第一回証拠調べ
「それでは、証拠調べに入ります。」
若い検察官は静かに立ち上がった
それから、手元の書類に目を落とす。
「検察官は、甲第一号証から甲第二十号証までを請求します。」
弁護人の目が一瞬だけ、鋭い光を放ち、若い検察官に視線をぶつける
これから、戦いがはじまる
若い検察官は、手元の書類に目を落として、弁護人の視線から目を逸らした
「甲第一号証、実況見分報告書。」
「同意ですな」
「甲第二号証、現場写真撮影報告書。」
「同意ですな」
「甲第三号証、防犯カメラ映像DVD。」
検察官は、チラッと弁護人に視線を向ける
「成立の真正についてのみ、同意。」
「甲第四号証、被告人供述調書。」
しばしの沈黙
検察官が弁護人へ視線を向ける
二人の視線がぶつかった
「…不同意ですな」
「甲第五号証、当該日被告人所持品リスト。」
「当該証拠と本件との結びつきは不明確ですな」
「甲第六号証、ピーナッツクリームチューブ。」
「あったことには同意。」
……
全ての証拠品に対する、同意確認が行われた
「甲第一号証から第三号証、第六号証から第二十号証について、採用します」
「甲第四号証、第五号証については留保します」
争点は明らかになった
犯行自白は捏造されたのか
殺意の証明となる事前準備が見られたのか
「では、証拠調べをはじめてください」
裁判長の静かだが威厳のある声が法廷に響いた。




