39.ステータス2
ちょうどギルドに居ることだし、3人でパーティを結成することにした。
「さて、パーティ名の申請は『ジャンボ・ドリーマーズ』でいいよな?」
「良くないよ!?」
「大きな夢を抱く者たちという意味を込めさせてもらいました」
「込めるな、勝手に!」
「いや、だっておれがリーダーだし」
「違うよ!?」
「だから勝手に決めるな!」
全く、わがままだな。
「じゃあまず、リーダーから決めるか」
「そうだね」
「模擬戦をして一番強い者がリーダー良いだろう」
「そうだね。異議なし」
「うん、じゃあ明日やるか」
「ん? なぜ明日? ギルドに来たのだ。演習場で今からでいいだろう」
「ヴィン、今が2回目だからでしょ。ズルしようとしてる!」
「ん? なんの話だ?」
くそう。普通に戦ったらまずクレアには敵わない。
それにシンシアもクレアの姉弟子で、伝説の勇者の娘ともなればかなりの実力者だ。
『トゥワイス』無しではキツイ。
「スキルか? そういえば互いにステータスも明かしていないじゃないか。正式に組む前に、見せ合いっこしよう」
「ステータスでリーダー決めるのか? ノー!」
「見せないよ」
「なんでだ!? 互いのステータスも知らずに仲間になるなんてありえないだろう」
コイツ、馬鹿のくせに固い正論で殴りやがる。
ステータスはおれが一番低いに決まっているだろ。
「――あ、おい」
「鑑定料は奢ってやる。さぁ、四の五の言わずステータスを見せろ」
シンシアに捕まった。
つ、強い! なんてパワーだ。押し負ける! 体重差で……!
「ム、貴様」
「え?」
「今、私に密着できてうれしいのだろう? それで抵抗できなくなるとは情けない」
こいつバカな上に勘働きも良くないのか。
絶対リーダーにさせたくない。
だがおれは無理やり、自分の全てをさらけ出すはめになった。
ヴィンセント・アルトリンデン(30)♂
【職 業】:E級冒険者
【レベル】:44
【体 力】:B[4800 / 5000]
【耐 久】:B[3800 / 5000]
【膂 力】:B[4750 / 5000]
【速 さ】:B[4200 / 5000]
【知 力】:A[1030 / 8000]
【運 気】:D[ 750 / 1000]
【魔 力】:A[3000 / 8000]
【精 神】:S[ 750 / 8000]
【器 用】:A[5800 / 8000]
【スキル】:『デジャブ』(Ex[1000350/ 1000000])
==============
都市迷宮でキングスカルXLを二回、黒死王と一回。
ボリスと二回戦った。それにしてはレベルが上がりにくくなってきたか。
「ほおぅ、これは中々……まぁ、一般的な冒険者としてなら上々ではないか?」
「引っ掛かる言い方だな」
「いや、この調子で宮廷魔導士でも目指せばいいのではないかなと?」
「引退勧告をするな。まだなって数か月だぞ!?」
シンシアからすると、おれが七大迷宮攻略を目指すなど不可能ということか。
「まず、E級なのはなって日が浅いのが原因として、職業は?」
「ああ、おれは前衛でアイテムとか使いながらアシストをする拳闘士だ。探索の際には山賊のようなこともする」
「ああ、なるほど。このスキルでは正式な職業認定試験は受からないか」
「なんだって?」
「ヴィンセント、借りがあるからこんなこと言いたくないのだが、このステータスでは優秀な冒険者はパーティに入らないぞ」
「なんで?」
「【職 業】に職業が書いてないからだ」
「おれの職業はE級冒険者だろ」
「それでは不十分だ。うん、これは私のステータスを見せた方が早いな」
そういってシンシアステータスの写しをもらってきた。
シンシア・スノーホワイト(18)♀
【職 業】:聖騎士・S級冒険者 クルセイダー/パラディン
【レベル】:90
【体 力】:SS[200 / 20000]
【耐 久】:SSS[1500 / 50000]
【膂 力】:A[2000 / 8000]
【速 さ】:D[ 750 / 1000]
【知 力】:C[1480 / 2000]
【運 気】:E[ 350 / 500]
【魔 力】:A[6800 / 8000]
【精 神】:C[ 750 / 2000]
【器 用】:B[1500 / 5000]
【スキル】:『盾・上』(A[4800 / 8000])
『シールドスパイク』(B[3700 / 5000])
『聖・光魔導剣』(A[8000 / 8000])
『聖・光魔導波』(A[4800 / 8000])
『大剣・上』(A[2000 / 8000])
『騎士道精神』(S[8500 / 10000])
==============
「ぐぅ!!」
なんだ、このステータスは!!
