ep15-7 実験の代償
ミントは、ジッタの実験場で抵抗するの
を止め、研究に没頭することに決めた。
ミントが知り得た情報として今の聖域生物
では歯が立たなかったという事ぐらいだ。
大量に作ったところで意味がないだろう。
現在の聖域生物とは別次元のものを作り
上げないといけないとミントは考えていた。
しかし、別次元となると異能力が必要となり
それには高い知的能力が必要になってくる
そういうものを実験体にするのは非常に
悩みが深い。
捕らえられている獣人達は、ミントの方を
怪訝な表情で見ている。
ミントは覚悟を決め、知能の高そうな獣人に
声を掛けてみた。
「お前等の中で実験体になっても構わないと
いうものはいるか?」
⋯。
言葉は理解している筈だが、反応がないと
いうことは拒否ということだろう。
当たり前の反応だ。
「外に出れるのか?」
獣人の1人が聞いてきた。
「成功すれば、出れると言うよりは出て
もらう。」
「ある程度自由になるならば、喜んで協力
する。」
と、獣人が立ち上がって言った。
ミントは、獣人を指差して言った。
「お前の命はこちら側が握ることになるが
それでもいいのか?」
一瞬、間があったが
「獣人はいつの時代もそうだ。その中で
生きていくしかない。」
ミントは、その言葉に頭を下げた。
そこから、数週間かけた実験が始まった。
まずは、獣人の能力を上げることから着手
した。
聖域生物と混合することにより、
リミッターが段階的に解除できることが
わかった。
次に脳内の命令機能の実験というかもはや
改造だ。
命令に背かない様に聖域の秘密を洩らさない
様にするための処置だ。
実験をやってわかったことだが、基本的に
従順な種族ではないらしい、自らが許容
したことは実行するが、意にそぐわない
命令には従わない様なので、強制命令モード
を脳に埋め込んだ。
3人の特殊聖域生物が、誕生した。
恐らく、ミントが生成した中では最強の聖域
生物で、ダイスの能力は軽く凌駕するはずと
ミントは自負していた。
早速、ジッタに報告しようとしたが、
ここ、1ヶ月ぐらい姿を見ないし、連絡が
取れなくなっている。
衛兵に聞いても何も返ってこない。
「試しに、屋外の試験を出来るか聞いて
みるか?」
ま、無理だろうけどな…。
しかし、簡単に許可が出た。
けど、ジッタが何故現れないかが謎だ。
ミントは、1人の獣人に声を掛けた。
「おい、試験的に外に出してやる。お前の
能力の確認をする、私の指示通り行動しろ。」
獣人は、喜んで外に出た。
出口から出ると、猛スピードで、研究施設から
離れていった。
「どうした?止まれ。」
返答がない。ま、逃げたのだろう。
ミントはため息をついて、
「あれだけ言ったのにな。」
と言って、手元のdelete釦を押す。
走っていた獣人の頭が吹き飛んだ。
「うわぁ〜!!」
仲間から悲鳴が上がった。
獣人がミントのところに駆け寄ってきたが、
ミントは冷たい表情で、
「言ったはずだ、ある程度の自由は保障
するが、お前等の命はこちら側にある。」
獣人たちは、その言葉を聞いて俯き、
それ以上は、抗議しようとはしなかった。
「次、行きたいものはいるか?」
ミントは実験を止めようとはせずに、
続けようとした、これで獣人の動向をみる
つもりもあったのかも、しれない。
獣人の1人が手を挙げた。
先程の獣人とは違い、出口を出ても微動だに
しなかった。
「よし、体を消してみろ。」
獣人は戸惑っているみたいだった。
ミントは更に指示をした。
「念ずればいい。」
獣人が指示通りにすると、獣人の姿は次第に
消えていった。
「次、剣を持つイメージをして、振り抜け。」
獣人が指示通りにすると、前方の林の木が
全てなぎ倒された。
「よし、今日はここまでだ。」
獣人は帰って来て、ミントに礼を言って
獣人達のところに戻った。
自分が身に着けた力に感激したようだ。
ミントは、モニタに映る獣人の遺体をみて
一つため息をついた。
「いったい、なにやってんのかな?」




