↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された無能魔術師、実は世界で唯一「魔法を創れる」男でした  作者: ななほし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/132

第28話 世界樹の守護者

翌朝。


森を出た俺たちの目の前に。


それは現れた。


「……」


誰も。


言葉を発しなかった。


遠く。


地平線の向こう。


空を突き破るほど巨大な樹が。


立っていた。


世界樹。


その姿は。


想像していたものより。


遥かに大きかった。


幹だけで。


一つの街ほどある。


枝は。


雲の上まで伸びている。


そして。


葉の一枚一枚から。


淡い光が降り注いでいた。


「……綺麗」


セレナが。


小さく呟く。


リナも。


口を開けたまま。


見上げている。


「これが……世界樹……」


エリスは。


黙っていた。


だが。


その顔には。


どこか懐かしそうな表情が浮かんでいる。


「エリス?」


俺が呼ぶと。


彼女は。


ゆっくりこちらを向いた。


「……小さい頃」


「何度か来たことがある」


「ここに?」


「はい」


「私の一族は」


「世界樹を守るための一族だったから」


エリスは。


世界樹を見上げる。


「でも」


「三年前」


「守護者の一族は」


「ほとんど殺された」


「……」


「だから」


エリスが。


剣を握る。


「私は」


「ここで何が起きたのか」


「絶対に知りたい」


「……ああ」


俺も。


世界樹を見る。


その根元。


そこに。


父さんがいる。


「行こう」


俺たちは。


世界樹へ向かって歩き始めた。


---


世界樹の周囲には。


巨大な石柱が。


何本も立っていた。


それぞれに。


古代文字が刻まれている。


「これは?」


セレナが。


石柱に触れる。


「始祖文字です」


「読めるのか?」


「少しだけ」


セレナは。


文字を追う。


「……『選ばれし者よ』」


「『二つの力を持つ者よ』」


「……」


「何て書いてある?」


セレナは。


続きを読む。


「『創造を望むなら、命を知れ』」


「『終焉を望むなら、死を知れ』」


「『二つを超えるなら――』」


そこで。


言葉が途切れている。


「続きは?」


「削られています」


エリスが。


石柱の裏を見る。


「誰かが意図的に削ったんだ」


「……」


そのとき。


カインが。


遠くを見る。


「来るぞ」


「何が?」


「人間だ」


森の向こうから。


武装した集団が現れた。


「帝国軍?」


リナが。


尋ねる。


「違う」


カインが。


剣を抜く。


「……黒冠教団」


「またかよ!」


俺も。


剣を構える。


だが。


その集団の先頭に。


見覚えのある男がいた。


「……ヴァルガス」


「どうしてここに?」


セレナが。


驚く。


ヴァルガスは。


ゆっくり歩いてくる。


「お久しぶりです」


「今度は」


「逃げないのか?」


俺が。


睨む。


「ええ」


ヴァルガスが。


微笑む。


「ここは」


「私たちにとっても」


「重要な場所ですから」


「何をするつもりだ?」


「第三封印を」


「開きます」


「……!」


俺の身体が。


反応する。


右腕の紋様が。


熱くなる。


「お前らに」


「開けられるのか?」


「いいえ」


「ですが」


ヴァルガスが。


俺を見る。


「あなたなら」


「開けられる」


「……」


「だから」


ヴァルガスが。


手を広げる。


「あなたを」


「ここへ誘導したのです」


「……何?」


その瞬間。


地面が。


大きく揺れた。


ゴゴゴゴゴゴッ!!


