再び証言する女性達
証言台に立つ木暮真奈は、明らかに動揺している。
弁護人は、言い聞かせるかのようにゆっくりと話しかけた。
「真奈さん。あなたが見たかもしれないことをお聞きしたいだけですわ。本件当日にゴミ箱に捨てられていた『唐揚げちゃん』は、誰が捨てたんですかな。」
「唐揚げちゃん?……ああ、先輩ですよ。」
「被告人のことですな。」
「あ、はい、彼女です。」
「なんではっきりと覚えておられるのですかな。」
「なんでって、あの日はすごくお腹が空いていたんです、ダイエットしてて。そしたら良い匂いがして、ふと見ると先輩が『唐揚げちゃん』を持っていました。でも先輩、それを食べずにゴミ箱に入れちゃったんです。それなら私が食べたいなぁって、覗き込んだからよく覚えてます。……もちろん食べませんでしたよ?」
「以上です。」
「検察官は反対尋問をはじめてください。」
「特にありません。」
「証人は退廷してください。」
木暮は、訳がわからないといった表情で法廷を出て行った。
次に証言台に立ったのは村島佳代。
「村島さん。彼女が『唐揚げちゃん』を毎日買ってた理由をご存知ですかな?」
「え?ああ、あの『唐揚げちゃん』?毎日買ってたわよねー、おいしいのよね。私も『一個ちょーだい』って言っていつも貰ってたのよ。」
「彼女は何で毎日買ってたのですかな。」
「おいしいからじゃないの?あ、そういえば、社長も『おいしい』って言ってたわね。」
「社長が言ってましたか……」
「そうそう、社長がね、こうやって、彼女の『唐揚げちゃん』をシュッて1個とってね。むしゃむしゃって食べてから、『うまいじゃん』って言ったのよね。あら?そういえば、それから毎日買ってきたんだったかしら?」
「……以上です。」
「検察官は、反対尋問をはじめてください。」
「被告人が『唐揚げちゃん』を買い始めたのは、社長のひとことがきっかけで間違いありませんか。」
「え?いや、分からないですけど……」
「先程の証言に思い違いは含まれていませんか。」
「え?思い違い?ないと思うけど……」
検察官の異様な迫力に押されて、村島は口数が少なくなっていた。
「以上です。」
「証人は退廷してください。」