圧倒的。
聖騎士にしてS級冒険者。
それにクルセイダー/パラディンというのは……
え? 冒険者の職種ってここに書かれるものなのか?
「私の冒険者としての仕事は聖なる加護と耐久力で壁となり敵の攻撃を阻み、剣で切り伏せるクルセイダーと、聖なる攻撃で敵を討ち祓うパラディンだ」
「これは職業とサブ職業か!?」
「そうだ。どちらも神殿に認められなければ就くことができない。聖騎士で魔法による攻撃も習得していく内に戦い方がクルセイダー/パラディンになっていった」
「おれも何か正式に就かないといけないってことか」
「まぁ、パーティに誘うのにここが空欄の人間がいたら無理だな」
うわぁ、おれ今自分の役割を話したが、自称であって正式には何するかわからない奴になってたのか!
そういえば人のステータスをちゃんと見せてもらったの初めてだ。
くそう、こんなステータスを見せられた後でリーダーなんて言えない。
「クレアは?」
「へ? あ、もうシンシアがリーダーでいいんじゃないかな? リーダーシップあるし」
「いや、クレアもステータスを見せろ。というか、お前自分の男にステータスを見せてこなったのか?」
「はぃぃ、だってぇ~」
もじもじするクレア。
かわいいな。
「ヴィンセントに遠慮する必要はないぞ。さぁ、『鑑定』を受けろ」
「うわぁ、横暴だ! ああ体重差で――痛い! ごめんなさい!」
クレア・ドラグノフ(15)♀
【職 業】:A級冒険者 戦士/巫女
【レベル】:79
【体 力】:S[5500 / 10000]
【耐 久】:S[ 250 / 10000]
【膂 力】:S[8800 / 10000]
【速 さ】:SS[16800 / 20000]
【知 力】:B[3800 / 5000]
【運 気】:SS[18750 / 20000]
【魔 力】:B[3300 / 5000]
【精 神】:D[ 880 / 1000]
【器 用】:E[ 250 / 500]
【スキル】:『加速』(A[8000 / 8000])
『キュア』(D[1000 / 1000])
『ヒール』(C[1500 / 2000])
『リフレッシュ』(C[1200 / 1200])
『炎刃』(B[5000 /5000])
『炎舞』(A[4300 / 8000])
『マテリアルガード』(B[3280 / 5000])
==============
おれは信じられないという顔でクレアをみた。
クレアも気まずそうに視線を泳がせている。
これは自覚がある。
「おい、クレア?」
「なぁにぃー?」
「おれを騙したな」
「だ、騙してないよ?」
「いや無理があるだろ」
やがてクレアは観念したのか、弁明した。
「ごめんなさい! 本当のことをいったらヴィンが遠慮してしまうと思いまして! 既成事実から作って、その後言おうと思ったんですが! はぁ、そのぉ~、すいません、ついこの間成人した15歳です!!」
「15歳? それが何だ?」
若いな。良かったね。
いやそこじゃねー!
「へ? だって、ヴィンは私のこともっと大人の女だと思ってたでしょ?」
「まぁ、少し以外だったが……話を逸らすな!!」
「ええ~!?? じゃあ何で怒ってるの!?」
首を傾げるクレア。
とぼけている顔もかわいいなぁちくしょうめ!
「修行の度に『私の【膂 力】はヴィンとかわらないよ』『【速 さ】も同じぐらいだから捕まえてごらん』『もうへばったの? おかしいな、ステータスの【体 力】は私とそんなに変わらなのになぁ~』って言ってただろ!? ウソじゃねぇーかぁぁ!!」
同じ程度の力なのに手も足も出ず、才能ないのかといつも怖くて死ぬ気で修行してきたんだ。
「ああ!……ごめん、許して?」
「おぉぉい! かわいいから許す!!」
首を傾げながら上目遣いをされた。卑怯なり。
「なんだ、もっと気にすると思った」
「え? 歳が離れているのを気にしていたのか?」
元々コッチはなんでこんな中年に惚れてくれたのかピンと来てないからな。
「――これから成長するクレアも見られるということなら、むしろいいことじゃないか」
「ヴィン……はわわわ」
「感動しているところ悪いが、なんかちょっと変態っぽいぞ」
何言ってる。
貴族ならこれぐらい普通だぞ?
まぁ、今は一般市民だから、あまりないのかもしれないが。
「じゃあ、話を戻そう。申請は『パーフェクトヴィクトリー』でいいか?」
「「絶対ダメ」」
結局、おれの職業がハッキリしていないうちはパーティを組むのは保留になった。