世界樹の根元。


巨大な地面が。


割れていく。


「何だ!」


「レオン!」


セレナが。


俺の腕を掴む。


地面の下から。


黒い光が。


噴き出した。


「封印が!」


エリスが。


叫ぶ。


「まだ開いてない!」


「でも」


カインが。


周囲を見る。


「誰かが」


「内側から」


「開けようとしている」


「……!」


俺の頭の中に。


あの声が響く。


『……近い』


「何が?」


『あれだ』


『我が封じられていた場所』


「……」


俺は。


世界樹の根元を見る。


そこに。


巨大な扉が現れていた。


黒い扉。


そして。


その中央には。


白い紋章。


創造。


その周囲には。


黒い紋章。


終焉。


「……」


俺は。


その扉へ。


近づいた。


すると。


扉が。


光った。


『認証』


「……?」


古代文字が。


浮かび上がる。


『二つの力を持つ者』


『資格を確認』


『血統――アルベルト・アストリア』


『適合』


『血統――ミレイア・アストリア』


『適合』


『第三世代――』


そこで。


文字が止まる。


そして。


新たな文字が。


浮かび上がった。


『レオン・アストリア』


『完全適合』


「……!」


ヴァルガスが。


歓喜の声を上げる。


「やはり!」


「やはりそうだ!」


「あなたこそ!」


「第三封印を開く鍵!」


俺は。


拳を握る。


「俺は」


「鍵じゃない」


「……?」


「俺は」


「俺だ」


ヴァルガスが。


笑う。


「それでも」


「扉は」


「あなたを選んだ」


「……」


扉に。


俺の手を置く。


すると。


世界樹全体が。


震え始めた。


ズズズズズ……。


「レオン!」


セレナが。


叫ぶ。


「手を離して!」


「無理だ!」


手が。


離れない。


黒い光が。


俺の身体へ流れ込んでくる。


「ぐっ……!」


頭の中に。


大量の記憶が。


流れ込む。


知らない場所。


知らない人々。


そして。


一人の男。


アルベルト。


「父さん……?」


若い父さんが。


世界樹の前に立っている。


その隣には。


母さん。


そして。


もう一人。


小さな女の子。


「……アリア?」


幼いアリアだった。


そして。


その腕の中には。


赤ん坊の俺。


「……!」


俺は。


目を見開く。


映像の中。


父さんが。


アリアに話しかけている。


『アリア』


『この子を頼む』


幼いアリアが。


頷く。


『うん』


『私がお兄ちゃんを守る』


『約束する』


父さんは。


笑う。


『ありがとう』


だが。


その次の瞬間。


世界樹の根が。


黒く染まる。


父さんが。


俺を抱き上げる。


『始まった』


母さんが。


叫ぶ。


『アルベルト!』


『ミレイア!』


『レオンを連れて逃げろ!』


『でも!』


『アリアは?』


『私が残る!』


父さんが。


叫ぶ。


『アリア!』


幼いアリアが。


泣きながら。


俺の手を握る。


『お父さん!』


『大丈夫だ』


父さんが。


笑う。


『必ず迎えに行く』


そして。


映像が。


途切れた。


「……」


俺は。


その場に膝をついた。


「レオン!」


セレナが。


駆け寄る。


「大丈夫ですか!?」


「……見た」


「何を?」


「父さんと」


「アリアを」


「……!」


母さんが。


目を伏せる。


「やはり」


「知っていたんだな」


俺は。


母さんを見る。


「母さん」


「……」


「アリアを」


「置いてきたのは」


「俺たちだったの?」


母さんの目に。


涙が浮かぶ。


「……はい」


「私たちは」


「あなたを連れて逃げました」


「アリアを」


「残して」


「……」


「でも」


母さんは。


首を横に振る。


「それには」


「理由がありました」


「何?」


「アリアは」


「すでに」


「終焉の力に」


「飲み込まれ始めていた」


「だから」


「父さんは」


「アリアを殺そうとした?」


「違います」


母さんが。


泣きながら答える。


「封印したのです」


「……!」


「アリアの中にある」


「終焉を」


「世界樹の奥へ」


「封じました」


俺は。


息を呑む。


「じゃあ」


「今のアリアは?」


母さんは。


震える声で。


「封印から」


「出てきたのです」


「……」


その瞬間。


世界樹の奥から。


女性の声が響いた。


「――そうだよ」


全員が。


振り向く。


「……アリア」


世界樹の巨大な根の上。


赤い髪が。


風になびいている。


アリアが。


そこに立っていた。


「久しぶり」


俺は。


剣を抜く。


「……姉さん」


アリアの表情が。


一瞬だけ。


揺れた。


「……姉さん」


彼女が。


その言葉を。


噛みしめる。


「もう一度」


「言って」


「……姉さん」


アリアの目から。


涙が落ちた。


「……うん」


「それだけで」


「十分」


だが。


次の瞬間。


アリアの身体から。


黒い魔力が。


爆発的に溢れ出した。


「――っ!」


ヴァルガスが。


叫ぶ。


「始まった!」


「第三封印!」


「開け!」


「アリア!」


俺が。


叫ぶ。


「やめろ!」


アリアは。


泣きながら。


笑った。


「ごめんね」


「レオン」


「でも」


「私も」


「お父さんに」


「会いたいんだ」


「だから――」


世界樹の根元。


第三封印が。


ゆっくりと。


開き始めた。


そして。


その奥から。


巨大な赤い瞳が。


こちらを見た。


『――ようやく』


『我が器が来たか』


「……!」


俺の中の存在が。


初めて。


恐怖の声を上げた。


『逃げろ』


「え?」


『レオン』


『あれは』


『我ではない』


『本物の――』


扉の奥から。


巨大な腕が。


伸びてくる。


『終焉そのものだ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。