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追放された無能魔術師、実は世界で唯一「魔法を創れる」男でした  作者: ななほし


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第34話 第四の封印

――帝都王城。


「第四の封印……?」


皇帝は。


アリアの言葉を聞いて。


目を細めた。


「なぜ、その名を知っている」


アリアは。


答えなかった。


ただ。


ゆっくりと。


王座の奥へ視線を向ける。


そこには。


巨大な壁画があった。


四つの紋章。


創造。


終焉。


可能性。


そして――。


空白。


「……」


皇帝の表情が。


変わる。


「お前は」


「何者だ」


「さっきも言ったでしょ」


アリアが。


静かに笑う。


「レオンの姉」


「それだけ?」


「それだけだよ」


「嘘をつけ」


皇帝が。


剣を抜く。


「第四の封印の存在を知る者は」


「世界でも数人しかいない」


「その一人が」


「なぜここにいる!」


「……」


アリアは。


少しだけ。


悲しそうな顔をした。


「知ってるよ」


「あなたが」


「レオンのお父さんと」


「約束したことも」


「……!」


皇帝の顔色が変わった。


「アルベルトと……?」


「二十年前」


「あなたは」


「お父さんに頼まれた」


「もし」


「終焉王が目覚めたら」


「第四の封印を」


「レオンへ渡してほしい」


「……」


「でも」


アリアが。


目を伏せる。


「あなたは」


「渡さなかった」


皇帝は。


何も答えない。


「どうして?」


「……」


「怖かった?」


「それとも」


「レオンを」


「信用できなかった?」


皇帝は。


拳を握る。


「違う」


「では?」


「第四の封印は」


「人間には扱えぬ」


「……」


「アルベルトも」


「それを知っていた」


「だから」


「お前に渡すことを」


「拒んだのだ」


アリアが。


目を見開く。


「……違う」


「何?」


「お父さんは」


「私に言った」


「いつか」


「レオンが必要になったら」


「渡してほしいって」


「……」


「でも」


「私は」


「それを」


「守れなかった」


アリアの瞳から。


一滴。


涙が落ちる。


「だから」


「今度こそ」


「私が」


「レオンを守る」


「そのために」


黒い魔力が。


広がった。


「第四の封印を」


「奪う」


皇帝が。


剣を構える。


「させると思うか!」


「……」


「全騎士!」


「私を守れ!」


王城にいた騎士たちが。


一斉に。


剣を抜く。


「――突撃!」


数十人の騎士が。


アリアへ。


殺到する。


「……ごめんね」


アリアが。


呟く。


次の瞬間。


黒い波動が。


広間を駆け抜けた。


ドォォォォン!!


