僕は夢を見た(29) 街に皇女がやって来た
今日もいつもの城門の前に立っている僕。
よしひろう:「さてと」
と騎士宿舎に向かって歩き出す。
途中、リズの親父さんに挨拶する。
よしひろう:「おはよーっす。」
リズの親父さん:「おう!おはよう!」
元気一杯の返事が返ってきた。
街の中央の求人板周辺が何やら騒がしい。
面倒事に巻き込まれるのが嫌だったので華麗にスルーしようとしたその時、セナに呼び止められた。
セナ:「大変な事が起きた。来てくれ。」
そういうと宿屋へと僕を引っ張って行く。
そこには姫様付きのメイドが一人立っていた。
メイド:「よしひろう様にお願いがございます。」
あらたまってお願い事をされるほどの重要な事件かとドキドキする僕。
よしひろう:「な、何でしょうか?」
メイド:「今朝から姫様の猫が行方不明なのです。」
よしひろう:「え!?エクスカリバーでしたっけ?」
メイドはうんと頷く。
求人板の騒ぎは、猫探しに懸賞金が出ていたからだったのだ。
よしひろう:「わかりました。何とか見つけてみせます。」
嫌と言う訳にもいかず快諾する僕。
さっそく猫捜索に乗り出す。
飛翔し、まずは街の中央にある尖塔の頂上に降り立つ。
よしひろう:「といってもなぁ…上から猫なんて見つけられるのか?」
屋根くらいの高さをゆっくりと飛行し猫を探す。
見ると街中の人が猫を探しているようだった。
いたるところで猫と人との追い駆けっこが起きている。
どうやら伝言ゲームのミスで
「姫様の猫を捕まえたら懸賞金」
から
「猫を捕まえたら懸賞金」
になっていたのだ。
迷惑なのは関係無い猫たち。
街中で追いかけ回されていた。
僕も必死で探すもエクスカリバーらしき猫は見当たらない。
ちょっと休憩するために騎士宿舎へと行く。
騎士宿舎の門の所にアスター隊長が居た。
よしひろう:「あれ?アスター隊長。」
よしひろう:「こんな所で何してるんですか?」
アスター隊長:「今から姫様の猫探しに向かう所だ。」
よしひろう:「アスター隊長もですか!」
アスター隊長:「騎士総掛かりだよ(苦笑)」
よしひろう:「これはえらい騒ぎになってきましたね…」
捕らえられた猫は街の中央に置かれた柵の中に集められていった。
よしひろう:「街にこんなに猫がいたなんて…」
数えると20匹以上は集まっていた。
僕はというと、エクスカリバーを見た事があるので、白い猫のみを探していた。
しかし、街中を飛び回るも成果ゼロ。
段々と夕刻が迫ってきていた。
このまま見つからなければ、姫様の落ち込みようを考えると掛ける言葉が無い。
よしひろう:「今日は姫様とは会わない方がいいな。」
と、城門の前へと向かう僕。
途中、八百屋の前を通りかかると、リズが居た。
何やら腕に抱えている。
リズ:「あ、兄ちゃん!いいもの拾ったんだ!!」
と抱いてる猫を自慢げに僕に見せるリズ。
よしひろう:「エクスカリバー!?」
リズ:「エクスカリバーって何だ?」
よしひろう:「猫だよ!その猫の名前!」
リズ:「へー。お前、エクスカリバーって言うのか。」
エクスカリバー:「ニャー」
よしひろう:「それ、どこで拾ったんだ?」
リズ:「ウチの家の前。」
よしひろう:「その猫、今、街に来ている姫様のだぞ?」
リズ:「マジか!?てっきり野良だとばかり思ってた…」
よしひろう:「街中大騒ぎで探しているからな。その猫を。」
リズ:「って事は…返さなきゃダメ?…」
と少し残念そうな顔をするリズ。
うんと頷く僕。
よしひろう:「一緒に返しに行こう。」
リズはエクスカリバーをギューっと抱き締めながらうんと頷いた。
宿屋の前に着いた僕とリズ。
宿屋に入ると姫様付きのメイドの一人が駆け寄って来た。
メイド:「エクスカリバー!」
リズから大事そうにエクスカリバーを受け取り階段を上がっていくメイド。
しばらくするとエリザベートが降りてきた。
直接お礼の言葉を言いたかったようだ。
エリザベート:「初めまして。エリザベートです。」
エリザベート:「今日は私の大切なお友達を見つけてくださり、ありがとうございます。」
リズ:「あの…ウチ、リズって言います。」
リズ:「あの…その…どういたしまして。」
なんと返事をしてよいのか分からず照れるリズ。
エリザベート:「まぁ!あなたがリズ?」
エリザベート:「お話はよしひろうから聞いています。」
え?っとなるリズ。
リズ:「兄ちゃん、ウチの知らんところで変な話してないでしょうね?」
とジト目で僕を睨みつける。
よしひろう:「大丈夫。少しだけだから。」
僕がそう言うと3人同時に笑みがこぼれた。
その後、しばらくエクスカリバーの話題が続く。
そのうち、エリザベートが何かに気づいたらしくメイドに目配せをした。
メイドがこちらに来て、リズの手を取りそっと金貨を手渡した。
エリザベート:「私からのお礼です。」
エリザベート:「少しばかりですが受け取ってください。」
リズ:「あ、ありがとう…ございます…」
と照れながらその金貨を受けとる。
別れの挨拶をすませ宿屋を離れる僕とリズ。
よしひろう:「いくらもらったんだ?」
貰った金貨を片目でジーっと見るリズ。
リズ:「100000って書いてある。」
よしひろう:「10万か!スゲーな!」
リズ:「あの猫の方が断然いいけどな(笑)」
とちょっぴり寂しそうな表情を見せる。
リズを家まで送り届けた頃には星が瞬き始めていた。
そのまま城門前へと歩く。
いつも腰かけている石に腰掛け星空を眺める僕。
今日は疲れた。
意識が遠退いていく。
目が覚めた。
横ではスマートフォンのアラームが鳴っている。




