闇のダンジョン?階
「あら、【一撃】ワッパはいないのね」
「あぁ、ワッパの一撃は連続攻略のダンジョンとは相性が悪いからね」
海斗がアウラに返答する。ガーフィールが体をウズウズとさせてひっきりなしに鯉口を切っては戻している。
ポッカがステータス魔法をアウラにねだった。アウラは腕を通して淡い光をポッカとガーフィールに伝わせた。
三人のステータスは以下の通りだった。
アウラ・デウス・マキナ
体力 1000/1000
魔力 ∞/∞
攻撃 100
防御 80
俊敏 80
『スキル』
すべての魔法が使える魔法 レベル測定不能
ガーフィール
体力 10000/10000
魔力 0/0
攻撃 10000
防御 8000
俊敏 8000
『スキル』
剣術 レベル測定不能
ポッカ
体力 9999/9999
魔力 9999/9999
攻撃 9999
防御 9999
俊敏 9999
『スキル』
レベルアップ レベル測定不能
三人はステータスの結果を見て頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
「あれ、俺の数値カンストしてないか?」
ポッカがステータスを見て戸惑う。だが、その疑問をガーフィールが切った。
「いや、俺のステータスは10000を超えてるぞ」
アウラが言う。
「私のステータスは∞になっている」
「「「海斗、これは一体どういうことだ?」」」
全員が海斗に振り向いたが、海斗はドン引きしていた。化け物達にステータス魔法を使うとこんなことになるとは思っても見なかったのだ。
「強いて言うなら君たちが悪いんじゃないかな?」
海斗は自分のステータスと見比べて棘のある言葉を吐いた。
ガーフィールがにやりと海斗を見て笑う。
「海斗が拗ねたな」
「ええ、そのようね」
「海斗、気にすることないって」
三者三様に海斗のことを弄る。海斗は顔を赤くして三人に告げる。
「もう、さっさと行くよ!」
海斗は三人を連れて転移魔法陣に飛び乗った。
転移先は一寸先も見えない闇の迷宮だった。海斗が指示する。
「アウラ、光を」
アウラは空中を指でなぞって宣言する。
「周囲が明るくなる魔法」
闇が晴れるとそこは岩肌が露出する洞窟の中だった。
ガーフィールは目をつぶって敵の気配を数える。
「一、ニ、三...十五匹だな」
ポッカは近づいてきた闇のスライムをデコピンで消し炭にする。
海斗は真面目に洞窟を攻略しようとするアウラ達を見て、ある考えが頭から離れなかった。
「いや、でも、流石にダメか」
ガーフィールが海斗の様子を不審に思って尋ねる。
「どうしたんだ海斗」
「ガーフィールか、お願いがあるんだが、このダンジョンを攻略中の人間がどれくらいいるか探れるか?」
「お安い御用だ海斗」
ガーフィールが再び目を瞑って気配を探る。ガーフィールが地面を指差した。
「あそこに四名と、あっちに四名だ」
「そうか、真下には居ないんだな。ポッカ、ガーフィール、ちょっとこの床壊せないか?」
ポッカとガーフィールは海斗の考えを聞いて邪悪に顔を歪ませた。海斗はアウラに頼む。
「アウラ、洞窟の崩壊を防ぐ魔法を僕達の立っている地下以外の洞窟全体にかけてくれ」
アウラは小首を傾げながらも、海斗の言う通りにする。
「洞窟の崩壊を防ぐ魔法」
アウラの掌からこぼれた光が洞窟に染み渡る。海斗はアウラを連れて、ポッカとガーフィールから離れた。
ポッカとガーフィールは顔を見合わせる。二人はニヤリと笑うと渾身の絶技を洞窟の地面に向かって放った。
「村人の拳」
「剣神のただの一振り」
ボッゴォォォォォォオーーーーン!
地響きと轟音が鳴り響いて、洞窟の床に巨大な穴が空いた。その穴はどこまでも続いていて底が見えなかった。
〜ギルドのスクリーン前にて〜
茶髪の愛想の良い受付嬢が目ん玉を飛び出して、顎を限界まで下に下げて、叫んでいた。
「ええええええええええええ!」
先程ウェンズデイと海斗にヤジを飛ばしたギルドメンバーは持っていた飲み物を落として、叫んでいた。
「ええええええええええええ!」
〜迷宮都市中心部の交差点前スクリーンにて〜
ボッゴォォォォォォオーーーーン!
