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【書籍2巻発売中!】 異世界サモナー、神話の怪物達と現代で無双する~俺と契約した最強召喚獣たちの愛が重すぎる~  作者: 鬼怒藍落
第五幕:神去召獣譚

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第167話:飛行機の旅

「さて皆殿、そろそろ帰るでござるよ」

 

 海で遊んで数時間。沖縄の空港で時間を潰していた俺等に椿さんがそう言った。

 チケットを取るのを任せてしまったが、少し……いやちょっと? 抜けている所がある椿さんの事が心配だったけど、この様子だと用意できたらしい。


「あれ、搭乗口が離れてないか?」

「そりゃあそうだろ坊……今から乗るのは神那家の自家用ジェットだぞ?」

「…………貸し切り?」

「いや、普通に所有物だな」


 ……こっわ。

 今更ながらに椿さんは別荘を幾つか持っているし、高尾山の頂上にあるのも東京の別荘だとは聞いたが。どういう規模感のお嬢様なのだろうか?

 本人に聞くのも気が引けるし、何より他人から聞くのも失礼だと思うから聞いていないけど、流石に気になってきた。


「それにしても飛行機か……酔わなきゃいいけど」

「あぁーそれなら大丈夫だと思うぞ、アレは最新式の魔力回路を搭載してるからほぼ揺れないし、体調崩さないようにする魔法も組み込まれてるはずだな」

「詳しいですね?」

「まぁ、何度か乗ってるしな。江奈嬢印だから安全性もバッチリだ」


 確かにそれなら安心できるけど……ここで彼女の名前を聞くなんて思ってなかったな。そう考えながらも、俺は先導する椿さんの後を追い飛行機に乗り込んだ。

 椅子はふかふか、リクライニングもバッチリで真横になれる優れもの。

 内装は和風に統一されているその機内には、何故か食堂までついていて……。


「……飛行、機?」

「なぁ親友、これ飛行機か?」

「……ホテルみたいだねぇ、ねぇ霊真ソーダあるって頼もー」

「浮かれすぎだぞ貴様等――ッ我が友よ、映画が見れるぞ! しかも公開したばかりのファンタジー映画だ!」


 まだ発射してない機内の中で、俺と式が驚いていれば……凄く浮かれた二人が早速中で遊んでいる。綾音はドリンクバーに目を輝かせて、カイザーは見つけてしまった映画のパンフと睨めっこ。


 まだ疲れが残ってる俺が椅子に座れば、その横に冷蔵庫からケーキを取ってきであろうラウラが横に座る。


「む、どうしたレイマ?」

「いや、馴染みすぎだろ……ラウラ」

「それはそうだろう、慣れているからな」

「……順応早かったもんな、おまえ」


 今思えばどんなものでもそれならばと受け入れるラウラは、ミソロジアのどの国の文化を見ても受け入れて馴染んでたのを覚えている。

 そんな彼女にかかれば、現代の魔道具なんてすぐ慣れるだろうし不思議ではないんだけれど……元々いた現代の発展具合とこの世界の乖離を知ってる俺のキャパを超えているこれらに馴染んでるのは違和感が。


「あれ、綾音は?」

「あぁ綾音なら個室で椿ちゃんにホラー映画を見せているな」

「いや、止めてやれよ」

「あぁなったあいつを止める方が面倒だ」

「……幼馴染みを犠牲にするなよ、お前」


 綾音の悪戯好きの性格を知っている俺的にもその面倒くささは知っているけれど……それでも助け船ぐらいは出してあげてもいいと思う。

 まぁラウラがそういうのにはあまり関心がないのは知ってるし、本当に嫌がってるなら止めるだろうからこそ、なんやかんやで見守ってる感じなのかもしれないけど。


「それになレイマ、椿ちゃんはな……泣いてる姿が可愛いぞ?」

「やめてあげろ、一緒にお化け屋敷は行ったときやべぇ程泣いてたからな」

「はは……懐かしいな、椿ちゃんの家で怪談を聞いた後に影で驚かした時なんてずっとくっついて離れなかったんだぞ?」

「最低のマッチポンプ過ぎるだろ、元凶横じゃねぇか……」


 本当に忘れていたが、死霊の群と戦ったときいつ襲ってくるか分からなくて、俺が見張りをしてた時にこいつ後ろから声かけてきたんだよな――ちょっとムカついたし、今度なんでもいいから仕返ししよう……。


「そういえば二人ってどう出会ったんだ?」


 今皆は映画を見ているとのことなので俺は気になっていた事を聞くことにした。

 理由としては色々あるが、他者にあまりというか……心を開きにくい彼女が、どうやってここまで椿さんと仲良くなったかが気になったから。

 

「どう出会ったか……そうだな、出会いは最悪だぞ?」


 そう言って彼女は笑った。

 俺でも見たことない、懐かしみながらも少し苦笑する様な感じで――何より、その記録を慈しむように。

 そしてラウラはそのまま大切な思い出を辿っているのか、ゆっくりと語り始める。


「あれは、この世界での両親が四歳頃に日本に私を連れてきたときだな。今思えば、あのときの私は荒れていて、全部が敵だった。そんなときに出会ったのが、椿だ」

「荒れてたって、どんな感じだったんだ?」

「原典のおかげか、魔力の覚醒が早かったからそれを使って魔物を殺していた」

「…………わぁお」


 少し話題がずれたが、気になったのでツッコんでしまったけどだいぶ想像出来そうな絵面でそう零した。


「まぁ出会いとしては、各国の者達が集まるパーティー会場だったんだが、魔力を持つ者の親善試合があってな――つまらなそうにする私に喧嘩を売ってきたのだ」

「……え、椿さんが?」

「あぁ、強そうだから戦ってくれと頼まれて断ったら斬りかかってきた」


 四歳頃とは言ってたけれど、二人は同い年の筈だ。

 だからだろうが、聞くだけで絵面が殺伐としているというか……やべぇというか。


「それはどうなったんだ?」

「私の圧勝だ、四歳の子供に負けるわけがない」

「……で?」

「それから日本に滞在してる間毎日挑まれた」

「えぇ……」


 なんというからしいけど……むかしからバーサーカー気質というか。凄い幼少期だったんだろうなって。

 ラウラは楽しそうに話しているが、流石に少しは驚きはする。


「仲良くなったきっかけは?」

「一度本気出したら食らい付いてきて面白かったからな、私から神那家に突撃した」

「…………そっか」

「それからは毎日遊ぶようなり……この世界で人として生きると決めていた間は見守ろうと思ったな。まぁ、そのぐらいだ」


 ドヤ顔で語った彼女に、苦笑しながらも本当に椿さんの事を大事にしてるんだろうと分かる。だって、それほどまでに語っている間のラウラは嬉しそうで……何より、楽しそうに笑っていたから。


「っとそろそろ離陸するな、一瞬だけ揺れるから気をつけろレイマ」


 それから俺は、一時間半ほど空の旅を皆で楽しんで……迎えに来た両親と家に帰ることになった。

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