いの魂を』


『食い合う』


「……!」


『最後に残った者が』


『我の器となる』


「そんな……」


リナが。


青ざめる。


「じゃあ」


「私たち」


「殺し合うの……?」


終焉王が。


答える。


『そうだ』


『それが』


『最後の儀式』


『六つの魂の中で』


『最も強い一つだけが』


『生き残る』


「……」


俺は。


周囲を見る。


セレナ。


エリス。


カイン。


リナ。


ミア。


そして。


アリア。


「……」


誰も。


口を開かなかった。


終焉王が。


告げる。


『さあ』


『選べ』


『誰を殺す?』


「……」


『最初に』


『誰を』


『犠牲にする?』


「……」


俺は。


笑った。


「馬鹿か」


『何?』


「そんなの」


「選ぶわけないだろ」


『……』


「みんな」


「俺の仲間だ」


「家族だ」


「誰一人」


「殺さない」


終焉王の声が。


低くなる。


『ならば』


『全員死ぬぞ』


「それでもいい」


『愚かな』


「違う」


俺は。


仲間を見る。


「俺たちは」


「まだ」


「六人だ」


「……」


「だったら」


「六人で」


「生き残る」


その瞬間。


ミアが。


笑った。


「そうだよ」


「……ミア?」


「お兄ちゃん」


「忘れちゃった?」


「可能性は」


「一つじゃない」


「……!」


「終焉王は」


「一つの未来しか」


「見てない」


ミアが。


目を閉じる。


「だから」


「私たちは」


「別の未来を」


「選べばいい」


セレナが。


頷く。


「……なるほど」


エリスが。


剣を握る。


「つまり」


「この儀式そのものを」


「拒絶する」


カインが。


笑った。


「いいじゃねえか」


リナも。


涙を拭う。


「うん」


「やろう」


アリアが。


俺を見る。


「レオン」


「何?」


「私」


「もう一つ」


「約束していい?」


「何を?」


「今度は」


「あなたを守るだけじゃなく」


「一緒に」


「生きたい」


「……」


俺は。


笑った。


「もちろん」


その瞬間。


六人の鎖が。


一斉に。


輝いた。


『――何?』


終焉王が。


初めて。


動揺した。


「何だ……?」


鎖が。


白く。


金色に。


変わっていく。


セレナの魔力。


エリスの魔力。


カインの魔力。


リナの魔力。


ミアの世界樹の力。


そして。


アリアの終焉の力。


六つの力が。


互いに。


繋がっていく。


「……これ」


セレナが。


呟く。


「儀式の魔力を」


「逆流させている?」


「どうやって?」


エリスが。


尋ねる。


ミアが。


答える。


「選ばない」


「ただ」


「一緒にいる」


「それだけ」


「……」


『やめろ』


終焉王が。


叫んだ。


『やめろ!!』


空が。


揺れる。


「効いてる!」


カインが。


叫ぶ。


『その力は』


『存在してはならぬ!』


「じゃあ」


俺は。


笑う。


「存在させてやる」


『レオン!!』


終焉王が。


黒い光を。


一斉に放つ。


「――っ!」


俺たちを。


飲み込む。


だが。


その光の中で。


俺たち六人の魔力が。


一つになった。


白。


黒。


金。


赤。


そして。


青。


緑。


六つの光が。


混ざり合う。


その中心に。


小さな光が。


生まれた。


「……何だ?」


ミアが。


その光を見る。


「これが」


「最後の答え」


「え?」


「六つの魂が」


「一つになったんじゃない」


ミアが。


微笑む。


「六つの魂が」


「それぞれのまま」


「繋がった」


「……!」


その瞬間。


鎖が。


砕け散った。


――バキィィィン!!


「……!」


俺たちは。


全員。


自由になった。


終焉王が。


叫ぶ。


『馬鹿な……!』


俺は。


地面へ着地する。


剣を握る。


透明な刃に。


六色の光が。


宿っていた。


「終焉王」


俺は。


空を見上げる。


「お前の計画」


「失敗だ」


『……』


「俺たちは」


「殺し合わない」


「誰か一人だけが」


「生き残る必要もない」


「全員で」


「未来を選ぶ」


終焉王が。


沈黙する。


そして。


巨大な翼を。


広げた。


『ならば』


『六人まとめて』


『消してやる』


「来い」


俺も。


剣を構える。


「今度は」


「六人で」


「相手してやる」


そのとき。


王城の外から。


大きな爆発音が。


響いた。


ドォォォォン!!


「……!」


セレナが。


外を見る。


「何が起きたんですか?」


俺は。


窓へ走る。


帝都の街。


その中心で。


巨大な黒い柱が。


立ち上がっていた。


「……あれは?」


ミアの顔が。


青ざめる。


「世界樹と」


「帝都を繋ぐ」


「終焉の柱」


「何だそれ……」


「世界樹が」


「帝都の魔力を」


「吸い始めてる」


「……!」


「このままだと」


「帝都が」


「世界樹に」


「飲み込まれる」


俺は。


空を見上げる。


黒い亀裂。


その向こうから。


何かが。


降りてくる。


巨大な腕。


そして。


頭。


終焉王の本体。


今まで見えていたのは。


ほんの一部だった。


『――ようやく』


『我が』


『完全な姿で』


『この世界へ出られる』


地面が。


割れる。


城が。


揺れる。


帝都の人々が。


悲鳴を上げる。


「レオン……」


アリアが。


俺を見る。


「どうする?」


俺は。


剣を握り直す。


「決まってる」


「世界を守る」


「でも」


カインが。


苦笑する。


「相手が」


「でかすぎねえか?」


「……」


確かに。


終焉王は。


もう。


城より大きい。


その姿は。


山のようだった。


俺は。


それでも。


笑った。


「じゃあ」


「もっと大きくなればいい」


「は?」


俺は。


剣を。


空へ掲げる。


「みんな」


「力を貸してくれ」


セレナが。


頷く。


「はい」


エリスが。


笑う。


「喜んで」


カインが。


拳を握る。


「任せろ!」


リナが。


杖を掲げる。


「いくよ!」


アリアが。


俺の隣へ。


「私も」


ミアも。


両手を広げる。


「世界樹も」


「あなたと一緒に戦う」


六つの魔力が。


再び。


集まっていく。


そして。


世界樹そのものが。


震え始めた。


ゴゴゴゴゴゴゴ……。


地面から。


巨大な根が。


次々と。


伸びていく。


「……」


俺は。


息を呑んだ。


世界樹の根が。


俺たちの周囲を。


包み込んでいく。


まるで。


巨大な鎧のように。


そして。


俺たちの前に。


巨大な白い翼が。


広がった。


「これは……」


ミアが。


微笑む。


「世界樹の力」


「みんなを」


「守ってくれる」


俺は。


その翼を見る。


「……行くぞ」


六人が。


並ぶ。


そして。


俺は。


終焉王を見上げた。


「これが」


「俺たちの答えだ」


終焉王が。


吠える。


『――ならば』


『最後まで抗え!』


黒い炎が。


空を覆った。


俺たちも。


走り出す。


――最終決戦。


その第一歩が。


今。


始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。