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追放された無能魔術師、実は世界で唯一「魔法を創れる」男でした  作者: ななほし


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第33話 奪われた帝都と最後の鍵

――帝都。


「逃げろ!」


「魔物だ!」


「門を閉めろ!」


「騎士団を呼べ!」


街中に。


悲鳴が響いていた。


空を覆う黒い亀裂。


そこから。


無数の魔物が。


降り注いでいる。


ドォン!


建物が崩れる。


「きゃあああっ!」


「助けて!」


人々が。


我先にと逃げていく。


だが。


帝都には。


まだ騎士たちが残っていた。


「全員、陣形を組め!」


「魔物を街の外へ押し返せ!」


「市民を優先しろ!」


剣と魔法が。


次々と飛び交う。


しかし。


魔物の数は。


あまりにも多かった。


「隊長!」


「東門が破られました!」


「何だと!?」


「第三街区にも侵入しています!」


「くそっ……!」


騎士隊長は。


空を見上げた。


「いったい」


「何が起きている……」


その瞬間。


中央広場に。


一人の少女が。


ゆっくりと降り立った。


赤い髪。


白い服。


そして。


赤く染まった瞳。


「……」


騎士隊長が。


剣を向ける。


「止まれ!」


少女は。


歩みを止めた。


「何者だ!」


少女は。


答えない。


ただ。


静かに。


騎士隊長を見る。


「……」


次の瞬間。


彼の剣が。


黒い霧に包まれた。


「なっ……!」


剣が。


粉々に砕ける。


「う、うわぁぁぁ!」


周囲の騎士たちが。


後退する。


少女は。


静かに言った。


「私は」


「アリア」


「……!」


「レオン・アストリアの」


「姉です」


騎士たちの間に。


ざわめきが広がる。


「レオン……?」


「英雄レオンの姉だと?」


「そんな記録は……」


アリアは。


目を伏せた。


「そうだよね」


「私のこと」


「誰も知らない」


「……」


「でも」


アリアが。


右手を上げる。


「これから」


「知ることになるよ」


黒い魔力が。


広場を覆う。


「この帝都が」


「どうやって」


「終わるのかを」


---


同じ頃。


世界樹内部。


俺たちは。


長い階段を。


下っていた。


「……長い」


リナが。


ぼやく。


「もう」


「どれくらい歩いた?」


カインが。


笑う。


「数えてねえな」


「百段くらい?」


「もっとだろ」


「二百?」


「三百くらいじゃないか?」


「……」


エリスが。


無言で。


二人を見る。


「どうでもいい」


「えぇ……」


リナが。


しょんぼりする。


「エリスって冷たいよね」


「そうですか?」


セレナが。


苦笑する。


「少しだけ」


「……」


エリスは。


考える。


「では」


「努力します」


「何を?」


「もっと」


「優しくします」


「そこじゃないよ!」


リナが。


叫ぶ。


俺は。


思わず笑った。


「……」


久しぶりだった。


こんなふうに。


笑ったのは。


父さんが。


消えてから。


まだ。


時間は経っていない。


胸の奥は。


ずっと痛い。


だけど。


仲間がいる。


だから。


歩ける。


「レオン」


セレナが。


隣へ来る。


「……何?」


「無理していませんか?」


「してない」


「嘘です」


「……」


「分かります」


セレナが。


微笑む。


「顔に書いてあります」


「そんなに分かりやすい?」


「はい」


「……そっか」


俺は。


少しだけ。


笑った。


「ありがとう」


「いえ」


その前を。


ミアが。


歩いている。


「……」


俺は。


ミアを見る。


「ミア」


「なに?」


「最後の鍵って」


「どこにあるんだ?」


「もうすぐ」


「もうすぐって?」


「この先」


ミアが。


指差す。


そこには。


巨大な扉があった。


「……」


扉には。


三つの紋章。


創造。


終焉。


そして。


中央に。


何も刻まれていない円。


「これが?」


「うん」


ミアが。


頷く。


「最後の鍵の部屋」


「でも」


エリスが。


扉を見る。


「鍵穴がない」


「そうだよ」


「どうやって開ける?」


ミアは。


俺を見る。


「お兄ちゃんが」


