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鉄平

 ディアルブレードは両目を奪われると、一瞬地に伏せて沈黙した。海斗達がほっと一息を吐こうとしたその時、ディアルブレードは再び暴れ出した。


GYOOOOOOOOOOO!


 ディアルブレードは視界を奪われて、混乱しているようだが、海斗達の存在を気配で感知し、鋭い攻撃を繰り出してきた。【狩人】エアリスが全員に告げる。


「手負いの獣が一番怖いよ!注意して!」


 海斗達は慎重に攻撃を繰り返したが、ディアルブレードは一向に倒れる気配を見せない。海斗が【叡智】ペンデュラムを呼び出すと、ペンデュラムは首だけをアイテムボックスから出して告げた。


「太古の文献を漁ったんだけど、魔獣達は【不死】の権能を持っている!【封印】シールを連れてきたから彼を使って封印してくれ!」


 アイテムボックスから【封印】シールが出てくるが、シールはディアルブレードをみて力無く項垂れた。


「ディアルブレードの力が強大過ぎて、普通の封印方法じゃ封印できない」


 海斗は暴れ狂うディアルブレードを睨みつけた。


「普通以外の方法があるんだな?」


「ああ、でもその方法には人柱が必要となる」 


 海斗はすかさず手を上げた。


「僕がやる」


「この方法では腹に魔獣を封印するので激しい痛みを伴う。常人が行えばショック死するだろう。それでもやるか?」

 

「もちろーーー」


「海斗!ここは俺に任せてくれ」 


 アイテムボックス内から出てきたのは【激烈根性男】加藤鉄平だった。海斗が反論する。


「鉄平!下手したら死ぬかもしれないんだぞ?」


 鉄平が海斗にメンチをきる。


「海斗、俺の根性舐めてんじゃねぇ!魔獣なんて五匹丸ごと俺の腹で飼ってやる!」 


 海斗は悩む。確かに鉄平の根性ならディアルブレードを封印できるかもしれない。しかし、パーティメンバーを命の危機に追い込んでもいいものか。悩んでいる海斗に鉄平が告げる。


「頼ってくれよ。ダチだろ?」


 海斗は鉄平の吹っ切れた顔を見て覚悟を決めた。


「鉄平、頼んだ!」


「おう!任せろよ!」


 海斗は疲弊しているディアルブレードに群がる【百蓮】メンバーに離れるよう命じた。シールが自身に巻かれている封印札でディアルブレードの首を巻き、鉄平の腹に持っていった。


「菩提封印!」


 ディアルブレードは身体を大きく歪ませて、勢いよく鉄平の腹に吸い込まれていった。ディアルブレードの尻尾まで余さず封印されると、鉄平の腹に文字が円形に書き連ねられている。


 鉄平が脂汗を流し、片膝をついた。本当はもんどりうって転がるほどの痛みなのだが、鉄平は海斗を気にして涼しい顔をしようと懸命に努力した。


 鉄平が片腕を上げると、【百蓮】のメンバー沸いた。SSSランクモンスター【黒龍王】ディアルブレードに勝利したのだ。ディアルブレードと闘っていた全員疲れ果てていたが、他の場所へ増援に行かなくてはならない。重い身体を引きずってアイテムボックス内に入り、海斗が他のモンスターに繋がるアイテムボックスを開く。


 【時計仕掛け】、【十面銃】、【極彩色の眷属】、【邪霊魂】を順番に鉄平は封印していった。これで鉄平の体には五匹の魔獣が封印されたことになる。【百蓮】のメンバーは全員死力を尽くして戦ったため、戦いの後に残ったのは荒野と倒れ込むメンバーだった。