「うわぁぁぁっ!」


騎士たちが。


一斉に吹き飛ぶ。


壁へ。


床へ。


次々と倒れていく。


「な……」


皇帝は。


言葉を失った。


アリアは。


一歩。


また一歩。


玉座へ近づいていく。


「私は」


「あなたたちと」


「戦いたいわけじゃない」


「だったら」


皇帝が。


叫ぶ。


「なぜ!」


「レオンの姉なら」


「なぜ帝都を滅ぼそうとする!」


アリアは。


立ち止まった。


「……滅ぼす?」


「そうだ!」


「違うよ」


「私は」


「帝都を」


「救いに来たの」


「何?」


アリアは。


空を見上げる。


「終焉王が」


「もうすぐ」


「世界樹から」


「完全に出てくる」


「……」


「そうなったら」


「帝都どころか」


「世界全部が」


「終わる」


「だから」


アリアが。


皇帝を見る。


「第四の封印を」


「使う」


「それしかない」


皇帝は。


首を振った。


「第四の封印を使えば」


「お前自身が」


「消えるぞ」


「……」


「知ってる」


「ならば!」


「それでも」


アリアは。


微笑んだ。


「いいの」


「レオンが」


「生きてくれるなら」


「私は」


「それでいい」


---


――世界樹。


「急げ!」


俺たちは。


全力で。


走っていた。


「帝都まで」


「どれくらいかかる!?」


カインが。


尋ねる。


ミアが。


答える。


「普通なら」


「三日」


「三日!?」


「でも」


ミアが。


前方を見る。


「世界樹の転移門を使えば」


「一瞬」


「それ早く言ってくれ!」


俺たちは。


巨大な魔法陣の前へ。


たどり着いた。


「これが」


「転移門?」


セレナが。


確認する。


「はい」


ミアが。


頷く。


「ただし」


「問題がある」


「何だ?」


「一度」


「帝都へ飛ぶと」


「戻れない」


「……」


「世界樹の門が」


「閉じるから」


俺は。


迷わなかった。


「それでも行く」


「レオン」


セレナが。


俺を見る。


「帝都には」


「母さんがいる」


「それに」


俺は。


剣を握る。


「アリアも」


「待ってる」


エリスが。


頷いた。


「では」


「行きましょう」


カインが。


笑う。


「やっと」


「本番ってわけだな」


リナも。


杖を握る。


「絶対に」


「みんなで帰ろうね」


「……ああ」


俺は。


魔法陣へ。


足を踏み入れた。


「行くぞ!」


白い光が。


俺たちを包む。


そして――。


世界が。


反転した。


---


「――っ!」


目を開ける。


「……帝都?」


目の前に。


見慣れた街が。


広がっていた。


だが。


街は。


見る影もなかった。


建物は。


崩れている。


道は。


ひび割れている。


空には。


黒い亀裂。


そして。


無数の魔物。


「……酷い」


リナが。


呟く。


「これが」


「帝都……?」


俺は。


拳を握った。


「急ぐぞ」


「王城へ」


「はい!」


俺たちは。


走り出した。


---


その頃。


王城。


アリアと皇帝は。


向かい合っていた。


「最後に聞く」


皇帝が。


言った。


「なぜ」


「そこまでして」


「レオンを守ろうとする?」


アリアは。


少しだけ。


笑った。


「……兄だから」


「それだけか?」


「うん」


「血の繋がった兄妹ではないだろう」


「……」


「お前とレオンには」


「血の繋がりがない」


アリアの表情が。


固まる。


「……知ってたんだ」


「ああ」


「ずっと?」


「アルベルトから聞いていた」


「……」


アリアは。


目を閉じる。


「そう」


「だったら」


「なおさら」


「守らないとね」


「なぜだ」


「家族だから」


皇帝は。


黙った。


「血なんて」


「関係ないよ」


「一緒に暮らして」


「笑って」


「泣いて」


「喧嘩して」


「それで」


「家族になるんだから」


「……」


「私にとって」


「レオンは」


「大切な弟」


「だから」


アリアが。


右手を上げる。


「私は」


「死んでも」


「守る」


その瞬間。


玉座の背後。


巨大な壁画が。


割れた。


ゴゴゴゴゴゴ……。


その奥から。


黒い石の祭壇が。


現れる。


そして。


中央に。


一つの結晶が。


浮かび上がった。


黒。


白。


金。


三つの色が。


混ざった。


「……第四の封印」


皇帝が。


呟く。


アリアは。


それへ。


手を伸ばす。


しかし。


触れる直前。


「――待って!」


声が。


響いた。


アリアが。


