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帰還勇者ミナトのVRMMO戦記 ~剣も魔法も本物を知っているので、ゲームでも最強です~  作者: バモス
第二章 帰還勇者、初めてのダンジョン攻略

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第1話 帰還勇者、初めてのダンジョン探索へ向けて

東草原で発見された地下遺構が、ダンジョンである可能性が高いと発表されてから一夜が明けた。


俺――皆川隼人は、自宅の食卓で朝食を取りながら、昨夜の冒険を思い返していた。


俺たち三人は、ようやくLv5へ到達した。これで冒険者ギルドが募集する《東草原・未確認地下遺構の探索》へ参加できる。


もっとも、参加資格を得たからといって、すぐに飛び込むつもりはなかった。


「隼人、昨日はずいぶん楽しそうだったな」


向かいに座っていた父さん――皆川亮太が、コーヒーを飲みながら声をかけてきた。


「まあね。三人ともLv5になったし、新しい探索依頼も出たから」


「ほう。地下遺構の件か?」


「父さん、知ってるの?」


「一応、運営会社の社長だからな」


父さんは何でもないことのように答えた。


そうだった。俺たちが遊んでいるVRMMO《アストラル・リンク》を運営しているのは、父さんの会社だ。


「でも、攻略情報は教えないぞ。プレイヤーとして楽しんでほしいからな」


「分かってるよ。俺だって自分で調べたいし」


俺が笑うと、父さんも満足そうに頷いた。


その隣では、母さんがシルフィアに味噌汁の盛りつけ方を教えていた。


「シルフィアちゃん、熱いから気をつけてね」


「はい、お義母様。ありがとうございます」


シルフィアは丁寧に器を並べ、俺の隣へ座った。


「隼人、今日は学校が終わったら探索の準備をするのですよね?」


「ああ。まずはギルドで詳しい説明を聞こうと思ってる」


「分かりました。私も必要な魔法や装備を確認しておきます」


そんな会話をしていると、妹の祥子が興味深そうに身を乗り出した。


「お兄ちゃん、ダンジョンに行くの?」


「まだ準備段階だけどな」


「いいなあ! 私も早くゲームを始めたい!」


祥子の言葉に、姉の祐美子が笑った。


「祥子はまず宿題を終わらせなさいよ」


「お姉ちゃんだって、昨日ずっと動画見てたじゃん!」


「そ、それは別の話!」


いつもの賑やかな朝食風景に、俺は思わず笑ってしまった。


異世界で魔王と戦っていた頃には、こんな日常へ戻れるとは思っていなかった。


だからこそ、今の生活は大切にしたい。


学校が終わり、帰宅して宿題を済ませた俺たちは、夕食までの時間を使ってゲームへログインした。


宿屋の一階で合流すると、ユウキが元気よく手を振ってきた。


「ミナト! シルフィーさん! 今日はいよいよダンジョンの準備だね!」


「ああ。まずはギルドへ行こう」


「はい。調査内容を詳しく確認したいですね」


俺たちは宿屋を出て、冒険者ギルドへ向かった。


ギルドの中は、いつも以上に賑わっていた。


掲示板の前には大勢の冒険者が集まり、東草原の地下遺構について話し合っている。


「新しいダンジョンだってよ!」


「でも、まだ内部はほとんど調査されてないらしいぞ」


「Lv5以上なら参加できるんだろ?」


「初見攻略は危険そうだな……」


そんな声を聞きながら、俺たちは受付へ向かった。


リーナは俺たちに気づくと、笑顔で迎えてくれた。


「ミナトさん、皆さん。こんにちは。今日は地下遺構の探索依頼についてでしょうか?」


「うん。参加する前に詳しい話を聞きたくて」


「承知しました。それでは、こちらをご確認ください」


リーナは一枚の資料を取り出し、受付台へ広げた。


そこには、現在判明している地下遺構の情報が記されていた。


入口は東草原の旧ゴブリン拠点内部。地下へ続く石造りの通路があり、入口付近には魔物の反応が確認されている。


ただし、内部の地形はまだ十分に把握されていない。


「探索の目的は、地形の確認と魔物の情報収集です。無理に奥まで進む必要はありません」


「なるほど。討伐よりも調査が中心なんだな」


「はい。それから、もう一つ重要なことがあります」