「触れば開く」


「……また俺か」


「だって」


「第三の鍵だから」


俺は。


扉へ近づく。


そして。


手を触れた。


――カチッ。


音がした。


扉が。


ゆっくり開いていく。


中は。


真っ暗だった。


「……」


俺たちは。


慎重に。


中へ入る。


すると。


部屋の中央に。


一本の剣が。


浮いていた。


「剣……?」


リナが。


呟く。


それは。


普通の剣ではなかった。


刃は。


透明。


柄には。


白でも黒でもない。


淡い金色の石が。


埋め込まれている。


ミアが。


静かに言う。


「これが」


「最後の鍵」


「これが鍵?」


カインが。


首を傾げる。


「どう見ても剣だろ」


「剣でもあり」


「鍵でもある」


「……」


俺は。


剣へ近づく。


すると。


剣が。


俺を呼ぶように。


淡く光った。


「……」


手を伸ばす。


触れた瞬間。


――ドクン。


心臓が。


大きく鳴った。


そして。


声が聞こえた。


『選べ』


「……」


『世界を救うか』


『愛する者を救うか』


『どちらか一つを』


「……は?」


『世界を救えば』


『愛する者が死ぬ』


『愛する者を救えば』


『世界が滅びる』


「……」


嫌な。


予感しかしない。


『さあ』


『選べ』


「……断る」


『?』


「そんな選択」


「しない」


『不可能だ』


「なら」


俺は。


剣を握る。


「可能にする」


その瞬間。


剣が。


強く輝いた。


『……』


『面白い』


『その答えを』


『待っていた』


「……何?」


剣から。


人の姿が。


浮かび上がる。


白い髪。


青い瞳。


女性。


「……誰だ?」


彼女は。


微笑んだ。


「初めまして」


「レオン」


「私は」


「イリス」


「この剣に宿る」


「最後の守護者です」


「守護者……」


「そう」


イリスは。


俺を見る。


「あなたのお父様も」


「この剣を」


「一度だけ抜きました」


「父さんが?」


「はい」


「そして」


彼女は。


少し寂しそうに。


微笑む。


「あなたのお父様は」


「世界を救うために」


「一人の少女を」


「犠牲にしました」


「……!」


「それが」


「アリアです」


「……」


俺は。


言葉を失った。


「父さんが」


「アリアを?」


「はい」


「違う!」


突然。


ミアが。


叫んだ。


「お父さんは」


「アリアを」


「犠牲にしたんじゃない!」


イリスが。


ミアを見る。


「……あなたが」


「口を出すとは」


「珍しいですね」


「だって!」


ミアが。


拳を握る。


「お父さんは」


「最後まで」


「お姉ちゃんを」


「助けようとしてた!」


「……」


イリスは。


しばらく。


黙っていた。


そして。


俺を見る。


「その通りです」


「……え?」


「アルベルトは」


「最後まで」


「アリアを救おうとしていました」


「じゃあ」


「なぜ」


「アリアは」


「終焉王の側にいる?」


「それは」


イリスが。


目を伏せる。


「彼女自身が」


「そう選んだからです」


「……」


「アリアは」


「弟を守るため」


「終焉王と契約しました」


「俺を?」


「はい」


「どうして?」


「あなたが」


「生き残るためです」


俺は。


息を呑んだ。


「終焉王は」


「アリアに」


「条件を出しました」


「どんな?」


「アリアが」


「終焉王の器になる代わりに」


「あなたを」


「殺さない」


「……」


俺は。


拳を握った。


「そんなの」


「契約じゃない」


「脅迫だ」


「その通りです」


イリスが。


頷く。


「でも」


「アリアは」


「受け入れた」


「……」


「あなたを守るために」


その言葉が。


胸に刺さる。


俺は。


アリアを思い出した。


『ごめんね』


『レオン』


あの涙。


あの表情。


全部。


俺を守るためだったのか。


「……」


「レオン」


セレナが。


俺の肩へ。


手を置いた。


「大丈夫です」


「……うん」


俺は。


顔を上げる。


「イリス」


「はい」


「アリアを」


「助ける方法はある?」


イリスは。


しばらく。


俺を見つめた。


そして。


一言。


「あります」


「……!」


「この剣なら」


「可能です」


「だったら」


「使う」


