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神様

〜ギルド『ヴァルハラ』にて〜


≪闇のダンジョン百階が攻略されました≫


 ギルドメンバー達は残酷な通知を受け取り、呆然とした。意識をいち早く回復させた男がスクリーンのリモコンをもって戦闘を巻き戻す。そこにはこのギルド全員が束になっても勝てないであろう巨大な闇の塊があった。


「こいつら、床を抜いたのもやべぇが、それ以上にこんな奴に勝ったのかよ」


 ギルドが騒めきを取り戻していく。男が巨大な闇の塊が急にその体積を少なくした瞬間を見て呟いた。


「この攻撃はさっきの坊主の空間魔法に違いない。一撃で八割も持っていってアイテムボックス内は大丈夫なのか?」


血相を失った男がギルド『ヴァルハラ』に入ってきた。


「おいっ!こいつの名前誰か聞いたか!?」


「海斗って呼ばれてたよ」


「何!?小林海斗で間違いないな!?」


「あ、ああそれが何だってんだ」


「噂によると隣国のエスポワール王国の【騎士】小林海斗は百人の化け物をアイテムボックスに飼うとんでもない野郎らしいぞ!」


 ギルドはどよめいた。鎖国的な迷宮都市は外部の情報が入ってきにくいが、小林海斗の名前を新聞でチラホラと見たものは多かった。ギルドは小林海斗の理不尽さに震える。


「ちょっと待てよ、小林海斗のアイテムボックスに百人の化け物がいるってことは、小林海斗を敵に回したらそいつら全員敵になるってわけか!?」


「いや、小林海斗の真に恐るるべきところはその対応力だろう。この巨大な闇の塊のように、攻撃が不可能な敵がいても、アイテムボックス内に封印持ちが居ればすぐさま対応できる。搦手が一切通じないのだ」


 ギルドはどうすれば小林海斗を倒せるのか喧喧諤諤の議論となった。【水帝】ウェンズデイがドヤ顔でその議論を見下す。


「ふんっ!私達に勝てる方法なんて、私達にも分からないわよ」


 ギルドの議論は海斗達が戻ってくるまで続いた。


〜闇のダンジョン百階〜


 海斗達は巨大な闇の塊を倒した後、その奥に続く通路を見つけた。その通路を進んでいくと小部屋にたどり着いた。その部屋の中心には金色に光る転移魔法陣があった。


 アウラがその魔法陣を解析したが、この魔法陣は【全能】を以ってしてもどこに飛ばされるかは分からないらしい。


 ポッカが名乗りを上げる。


「この集団の中で一番価値が低いのは俺だろ。まず俺が飛んでみる」


 ガーフィールがその言葉を否定した。


「そんなわけないだろ。剣しか腕のない俺が行くべきだ」


 二人が剣呑な雰囲気を漂わせる。海斗は言った。


「ボス戦の後の転移魔法陣がトラップなわけがないだろ。僕から行くよ」


 そう言って海斗は二人の虚をついて転移魔法陣に飛び込んだ。


 海斗が飛び込んだ後にすぐさま残りの三人がついてきた。アウラが海斗をヘッドロックする。


「かぁいぃとぉ!迂闊な行動はめっでしょう」


 海斗は素直に謝る。


「はい...すみませんでした」


 ガーフィールが周囲を見渡す。


「しかし、何だこの空間」


 海斗達は辺り一面に広がる空の色を反射した水面の上に立っていた。地平線が見えるが、ずっと遠くまで海は続いているらしい。空に漂うちぎれ雲が水面に反射している。海斗達はどこからか人の声を聞いた。


「お主らが闇のダンジョンを攻略したものか?」


 全員がバッと後ろを振り返るとそこには神々しい光を纏った老人がいた。海斗が尋ねる。


「えぇ、その通りですが、あなたは何者ですか?」


「ワシは闇の、いや、全てのダンジョンを創り出したものじゃ」


 海斗は驚愕する。あれだけの規模の洞窟を五つも作りだすこの人はもしや...


「あなたは神様ですか?」


「それに近い存在ではあるな」


 老人は茶でもだそうかと言い、無から大きなちゃぶ台と急須に湯呑みを人数分出した。


 四人は老人によって出された座布団の上に座る。

老人が口火を切った。 


「さて、そろそろ説教タイムと行くかの」


 老人は座り直した。海斗は急な説教タイムに戸惑う。


「お主はアホか?何を当たり前の顔して床貫いとるんじゃ!」 


 ガーフィールが反論する。


「いや、穴が空くほうがおかしいだろ」


「二人合わせて攻撃力二万の破壊にただの床が耐えられる訳なかろうて」


 海斗達は正座させられる。


「そもそもお主らチートが集まり過ぎなんじゃ!なんじゃ【人徳】小林海斗って、普通あんな癖者達百人纏まられんて」


「というかアイテムボックス内で人が生活するって何!?パーティー四人に限定した意味なくなったわ!」


「んで、アイテムボックス闘法強すぎじゃろ!問答無用で最低相性の敵と戦わせるなんて理不尽にも程があるじゃろ!」


「あと、お主モテすぎなんじゃあ!見ててムカつくんじゃ!」


 神様からの説教はこんこんと続いた。主に海斗に対する神様の説教を海斗は項垂れながら真摯に受け取った。神様が肩で息をする。


「ゼェゼェ...ひとまずこんなもんかの」


 おずおずと海斗が手を挙げる。


「あの、ダンジョンクリアしたらなんでも願いが叶うって本当ですか?」


 神様は海斗を殴りつけんばかりの剣幕で海斗の方を向いた。


「なに?お主らにはなしじゃ!元々ズルでダンジョンをクリアしたようなもんじゃからな」

 

 ポッカとガーフィールがぶーたれる。 


「おいおい、それはないぜ神様」


「そーだぞ神様。クリアはクリアだろ!」


 神様がかぶりを振った。


「ええい、うるさいうるさい!じゃあ海斗だけ何か申してみよ」


 海斗は即答する。


「死者を蘇らせる魔法をください」


「はい、ダメー」


 そう言って神様は海斗の頭を掴む。


「お主、そんなことワシにも出来んわ。もっと現実的なものを持ってこい」


 海斗の頭を神様が離す。


「じゃあ不老不死!」


「ダメー」


 海斗の頭を凄い勢いで掴んだ。


「お主、神になりたいのか?一万年早いぞ」


「い、痛いです神様」


 アウラが文句を言った。


「じゃあ何が出来るのよ。あなたには」


 神様がショックを受ける。


「ワシこれでも全知全能なんじゃけど...」


 海斗が手を叩く。


「分かった!神様僕のアイテムボックスを十倍にしてください」 


「おっ、そんなので良いのか。あい、承った。ちょっとお主の亜空間の中にワシをいれい」


 海斗が時空の裂け目を作ると神様は頭から入っていった。神様は十分ほど中にいてから出てくると呆然とした顔で出てきた。


「えぇ、なんか街ができてるんじゃけど...。広さ王国三つ分くらいあるし、これ十倍にしたらちっちゃい惑星が出来るんじゃが...」


 海斗達は何もない空間に十分放置されて早く帰りたくなっていた。海斗が言う。


「じゃあ、神様そう言うことで!後はよろしく!」


 そう言うとガーフィールが素振りをし、時空の裂け目を新たに作ると、四人はその中に戻っていった。


「あっ、待って。ワシまだ本題言ってない」


 神様の情けない声は四人に届かなかった。

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