通りを歩いていた人は最初それがスクリーンから流れた音だとは気づかなかった。
「なっ!なんだ?地震か!?」
「いや、何かが爆発した音だぞ。今のは」
「地割れかなにか起こっていないか?」
「ちょっと待って!スクリーンを見て!」
誰かが交差点前に設置されている巨大スクリーンを指差した。ざわざわとどよめきが人々の間を走り、人々はスクリーンに写った光景を見て目を疑った。
「穴が空いてる!」
「あれは闇のダンジョンか?確かに穴のようなものが...」
「いや、多分、こう、カメラの画角で穴が空いているように見えるんだよきっと」
一人の少年が声を上げた。
「いや、僕見てたよっ!二人のおじさんが床にパンチしたら穴が空いたんだっ!」
「えぇ?そんなわけないだろ。だってダンジョンの床だぞ〜」
「ほんとにみたんだもんっ!」
〜闇のダンジョン一階〜
海斗はそこの見えない穴と消えたガーフィールとポッカを探して焦っていた。
「下に降りるしかなさそうね」
アウラが穴を見てぽつりと呟いた。海斗はアイテムボックス内に入り、【浮遊】エルデを呼んだ。アイテムボックス内で浮遊する魔法をかけてもらい、闇のダンジョンに戻ってきた。
アウラは魔法を唱える。アウラの魔法は他人を強化する魔法などは制約で使えないようになっているため、海斗はエルデに頼る必要があった。
「緩やかに落ちる魔法」
二人で闇の穴に飛び込んだ。アウラが魔法を唱える。
「周囲が明るくなる魔法」
視界が確保できた先にいたのは、ガーフィールとポッカだった。随分下からこちらに向かって手を振っている。
「おーーーーーい!」
穴は綺麗な円を描いて、円筒状に連なっていた。アウラの魔法が良い仕事をしたのだろう。二人が地面に足をつけると、ガーフィールとポッカは爆笑していた。
「まさかこんなに上手くいくとは...」
海斗は腕を組んで額に手をやった。アウラが言う。
「やってしまったものは仕方がないだろう」
「そうだね。進んでから考えよう」
海斗は笑い転げている二人を起こして、闇のダンジョン?階を進んでいった。何体か強敵が現れたが、すべてガーフィールの剣か、ポッカの拳を前にして倒れた。
探索を続けると道のどん詰まりに重厚な扉があった。海斗はそれを見上げると、押して開けようとしたがビクともしなかった。
焦ったくなったガーフィールが扉を切ると、中には巨大な闇の塊が現れた。海斗があまりの存在感に圧倒されていると、海斗のアイテムボックスが勝手に開き、中から【魔王】カルラの声が聞こえた。
「海斗!あれは先先代の【魔王】だよ!物理攻撃が通用しないから気をつけて!」
「お、おう。カルラ、久しぶり」
「あ、ひ、久しぶり」
カルラは海斗と地下牢であったきりだったので、二人の間に甘酸っぱい空気が流れる。どこからか現れた【魔眼】イビルアイが苛立たしげにアイテムボックスを閉じた。
「フンッ!」
ポッカとガーフィールが巨大な闇の塊に懸命に襲い掛かるが、ダメージは与えられていない。巨大な闇の塊にガーフィールとポッカが吹き飛ばされる。
アウラが魔法を唱えた。
「ダメージを与える魔法」
巨大な闇の塊はアウラの魔法を喰らうとわずかにその体積を減らした。ガーフィールが何度剣を突き立てても、ポッカが何度殴っても、巨大な闇の塊は微動だにしない。ガーフィールとポッカは何度も吹き飛ばした。
海斗が前に出た。右手を開いて巨大な闇の塊に突き出した。海斗はアイテムボックス内の座標をイメージしながら、額に青筋を立てて右手を握り締める。
「アイテムボックス闘法!その一、分解!」
巨大な闇の塊は八割ほど時空の裂け目に呑み込まれた。アイテムボックス内では【封印】シールとその護衛の【魔人】リュークがいた。シールは送られてきた闇の塊を封印する。
闇のダンジョンでは全体の体積の二割ほどになった巨大な闇の塊が、体を棘で覆って、ガーフィールに襲いかかった。ガーフィールは剣が通用しない相手にフラストレーションが溜まっていた。
ガーフィールは鼻から息を吐いて、集中する。今までの己を超えた斬撃を放とうとしていた。
ガーフィールに黒い棘が襲い掛かる。ガーフィールはそれを半身で避けて、切り捨てた。黒い棘は苦しげに震えた後、蒸発して消えた。
「概念ごと切る斬撃」
アウラが残り一割ほどになった巨大な黒い塊に魔法を唱える。
「極大ダメージを与える」
黒い塊は地面から現れた巨大な手によって握りつぶされて消えた。四人は強敵をなんとか倒して安堵の息を漏らした。
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