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追放された無能魔術師、実は世界で唯一「魔法を創れる」男でした  作者: ななほし


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第31話 世界の終焉が始まる

空が。


黒く染まっていた。


雲ではない。


闇そのものだった。


世界樹の頂上から広がった黒い波が、空を覆い尽くしていく。


そして――。


黒い光が。


雨のように。


降り始めた。


「……何だ、これ」


俺は。


空を見上げる。


一つ。


また一つ。


黒い光が地上へ落ちていく。


ズンッ。


遠くで。


大地が揺れた。


ズズンッ。


また揺れる。


さらに遠く。


山が。


崩れた。


「……」


誰も。


言葉を発しなかった。


「レオン……」


セレナの声が。


震えている。


「これが……」


「終焉王の力……」


俺は。


拳を握った。


父さん。


二十年間。


ずっと。


この化け物を。


一人で封じていた。


それを。


今。


俺たちが。


止めなければならない。


「……行くぞ」


俺は。


剣を構えた。


エリスが。


横に並ぶ。


「はい」


カインも。


剣を抜く。


「やるしかないな」


リナは。


震える手で杖を握っている。


「……怖い」


「リナ」


「でも」


彼女は。


顔を上げた。


「逃げない」


セレナも。


頷く。


「私も」


「……みんな」


俺は。


四人を見る。


そして。


小さく笑った。


「ありがとう」


その瞬間。


終焉王が。


こちらを見た。


『――来い』


「……!」


『人間』


『我を倒すというのなら』


『その覚悟を見せてみろ』


巨大な腕が。


振り下ろされる。


「散れ!」


俺が叫ぶ。


ドォォォォン!!


地面が。


爆発した。


俺たちは。


それぞれ別方向へ飛ぶ。


「今だ!」


エリスが。


一気に駆ける。


「――《閃光連斬》!」


光の斬撃が。


終焉王の腕へ。


何十本も叩き込まれる。


だが。


「……!」


傷が。


つかない。


「硬すぎる……!」


終焉王が。


エリスを見る。


『――弱い』


「っ!」


黒い腕が。


横薙ぎに振られる。


「エリス!」


カインが。


割り込んだ。


ガキィィィン!!


「ぐっ……!」


カインの身体が。


吹き飛ぶ。


「カイン!」


地面を。


何度も転がる。


「……痛ぇ」


「生きてる!」


カインが。


立ち上がる。


「まだやれる!」


「無茶するな!」


「無茶しなきゃ勝てねえだろ!」


その言葉に。


俺は。


笑った。


「確かに!」


「レオン!」


セレナの声。


「右です!」


振り返る。


黒い光が。


迫っていた。


「――《創世障壁》!」


白い壁が。


展開される。


ドォォン!!


黒い光が。


壁へ衝突。


「ぐっ……!」


俺の腕が。


震える。


「レオン!」


「大丈夫!」


「でも!」


「これくらい!」


白い光が。


さらに強くなる。


そして。


黒い光を。


弾き返した。


「……!」


終焉王が。


初めて。


俺を見る。


『なるほど』


『創造の力か』


「そうだ」


俺は。


剣を構える。


「父さんから」


「もらった力だ」


『アルベルト……』


終焉王が。


低く笑う。


『あの男は』


『最後まで愚かだった』


「父さんを」


「知ってるのか?」


『当然だ』


『我を封じた者』


『我を二十年間』


『縛り続けた者』


『忘れるはずがない』


「……」


『だが』


終焉王が。


目を細める。


『あの男は』


『最後に一つ』


『間違えた』


「何を?」


『お前に』


『創造の力を渡したことだ』


「……?」


『創造と終焉』


『その二つを同時に持てば』


『人間の魂は』


『耐えられぬ』


俺は。


自分の胸に手を当てる。


確かに。


熱い。


身体の奥が。


焼けるように熱い。


「……だったら」


俺は。


笑う。


「耐えてみせる」


『愚かな』


「それは」


「父さんにも言われた」


そして。


地面を蹴る。


「――行くぞ!」


俺が。


終焉王へ。


一直線に突っ込む。


「《創世終焉・一閃》!」


白と黒。


二つの力が。


一本の刃となる。


終焉王が。


腕で防ぐ。


ガキィィィン!!


「――っ!」


弾かれた。


だが。


その瞬間。


エリスが。


背後から。


「――《聖銀・月華》!」


斬撃が。


終焉王の背中へ。


ドンッ!!


「――!」


終焉王が。


初めて。


身体を揺らした。


「効いた!」


リナが。


叫ぶ。


「今!」


セレナが。


杖を掲げる。


「《聖域・光槍》!」


巨大な光の槍が。


終焉王へ。


カインも。


同時に突っ込む。


「――《獄炎斬》!」


四人の攻撃が。


一斉に。


終焉王へ集中する。


ドゴォォォォン!!


