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帰還勇者ミナトのVRMMO戦記 ~剣も魔法も本物を知っているので、ゲームでも最強です~  作者: バモス
第二章 帰還勇者、初めてのダンジョン攻略

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第3話 帰還勇者、地下遺構のスケルトンと初戦闘

薄暗い地下遺構の広間で、俺――《ミナト》は《鋼鉄の片手剣》を構えていた。


目の前にいるのは《スケルトン Lv5》。骨だけの身体に錆びた剣を持ち、眼窩には青白い光が揺れている。


俺たちと同じLv5だが、アンデッド系の魔物は通常の魔物とは性質が異なる。異世界での経験が役立つかもしれないが、ゲーム内でも同じとは限らない。


「ユウキ、シルフィー。まずは相手の動きを確認する。俺が前に出るから、二人は援護を頼む」


「はい、隼人」


「うん、任せて!」


俺が一歩踏み出すと、スケルトンは錆びた剣を持ち上げた。


骨同士が擦れる乾いた音が広間に響く。


次の瞬間、スケルトンが剣を振り下ろしてきた。


俺は半身になって攻撃をかわし、すれ違いざまに相手の右腕へ剣を振るう。


『HIT』


骨に刃が当たる硬い感触とともに、スケルトンのHPがわずかに減少した。


「……やっぱり斬撃は通りにくいか」


スケルトンは右腕を揺らしながらも、すぐに体勢を立て直した。


異世界でも、骨だけの魔物には斬撃より打撃や聖属性の魔法が有効だった。


このゲームでも同じ傾向があるらしい。


「ユウキ、聖属性を試してくれ!」


「分かった! 《ホーリーライト》!」


ユウキの《祈りの杖》から光の弾が放たれ、スケルトンの胸部へ命中した。


『WEAK HIT』


先ほどの剣撃よりも大きくHPが減少する。


「やった! 効いてる!」


「ああ。聖属性が弱点みたいだな」


シルフィーも杖を構えた。


「では、私も援護します。《ストーンバレット》!」


石弾がスケルトンの左肩へ命中し、骨の身体が大きく揺れた。


『HIT』


スケルトンは体勢を崩しながらも、再び剣を振り上げる。


俺はその動きを見て、すぐに間合いを詰めた。


相手の剣が振り下ろされる直前、俺は自分の剣を斜めに合わせる。


金属音が響き、錆びた剣の軌道が外れた。


『PARRY!』


視界にシステム表示が現れる。


「よし、パリィも使えるな」


俺はそのまま踏み込み、スケルトンの胴体へ横薙ぎの一撃を放った。


骨の身体が大きく揺れ、HPがさらに減少する。


しかし、まだ倒れない。


スケルトンは剣を振り回しながら後退し、距離を取ろうとした。


「ユウキ、もう一発いけるか!」


「うん! 《ホーリーライト》!」


光の弾がスケルトンへ直撃する。


『WEAK HIT』


残りHPが一気に減少し、スケルトンの身体が崩れ落ちた。


骨が石床へ散らばり、次の瞬間、光の粒子となって消えていく。


『《スケルトン Lv5》を討伐しました』


『経験値を獲得しました』


『アイテム《古びた骨片》を入手しました』


「やったー! 初めてのダンジョン戦闘、勝利!」


ユウキが嬉しそうに声を上げた。


シルフィーも安堵したように微笑む。


「無事に倒せましたね」


「ああ。二人ともいい連携だった」


俺は剣を鞘へ戻し、周囲の安全を確認した。


広間には再び静けさが戻っていた。


ただし、右側の通路からはまだ微かな物音が聞こえてくる。


「……奥にも何かいそうだな」


俺が呟くと、ユウキが少し緊張した表情になった。


「スケルトンがまだいるのかな?」


「可能性はある。だからこそ、慎重に進もう」


俺たちは探索記録板を取り出し、今回確認した魔物の情報を書き込んだ。


出現地点は最初の広間。魔物は《スケルトン Lv5》で、聖属性が有効。斬撃はやや通りにくく、武器を使った近接攻撃を行う。


「これでギルドへの報告内容が一つ増えたな」


「はい。ほかの冒険者の方々にも役立つ情報になりそうです」


シルフィーの言葉に、俺は頷いた。


今回の依頼は討伐ではなく、地下遺構の調査だ。魔物を倒した数よりも、どれだけ正確な情報を持ち帰れるかが重要になる。


俺たちは広間の奥へ向かい、二本の通路を確認した。


左側は幅が広く、壁には古い燭台が等間隔に取り付けられている。一方、右側は狭く、床には細かな骨片が散らばっていた。


「右側からスケルトンが出てきたんだよね?」


ユウキが尋ねてきた。


