4月15日 『主人公なき戦争の物語』のCM
「生きてくことは、絶望ばっかりだと思うんだけどさ。でも人間はその絶望の中で、ほんの僅かでも見える希望を求めて生きていくしかないんだと思うんだよ」
……自作品の登場人物のセリフに元気づけられる矢久……(笑)。
「……なにかをすれば未来が三百六十度拓けるなんて、だれも思っちゃいない。だけど、その僅かな光からさえ目をつむって歩くのをやめても、何も護れないことも分かってるんだ」
……ハタで聞いてるとイタイの極かもしれないけど、日々にあえいでる俺は、『主人公なき物語』という自作品のこのシーンに、いつも胸が締め付けられる。
そう、その通り。絶望ばかりのこの世の中で、人は、たとえそれがわずかな可能性だとしても、希望に向かって歩き続けなければ、結局何も護ることはできない。
それを、人は、忘れがちだ。だからこのシーンで登場人物が言った言葉は、読むたびに俺の気持ちをニュートラルに戻してくれる。
『主人公なき戦争の物語』は戦争を主人公とした群像劇である。
死の連鎖。死ぬことが当然の世界で、だれもがそれを間近に感じながら地を這いずって生きている。
おちゃらけているようでも、斜に構えてシリアスを気取っても、運命は等しく誰もの頭上にある。一騎当千の武者も、蚊も殺せないような少女も、同じステージの上に立っている。
……戦争という決定的な歴史を描くのに、俺は誰か特定の人物を主人公にはできなかった。したくなかった。
とはいえ、矢久作品ですから、彼ら登場人物に一切のタレント性がないわけではない。それぞれの登場人物がそれぞれの立場で苦悩し、決断していく様を見れば、戦争の歴史にただ都合よく存在している者たちではないということが分かるはず。
面白いのが、歴代いくつか感想をもらったことがある中で、エピソードごとにまとめた時、「これは良い。これはひどい」という評価が、人によって極端に分かれていたところか。
同じエピソードの中で、人によって最高評価をくれる一方で、最低評価を下す人もいる……ということだ。
これについては、本当にいろいろ考えたのだが、今はわりとポジティブに捉えている。うまく言えないんだが、5段階で全員が3……ではなく、5か1を叩き出す場面であることは間違いないからだ。
21万文字完結で、全八巻。分類としては異世界のファンタジー(戦記)ではあるが、亜人間は存在しないし、基本的に魔法もない。
硬派な戦記……であることは間違いない。が、描くのは矢久だ。それほど堅苦しくもない。
ただ、矢久がファンタジーを一番好んで描き続ける理由。……登場人物の生き様、死に様を体現した答えの一つであることは言える。
戦記として、ちゃんとしてると思うよ?
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