 【虹帝】神山カケルが片膝をつく。


「くっ!僕らはもう限界らしい。みんなで先にアイテムボックスに戻っておくよ」


 海斗は頷いて応えた。


「よくやってくれた。先に休んで置いてくれ。僕はちょっと野暮用があるようだ」


 カケルがアイテムボックス内に入ると、上空から九人の灰色のローブを纏った者達が現れた。海斗は呟く。


「【朧月】のメンバーか」


 リーダー格の男が前に出て返答する。


「我が名はアトム。貴様を処刑する者だ。貴様は終末の日(ラグナロク)に際して巨大な力を持ち過ぎた。よって我々が魔獣を撒き、【百蓮】のメンバーを消耗させてから、単体になったお前を処刑することにした。異論はないな?」


「「「「「「「ナシ」」」」」」」


「大有りだ。バーカ」


 海斗はそう言うと、アイテムボックス内から白煙が噴き出し、朧月の視界を奪った。


「アイテムボックス闘法、その四、抉痛。その五、白煙」


 海斗は白煙を飛び出して、逃走を試みた。アイテムボックス内では十倍の時間が流れている。一時間も逃げ切れたら、回復したメンバーが出てくる筈だ。


 しかし、上空に浮かび上がった朧月の一人は海斗に向かって急降下する。海斗は向かい合って拳に空間魔法を纏わせた。だがしかし敵は仙人エネルギーを使い、海斗に波動を飛ばした。海斗に波動が直撃する。海斗は地面に叩きつけられた。


 白煙の中からこちらを探知した朧月の別の一人は袖から出した杭を海斗の両腕に差し込み、地面に縫い付けた。海斗は近づいてきたメンバーに口から出した泡を吹き付けて、顔に当てた。その泡は朧月のメンバーの頭を取り囲むと、その頭だけアイテムボックス内に転移させられた。


「アイテムボックス闘法、その六、死泡」


 ごとりと音を立てて死んだ朧月のメンバーが地面に倒れ込む。白煙の中から次々と朧月のメンバーが海斗目がけて走ってくる。海斗は両腕に刺さった杭を空間魔法で飛ばし、逃走を続ける。


 しかしまたもや上空から波動を当てられ、地面に叩きつけられた隙に手足を拘束される。アトムと名乗った男が海斗の右腕を叩き斬る。


「ぐぁぁぁ!」


 海斗が苦悶に顔を歪ませる。アトムが告げた。


「魔獣を封印している奴がいる筈だ。【魔眼】よ見ているのだろう?そいつを出せ」


 海斗が叫ぶ。


「くるなぁぁぁぁぁ!」


 だが、何の躊躇いもなく【激烈根性男】加藤鉄平が現れた。海斗の顔が絶望に染まる。鉄平は言った。


「俺が死んだら痛み分けってことで海斗を解放してくれよ」


 アトムが告げる。


「そう都合よく物事が運ぶわけないだろ。お前が死んだ後小林海斗は殺す」 


「そうかい!なら俺がお前ら全員ぶっ倒せば良いだけだな!」


「バカヤロォォ!早く逃げるんだよ!」


 海斗の声は鉄平の耳に届かなかった。鉄平は拳を握りしめてアトムに殴りかかる。アトムは無情にも手に持っていた刀を鉄平の胸に突き刺した。


「ごふっ。やっぱり駄目か...」


 それが鉄平の最後の言葉だった。海斗は絶叫する。声を張り上げ限界まで叫んだその瞬間意識は闇に呑まれた。




 海斗は全てが闇で包まれたアイテムボックスの中に入っていた。闇の中から誰かが歩み出てきた。それは紛れもなく小林海斗本人であった。海斗は混乱する。  


「誰だ!お前は!?」


「俺か?分かってるだろ?お前だよ。勇者パーティーに入る前の、この世界に来たばっかりのお前だよ」


「な!?どういうことだ!?」


「お前は腑抜けちまった。人からの歓声を浴び過ぎたせいで、人のために何かやろうと溺れちまってる。もっと本能のままに体を動かさないと、あいつらには勝てない」


 海斗は押し黙る。


「体を貸せ。あいつらは俺が全員倒してやる。お前は眠っていたら良い」


 

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