爆発。


光。


炎。


斬撃。


すべてが。


終焉王を包む。


「……やった?」


リナが。


呟く。


煙が。


晴れていく。


「……」


誰も。


動かなかった。


そして。


煙の中から。


巨大な影が。


立ち上がった。


『――これが』


『お前たちの全力か?』


「……!」


終焉王には。


傷が。


ほとんどなかった。


「嘘……」


リナの顔が。


青ざめる。


「効いてない……」


『弱い』


終焉王が。


腕を上げる。


『あまりにも』


『弱い』


その瞬間。


黒い魔力が。


爆発した。


「――っ!」


俺たちは。


全員。


吹き飛ばされた。


「レオン!」


セレナが。


地面へ叩きつけられる。


「ぐっ……!」


俺も。


何度も転がった。


身体中が。


痛い。


「立て……」


俺は。


剣を杖代わりに。


立ち上がる。


だが。


四人は。


まだ。


立ち上がれない。


「……」


終焉王が。


こちらへ歩いてくる。


一歩。


また一歩。


『これで終わりだ』


「……」


俺は。


剣を構える。


『一人で』


『何ができる?』


「……一人じゃない」


『?』


俺は。


振り返った。


セレナ。


エリス。


カイン。


リナ。


みんな。


傷つきながら。


立ち上がろうとしている。


「……」


セレナが。


杖を握る。


「まだ……」


「終わってません」


エリスも。


立ち上がる。


「私も」


「まだ戦えます」


カインが。


血を拭う。


「ったく……」


「化け物すぎるだろ」


リナも。


涙を拭いた。


「……怖いけど」


「お兄ちゃんだけに」


「戦わせない」


俺は。


笑った。


「みんな……」


終焉王が。


静かに。


こちらを見る。


『仲間』


『か』


『くだらぬ』


「くだらなくない」


俺は。


剣を握る。


「俺は」


「この四人がいるから」


「ここまで来られた」


「父さんが守ってくれたから」


「母さんが育ててくれたから」


「姉さんが」


「俺を待っていてくれたから」


「そして」


「みんなが」


「俺を信じてくれたから」


俺の身体から。


白い光が。


溢れ始める。


同時に。


黒い光も。


広がる。


「だから」


「俺は」


「一人じゃない」


終焉王が。


初めて。


黙った。


そして。


俺の背後。


そこに。


四つの光が。


浮かんだ。


セレナの光。


エリスの光。


カインの光。


リナの光。


それぞれの魔力が。


俺へ。


繋がっていく。


「……何?」


リナが。


驚く。


「私の魔力が……」


セレナも。


目を見開く。


「レオンさんへ」


「流れている……」


エリスが。


剣を見る。


「私たちの力が」


「一つになってる」


カインが。


笑う。


「面白えな」


「……」


俺は。


理解した。


父さんが。


最後にくれた力。


創造。


そして。


俺の中にある。


終焉。


その二つだけじゃない。


人と人が。


繋がることで生まれる力。


「……これが」


「第三の力」


終焉王が。


初めて。


明確な驚きを見せた。


『……馬鹿な』


「何だ?」


『その力は』


『失われたはずだ』


「知ってるのか?」


『――絆などという』


『脆弱なものではない』


『もっと強い』


『もっと古い力だ』


「……」


『その名は――』


終焉王が。


言葉を止める。


その瞬間。


世界樹の奥から。


声が響いた。


「――可能性」


「……!」


聞き覚えのある声。


「父さん……?」


世界樹の光の中。


アルベルトの姿が。


一瞬だけ。


現れた。


「レオン」


「父さん!」


「それが」


「俺たちが」


「最後に見つけた力だ」


アルベルトが。


微笑む。


「創造でもない」


「終焉でもない」


「未来を決める力」


「――可能性だ」


俺は。


剣を見る。


白。


黒。


そして。


その中心に。


淡い金色の光が。


生まれていた。


「可能性……」


アルベルトが。


頷く。


「お前なら」


「使える」


「どうやって?」


「簡単だ」


父さんは。


笑った。


「諦めなければいい」


「……」


「どんな絶望の中でも」


「別の未来を」


「選び続ける」


「それだけだ」


そして。


父さんの姿が。


消えていく。


「父さん!」


「レオン」


最後に。


アルベルトが。


叫ぶ。


「お前の未来は」


「お前自身が決めろ!」


光が。


消えた。


俺は。


剣を握る。


そして。


終焉王を。


真正面から見据えた。


「……聞いたか?」


『……』


「俺は」


「可能性を選ぶ」


「お前が」


「世界を終わらせる未来を」


「俺は選ばない」


終焉王の目が。


赤く輝く。


『ならば』


『その可能性ごと』


『消してやろう』


巨大な翼が。


大きく開く。


空全体が。


黒く染まる。


『――最終終焉』


世界中の空から。


無数の黒い光が。


降り注ぐ。


「レオン!」


「分かってる!」


俺は。


剣を構えた。


四人の魔力が。


俺へ集まる。


そして。


剣の中心に。


白。


黒。


金。


三つの光が。


一つになった。


「みんな!」


「はい!」


「おう!」


「うん!」


「任せて!」


俺は。


大きく息を吸う。


「――行くぞ!」


その瞬間。


俺たちの前に。


巨大な光の扉が。


現れた。


その扉の先には。


まだ誰も見たことのない。


新しい世界が。


広がっていた。


終焉王が。


叫ぶ。


『その扉を開くな!!』


「……!」


初めて。


終焉王が。


恐怖を見せた。


俺は。


確信した。


「……そうか」


「お前が」


「一番恐れているのは」


「死じゃない」


俺は。


扉へ手を伸ばす。


「――未来なんだ」


そして。


扉を開いた。


世界樹が。


眩い光に包まれる。


その瞬間。


世界中で。


止まっていた時計が。


一斉に。


動き始めた。


そして。


遥か彼方。


誰も知らない場所で。


一人の少女が。


ゆっくり。


目を開いた。


銀色の髪。


黄金の瞳。


少女は。


小さく呟いた。


「……やっと」


「第三の鍵が」


「目を覚ました」


そして。


彼女は。


笑った。


「お兄ちゃん」


「今度は」


「私が」


「迎えに行くね」


――世界の終焉を巡る戦いは。


まだ。


始まったばかりだった。

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