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その日の朝、彼女はピーナッツパンを食べていました  作者: 華タクロー


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冒頭陳述

「それでは、検察官は冒頭陳述をしてください。」


検察官は力強く立ち上がった


「はい。」


検察官は鋭い視線を被告人に一瞬向けた。


それから裁判長を真っ直ぐに見つめる


「本件は、被告人がーー」


検察官は、再び視線を被告人に向ける


「強い復讐心のもと、被害者に対し、計画的に接触を図り、最終的に死亡結果を発生させた事案であります」


検察官は、裁判所にいる全員をぐるりと見渡した


「検察官は、被告人によるSNS上での執拗な接触記録、事件当日の防犯カメラ映像、関係者証言などにより、被告人の故意および因果関係を立証する予定です。」


「特に、事件当日に被告人が、ピーナッツ成分を意図的に付着させた食品を、意図的に摂取していた点、その直後に被害者へ接近していた点は重要な事実であります」


「以上の証拠により、検察官は公訴事実を証明できるものと考えております。」


検察官はドカっと着席した。


ふんという鼻息が聞こえてきそうなほどだった。


「続いて、弁護人は冒頭陳述をしてください。」


弁護人はゆっくりと立ち上がる。


先ほどよりもさらにスローに見える立ち上がり方だった


「弁護人は、本件について、被告人による暴行行為そのものを争いますわ」


「被告人がピーナッツパンを食べていたこと自体は争いませんね。ただし、被害者に対し有形力を行使したという客観的証拠は存在していません。」


弁護人は静かに検察官を見つめる


「ピーナッツを意図的に付着させた?」


弁護人は微笑みながら裁判員を見渡す


「ピーナッツパンには元々ピーナッツが付着しておりますな。それだけです」


弁護人は、視線をすっと手元の資料に落とした


「また、被害者の死亡原因についても、当日の行動や既往症など、他の可能性を排除できておりませんわ」


「本件には合理的疑いが残ります。疑わしきは被告人の利益に」


「以上です」


弁護人は、すっと着席した。

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