リーナは少し真剣な表情になった。


「現在、地下遺構には帰還用の転移設備が設置されていません。途中で探索を中断する場合は、歩いて入口まで戻る必要があります」


その説明に、ユウキが驚いた。


「えっ、帰還アイテムみたいなものは使えないの?」


「現時点では、この地下遺構内から直接街へ帰還する方法は確認されていません」


俺は小さく頷いた。


未知のダンジョンなら、そういう制限もあるだろう。


「つまり、帰り道を確保しながら進む必要があるってことだな」


「その通りです」


シルフィーも資料を見ながら口を開いた。


「隼人、照明も必要ですね。地下ですから、視界が悪い場所もあると思います」


「ああ。それに回復ポーションも多めに用意した方がいい」


ユウキが頷く。


「私も回復役として頑張るけど、MPがなくなった時のことも考えないとね」


三人で相談していると、受付の奥からジェイドが姿を現した。


「おう、ミナト。準備は進んでいるか?」


「今、リーナさんから説明を聞いていたところだよ」


「そうか。なら、俺からも一つ忠告しておこう」


ジェイドは俺たちを見渡した。


「今回の地下遺構は、まだ正式なダンジョンとして管理が始まったばかりだ。内部の魔物も、通常のフィールドとは違う可能性がある」


「分かった。慎重に進むよ」


「ああ。それと、入口付近で確認されている魔物はLv4からLv6程度だ。だが、奥に何がいるかは分からん」


ユウキが少し緊張した表情になる。


「Lv6……私たちより一つ上だね」


「そうだな。でも、三人で連携すれば対応できる相手もいるだろう。ただし、無理は禁物だ」


俺がそう言うと、シルフィーも頷いた。


「危険だと判断したら、すぐに撤退しましょう」


ジェイドは満足そうに笑った。


「いい心がけだ。探索を始める前に、必要な道具を揃えておけよ」


ギルドを出た俺たちは、まず道具屋へ向かった。


店内には回復ポーションや解毒薬、携帯食料、ランタンなどが並んでいる。


「とりあえず、回復ポーションは一人三本ずつ持っておこう」


「私はMP回復用も欲しいですね」


シルフィーがそう言うと、ユウキも頷いた。


「私も! 回復魔法を使えなくなったら困るもんね」


俺たちは相談しながら必要な道具を購入した。


さらに、地下探索用のランタンと予備の燃料、簡単な地図作成用の道具も揃える。


準備を終えたところで、俺は二人へ確認した。


「装備の耐久値は大丈夫か?」


「はい。《魔晶石の杖》も防具も問題ありません」


「私の《祈りの杖》も大丈夫!」


「よし。あとは実際に探索するだけだな」


俺たちは購入した道具をアイテム欄へ収納し、宿屋へ戻ることにした。


その道中、ユウキが嬉しそうに話しかけてきた。


「ねえ、ミナト。ダンジョンって、やっぱり宝箱とかあるのかな?」


「あるかもしれないな。ただ、罠もあるかもしれないぞ」


「うっ……それは怖いかも」


俺が笑うと、シルフィーも楽しそうに微笑んだ。


「ふふっ。でも、三人で協力すれば大丈夫ですよ」


「ああ。大切なのは、焦らず一つずつ確認することだ」


宿屋へ到着すると、俺たちは翌日の予定を確認した。


探索開始は明日の放課後。まずは入口付近を調査し、危険がなければ少しずつ奥へ進む予定だ。


そして、ゲーム内の宿屋でログアウトした俺は、現実世界へ戻った。


VR機器を外すと、隣ではシルフィアが同じようにログアウトしていた。


「隼人、明日が楽しみですね」


「ああ。久しぶりに未知の場所へ挑む感じがするよ」


シルフィアは嬉しそうに微笑み、俺の手を握った。


「今度も一緒に冒険できることが、私は嬉しいです」


「俺もだよ」


俺たちは顔を見合わせて笑った。


異世界では、数え切れないほどのダンジョンを攻略してきた。


だが、この世界での冒険はまだ始まったばかりだ。


明日、俺たちは初めてのダンジョンへ足を踏み入れる。


その奥に何が待っているのかは分からない。


それでも、シルフィアとユウキが一緒なら、きっと楽しい冒険になるだろう。


俺はそんな期待を胸に、翌日の探索へ思いを馳せるのだった。


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