振り返る。


「……!」


王城の扉。


そこに。


俺たちが。


立っていた。


「レオン……」


アリアの顔が。


青ざめる。


俺は。


息を切らしながら。


彼女を見る。


「……姉さん」


「どうして」


「帝都に戻ってきたの?」


アリアは。


答えない。


俺は。


ゆっくり。


彼女へ近づく。


「姉さん」


「その力」


「何だ?」


「……」


「俺を守るため?」


「……」


「それとも」


「死ぬつもりなのか?」


アリアの目から。


涙が。


落ちた。


「……ごめん」


「答えてよ」


「ごめんね」


「姉さん!」


俺が。


叫んだ。


「俺は」


「もう」


「誰かが」


「俺のために死ぬのを」


「見たくない!」


アリアは。


泣きながら。


笑った。


「……そうだね」


「だったら」


「私が」


「一緒に戦う」


「え?」


「レオン」


アリアが。


手を伸ばす。


「私も」


「仲間に入れてくれる?」


「……」


俺は。


迷わなかった。


その手を。


握った。


「もちろん」


「……ありがとう」


アリアが。


笑う。


その瞬間。


――ドクン。


第四の封印が。


大きく脈動した。


「……!」


セレナが。


叫ぶ。


「レオンさん!」


「何だ!?」


「魔力が」


「急激に増えています!」


ミアが。


青ざめる。


「まずい」


「何が?」


「第四の封印は」


「一人では使えない」


「……」


「五人必要なの」


「五人?」


俺は。


周囲を見る。


セレナ。


エリス。


カイン。


リナ。


そして。


アリア。


「……」


ミアが。


首を横に振る。


「違う」


「え?」


「六人」


「六人必要」


「じゃあ」


俺は。


尋ねる。


「あと一人は?」


ミアが。


ゆっくり。


俺を見る。


「……お兄ちゃん」


「何?」


「もう一人の鍵」


「もう」


「ここにいるよ」


「……」


その瞬間。


王城の天井が。


崩れた。


ドォォォォン!!


黒い炎が。


空から降ってくる。


「――!」


全員が。


空を見上げた。


そこに。


巨大な影が。


浮かんでいた。


黒い翼。


赤い瞳。


そして。


その背中に。


一人の男。


「……ヴァルガス」


俺が。


呟く。


ヴァルガスは。


笑っていた。


「ようやく」


「全員揃いましたね」


「何だと?」


「第四の封印」


「第三の鍵」


「そして」


「アリア」


彼が。


両手を広げる。


「すべて」


「私の計画通りです」


「……何?」


ヴァルガスの背後。


終焉王の巨大な瞳が。


開く。


『――そうだ』


『すべて』


『予定通り』


俺の背筋に。


冷たいものが走った。


「……どういうことだ?」


終焉王が。


笑う。


『第三の鍵が目覚めることも』


『第四の封印が開くことも』


『アリアが戻ってくることも』


『すべて』


『我が望んだことだ』


「……!」


ミアが。


震える。


「そんな……」


終焉王が。


俺を見る。


『レオン』


『お前は』


『自ら』


『我を完全に目覚めさせるための』


『最後の扉を』


『開いたのだ』


「……」


俺は。


剣を握った。


「じゃあ」


「俺たちが」


「ここまで来たことも」


「全部」


「お前の計画だったのか?」


『そうだ』


『そして』


終焉王の口元が。


歪む。


『これで』


『最後の鍵が』


『揃った』


「最後の鍵……?」


『お前たち六人だ』


「……!」


その瞬間。


第四の封印から。


黒い鎖が。


一斉に飛び出した。


「――っ!」


六人の身体へ。


それぞれ一本ずつ。


鎖が巻きつく。


「何だこれ!」


「レオン!」


「動けない!」


「お兄ちゃん!」


ミアが。


叫ぶ。


「逃げて!」


「でも!」


「これは」


「終焉王のための」


「最後の儀式だから!」


「……!」


俺は。


鎖を握る。


だが。


びくともしない。


終焉王が。


笑う。


『さあ』


『始めよう』


『世界を終わらせるための』


『最後の儀式を』


そして。


アリアが。


叫んだ。


「レオン!」


「絶対に」


「私の手を」


「離さないで!」


「姉さん!」


彼女の手を。


強く握る。


その瞬間。


第四の封印が。


眩い光を放った。


世界樹。


帝都。


そして。


世界全体が。


一つの巨大な魔法陣へ。


変わっていく。


――終焉王の計画が。


ついに。


動き始めた。

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