「ああ。だから、右側には同じ魔物がいる可能性が高い」


「左側はどうでしょう?」


シルフィーが広い通路を覗き込む。


「まだ分からないな。まずは入口付近を確認してみよう」


俺はランタンを掲げ、左側の通路へ数歩進んだ。


壁には古い文字のようなものが刻まれている。


異世界で見た古代文字に似ている部分もあったが、完全に一致するわけではなかった。


「……これは何だ?」


俺が文字を確認していると、シルフィーが隣へやってきた。


「隼人、読めそうですか?」


「いや、似た文字は知ってるけど、意味までは分からないな」


俺は探索記録板で壁の模様を記録した。


すると、ユウキが少し離れた場所から声をかけてきた。


「ミナト、こっちにも何かあるよ!」


振り返ると、ユウキが壁の一部を指さしていた。


そこには小さな石板が埋め込まれており、中央に丸い窪みがあった。


「何かをはめ込む場所みたいだな」


俺は石板を確認した。


窪みの周囲には細かな模様が刻まれている。


ただし、近くに仕掛けを動かすようなものは見当たらなかった。


「これ、押したら何か起きたりするのかな?」


ユウキが興味深そうに尋ねてきた。


「可能性はあるけど、今は触らない方がいいな」


「えっ、どうして?」


「罠かもしれないからだ。仕組みが分からないものを不用意に動かすのは危険だろ?」


「そっか……確かにそうだね」


ユウキは納得したように頷いた。


俺たちは石板の位置と形状を記録し、さらに通路の奥を確認した。


しかし、少し進んだところで床の様子が変わっていることに気づいた。


それまで均等に並んでいた石畳の中に、一枚だけ色の違う石があったのだ。


「……待ってくれ」


俺は二人へ合図し、その場で足を止めた。


「どうしました、隼人?」


「この床、少し怪しい」


俺はしゃがみ込み、石畳を観察した。


色の違う石の周囲には細い隙間があり、ほかの石よりわずかに沈んでいる。


異世界で何度も見た、踏み板式の罠によく似ていた。


「罠かもしれないな」


「えっ!? もう罠があるの!?」


ユウキが驚いた声を上げる。


「まだ断定はできないけど、踏まない方がいい」


俺は探索記録板に位置を記し、床の状態を詳しく記録した。


その後、近くの壁を確認すると、小さな穴が横一列に並んでいることに気づいた。


「……なるほど」


俺は穴の位置を見て、仕掛けの構造を想像した。


踏み板を踏むと、壁から何かが飛び出す仕組みかもしれない。


ただし、実際に作動させていない以上、確かなことは言えない。


「ここから先へ進むのは、少し考えた方がよさそうだな」


俺がそう言うと、シルフィーが頷いた。


「はい。罠を解除する道具も持っていませんし、無理をする必要はありません」


ユウキも真剣な表情になる。


「じゃあ、今日はここまでにする?」


「そうだな。右側の通路も未調査だけど、初回としては十分な情報が集まったと思う」


俺たちは来た道を戻り、最初の広間へ引き返した。


広間には新たな魔物の姿はなく、入口へ続く階段も静まり返っていた。


「初めてのダンジョン、思ったより緊張したね」


ユウキが苦笑する。


「ああ。でも、いい経験になっただろ?」


「うん! 次はもっと準備して来たいな!」


シルフィーも微笑んだ。


「私もです。今度は罠への対策も考えたいですね」


「そうだな。ギルドへ戻って相談してみよう」


俺たちは階段を上り、地下遺構の入口へ戻った。


地上へ出ると、夕暮れの草原が広がっていた。


久しぶりに明るい空を見上げ、俺は小さく息を吐いた。


今回の探索で確認できたのは、最初の広間と二本の通路の入口、そして《スケルトン Lv5》の存在。


さらに、古い文字の刻まれた壁と、何らかの仕掛けがある石板、踏み板式と思われる罠も発見した。


まだ地下遺構の全貌には程遠い。


だが、未知の場所を一歩ずつ調べていく感覚は、やはり冒険者として楽しいものだった。


「よし、二人とも。ギルドへ戻って報告しよう」


「はい、隼人」


「うん!」


俺たちは地下遺構を後にし、始まりの街へ向かって歩き始めた。


初めてのダンジョン探索は、こうして無事に終了した。


しかし、あの石板と罠の先には、まだ誰も知らない何かが眠っているのかもしれない。


俺はそんな予感を抱きながら、次の探索へ思いを馳せるのだった。


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