「ただし」


「条件があります」


「何でもいい」


「その言葉は」


「後悔しますよ」


「それでもいい」


イリスが。


微笑む。


「では」


剣を。


俺へ差し出す。


「あなたの未来を」


「一度」


「捨ててもらいます」


「……未来を?」


「はい」


「意味が分からない」


「この剣は」


「未来を切り替える剣」


「だから」


「今のあなたが持つ」


「未来を一つ」


「捨てなければならない」


「……」


俺は。


仲間を見る。


セレナ。


エリス。


カイン。


リナ。


そして。


ミア。


「どんな未来を?」


イリスが。


答える。


「あなたが」


「今の仲間たちと」


「旅を続ける未来です」


「……!」


「その未来を捨てれば」


「アリアを救える可能性が生まれます」


「……」


「ですが」


「今の仲間たちとの記憶を」


「失う可能性があります」


「……!」


セレナが。


息を呑む。


「レオンさん……」


エリスが。


静かに言う。


「選ぶ必要はない」


「え?」


「私たちなら」


「別の方法を探せばいい」


カインが。


笑う。


「そうだろ?」


リナも。


頷く。


「うん」


ミアは。


俺を見て。


微笑んだ。


「だから」


「言ったでしょ?」


「未来は」


「一つじゃない」


俺は。


剣を見る。


そして。


手を伸ばした。


「……」


握る。


剣は。


俺の手に。


完全に馴染んだ。


「俺は」


「未来を捨てない」


イリスが。


微笑む。


「……そう答えると思っていました」


「だったら」


「方法を教えてくれ」


「はい」


その瞬間。


イリスの姿が。


光へ変わった。


「第三の鍵とは」


「未来そのものではありません」


「では?」


「未来を」


「選び続ける者」


光が。


俺の剣へ。


吸い込まれる。


「つまり」


「あなた自身です」


剣が。


大きく輝いた。


そして。


世界樹の奥から。


巨大な鐘の音が。


響いた。


ゴォォォォン――。


「……何?」


ミアが。


青ざめる。


「まずい」


「どうした?」


「終焉王が」


「完全に目覚めた」


「……!」


「そして」


ミアが。


目を閉じる。


「帝都も」


「もう」


「戦場になってる」


俺は。


立ち上がる。


「帝都?」


「うん」


「お母さんがいる」


「……!」


俺は。


振り返る。


「戻るぞ」


セレナが。


頷く。


「はい」


エリスも。


剣を握る。


「急ぎましょう」


カインが。


肩を鳴らす。


「今度こそ」


「ぶっ倒してやる」


リナが。


杖を構える。


「私も!」


ミアも。


頷く。


「私も行く」


「ミア」


「お姉ちゃんを」


「助けたいんでしょ?」


「……ああ」


「だったら」


「一緒に行く」


俺は。


剣を見る。


透明な刃の中。


淡い金色の光が。


静かに輝いていた。


「待ってろ」


「アリア」


俺は。


世界樹の出口へ。


走り出した。


---


その頃。


帝都。


王城。


「陛下!」


「ご報告です!」


「何だ!」


「東門が陥落!」


「第三街区も!」


「魔物が王城へ接近しています!」


皇帝は。


玉座から立ち上がる。


「……レオンは?」


「まだ」


「戻っておりません!」


「……」


皇帝は。


拳を握った。


「そうか」


そのとき。


王城の巨大な扉が。


爆発した。


ドォォォォン!!


兵士たちが。


吹き飛ぶ。


そして。


煙の中から。


一人の少女が。


歩いてくる。


赤い髪。


赤い瞳。


アリア。


「……」


皇帝が。


剣を抜く。


「何者だ!」


アリアは。


ゆっくり。


顔を上げた。


「私は」


「レオンの姉」


「アリア」


「……!」


「そして」


彼女は。


悲しそうに。


微笑んだ。


「今日」


「この国を」


「終わらせに来ました」


王城の鐘が。


鳴り響く。


帝都は。


完全に。


戦場へと変わった。


そして。


世界樹から帝都へ向かうレオンたちは。


まだ知らなかった。


アリアが。


帝都を攻撃している。


本当の理由を。


彼女が狙っているのは。


帝都そのものではない。


――皇帝の持つ。


「第四の封印」だった。

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