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黒いローブ

 四人がダンジョンからギルドに戻ると、ギルドはお祭り騒ぎだった。テーブルでは笑顔で酒を酌み交わし、床には酒瓶をもってうつらうつらとしている者がいた。


 どこかでどっと笑いが起こっては騒めきを取り戻す。それを何度も繰り返しては興奮の山を徐々に大きくしているようだった。だれかが四人の帰還に気づく。 

 

「おいっ!闇のダンジョン攻略者達が帰ってきたぞ!」


FOOOOOOOOOOO!


 熱狂が四人に伝わった。カメラを持った男性とリポーターと思わしき女性が突撃してくる。その後ろからカメラとマイクを持った者達が現れて海斗達を取り囲んだ。


「皆さま、攻略お疲れ様です!テレビジャガーンのマリリンと申します!今の気持ちは如何ですか?」


「エスポワールTVのマイクです!三年ぶり、十二回目のダンジョン攻略者となりましたが、攻略の秘訣とは!?」


「報道ダンジョンのキイラです!迷宮都市、到着一日でクリアしたのは本当ですか!?」


 海斗達はカメラのフラッシュに目を細める。海斗が静かな口調で言った。 


「僕たちは【百蓮】です。迷宮都市の全ダンジョンを攻略しに来ました」


 それを聞いた記者達は一瞬固まり、発言の内容を理解すると全員が笑った。海斗達は記者達の無礼な態度に気分を害したが、それを察知した一人の記者が間髪入れずフォローする。


「すみません、つい笑ってしまいました。というのも、全ダンジョン攻略することはシステム的に不可能だからです。


 一つのダンジョンをクリアした攻略者はある一つのダンジョンを除いて他のダンジョンにトライする権利を失います。


 そのダンジョンとは試練のダンジョンと言い、今のところ階層は無限だと言われています。ちなみに一度ダンジョンがクリアされると、他の全てのダンジョンはリセットされ一階からまたやり直しとなります」


 海斗は丁寧な説明をしてくれた記者に感謝した。

それから海斗は自分達がどういう存在かをカメラに向かって説明した後、受付に向かった。


 受付嬢は不敵な笑みを浮かべて、海斗達に告げる。


「まさか一日で私たちと同じステージに立つとは思いませんでしたが...ひとまずはおめでとうございます。あなた達は今、スタートラインに立ったばかりです。慢心せずに研鑽を積んでください」


「受付嬢さん。ポイントは僕たち何ポイントゲットできたの?」


「あ、ああポイントですか。ポイントは一億ポイントありますね。都心で豪遊し放題ですよ!」


 海斗はその言葉に笑顔を見せた。ポッカ、ガーフィール、アウラはアイテムボックスの中に戻り、海斗は【水帝】ウェンズデイと一緒にギルドを出た。


 外に出ると大勢の人が海斗を待ち受けていた。


「海斗さん!サインください!」


「海斗!パーティーメンバー貸してくれ!」


「小林海斗!」


 海斗は大衆のあまりの熱量にまごついていると、虎の男をした毛皮を纏った男が物陰から飛び出てきた。


「とぅ!俺の名前はタイガーマスク!新しく俺たちの仲間になった小林海斗を迎えにきたぜ」


 群衆がどよめいた。


「あ、あれは最初の攻略者タイガーマスクじゃないか」


「キャー!タイガー!」


 タイガーは歓声に白い歯を見せると海斗とウェンズデイを抱き抱えると、常人離れした脚力で屋根の上に登った。海斗が感謝する。


「やっぱり、あんた強かったんだな。感謝するよ」


 タイガーマスクは胸をドンッと叩き応える。


「なに!良いってことよ!マスコミ対応も後々覚えていけば良い!」


 海斗が屋根の上から街を見下ろすとありとあらゆるスクリーンに海斗達四人の顔が映し出されていた。ダンジョンをクリアするということはこう言うことなんだと海斗は肌で理解する。


 ウェンズデイが言った。


「海斗!せっかくお金あるんだから、この都心で一番良いホテルに泊まりましょ!」


「おっ、俺も仲間に入れてくれるのかい?」


「あんたはダメよ!何言ってるの?」


「ガーン!タイガーマスクショック...」


 ウェンズデイはいじけてのの字を書いているタイガーマスクを無視して都心に向かって歩いて行った。海斗はタイガーマスクに挨拶すると慌ててウェンズデイに着いて行った。


 ウェンズデイは屋根の上を軽快なステップで渡っていく。海斗は置いていかれないようにバランスを崩しながらもついていった。


 都心にたどり着くと、エスポワール王国では考えられないくらいの人が大通りを歩いていた。ウェンズデイが海斗と手を繋いで歩く。ウェンズデイは機嫌良さげに鼻歌を歌っていた。


 海斗も楽しくなり、最高級ホテルに入ると、二人でカラオケを熱唱した。歌い疲れた海斗は言う。


「ウェンズデイ、これからのことを考えようよ」


「良いわよ!でもやることは変わらないでしょ?ダンジョンを攻略するだけじゃない」


「その試練のダンジョンって言うのが、どうやら無限にあるようなんだ。どこかで区切りを決めないと」


「正しい判断だ小林海斗」


 海斗とウェンズデイは急に聞こえた声の主から一瞬で距離を取った。ウェンズデイが叫ぶ。


「何者!?」


 海斗が窓の方を見ると黒いローブを纏った男が窓に手を当て、外を見ていた。


「警戒しなくて良い。俺はお前らの先輩だ。闇のダンジョンの攻略者といえば、分かりやすいか?」


「ご丁寧にどーも!それで先輩が何のようなの?返答次第では...」


 ウェンズデイが水槍を宙に浮かべて、黒いローブの男を脅す。 


「警戒しなくて良いと言っただろ。俺は警告をしにきたんだ」


 海斗がウェンズデイを腕で制する。ウェンズデイが水槍を下ろした。海斗が張り詰めた声で男に尋ねる。


「警告ってなんだ?」


終末の日(ラグナロク)についてだ。おそらく神から聞かされたと思うが、終末の日(ラグナロク)が迫っている。」


終末の日(ラグナロク)?」


「まさか何も聞かされていないのか。終末の日(ラグナロク)とは天上から天使が降ってきて世界を滅ぼす日のことだ。このダンジョンは終末の日(ラグナロク)を防ぐための人材を育てる為に作られたいわば訓練所だ」


「なっ!世界が滅びるだって!?」


「なにもしなければの話だ。そしてここからが警告なのだが、終末の日(ラグナロク)を早めようとしている人間がこの街に潜伏している。そいつらは俺やお前の命を狙いにくるだろう。そいつらに気をつけろ」


 海斗は黒いローブの男からのプレッシャーに今まで感じたことのない強さを感じていた。ウェンズデイの顎先から汗が落ちる。海斗が尋ねた。


「あんた、相当強そうだけど、試練のダンジョンは何階まで攻略したんだ?」


 黒いローブの男は首を振る。


「あんたじゃない。丈一だ。ダンジョンは1001階まで攻略している」


 海斗は衝撃を受けた。100階のボスがあんなに強かったのにそらを上回る1000階を攻略するなんて、どれだけ強いのか底が知れなかった。


「それだけだ。新人(ニュービー)、朧月のメンバーに気をつけろ」


 そう言うと海斗が瞬きした隙に部屋から出ていった。ウェンズデイはその場にへたり込んだ。


「あの男、私たち全員が束になっても勝てなさそうね」


 ウェンズデイが悔しそうにそう呟く。海斗は言った。


「大丈夫、僕たちが強くなれば良い。それだけだよ」

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