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転生少女の一生  作者: 鈴木 美玲
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レイの成長

この世界の事を知ろう、と決めてから早7年。私は9歳になった。


この7年で私ができるようになった事はいくつかある。


まず1つ目は、剣術。

剣術といっても、護身術レベルだけど。最初はカーチェ(私が2歳の時にお母様から助けてくれたメイド)を含め、使用人やお父様に反対された。それでも、お父様が帰ってくるたびにせがみ続けて、7歳の時にやっと了承してもらえた。


私にはまだ剣を振るう力はまだ無いから、相手の斬撃を受け流す為の技術を中心にお父様に教わっている。


2つ目は、魔法。

私のお父様はどうやら相当高い位にいたらしく。なんでもバスティア王国(私の暮らす国、世界最大の王国)1の魔法使いなんだとか。そして、頭もキレるらしく国王陛下にこき使われる日々なのだとか。私が成長するにつれて、いろいろな事を話してくれるようになった。



それはさておき、この世界における魔法とは、火、水、風、地の4つの属性から成る。魔法はこの世界の人間ならば、誰でも使う事ができるが、魔力量は個人の素質と努力によって変わってくる。


4つの属性の中で私が最も相性がよかったのが、水だ。お父様によれば私を産んですぐに亡くなってしまったお母様が得意としていたのも水属性だったそうだ。その話を聞いた時凄く嬉しかった。お母様が私を見守ってくれるような気がして。


まだまだ私にできる事は少ないけれど、これからも頑張っていこう。


「レイ様、よろしいですか?」


カーチェが私に声を掛けてきた。その表情を見て、何の用で呼びに来たのかわかってしまった。


「カーチェ、大丈夫だから。そんな顔しないで?」


苦しげに顔を歪めるカーチェに申し訳ない気持ちで一杯になる。

カーチェがそんな顔をしている理由は、簡単。

私が今のお母様に呼び出されたからだ。呼び出されてされる事は決まってる。躾という名のストレス発散だ。私が2歳の時危惧した事が現実となっている。お母様の暴力は年々酷くなって、今となっては、私の体の服で見えるところ以外は、あざで埋まってしまっている。また、呼び出される頻度も多くなった。私が成長して、多少やり過ぎても耐えられると思ったんだろう。私は我慢できるからいい。でも、その度にカーチェが辛そうな顔をする。カーチェは悪くないのに、それどころか私を護ってくれているのに…。


カーチェは私がお母様に暴力を振るわれていると、さりげなくお母様を呼んで私から引き離してくれていた。そのおかげで、今までそこまで大きな傷を負ったことはない。だから、カーチェが責任を感じる事はないのに…。元々私は前世の記憶があるからか、痛みに慣れているみたいだし。


私はお母様のところに歩みを進めながら、カーチェに申し訳ない気持ちで一杯だった。


「…お母様、レイです。」

「遅いのよっ‼︎」


お母様の部屋のドアをノックしながら声を掛けると、イラついた様子のお母様がドアの目の前で待ち構えていた。私の腕を掴んで部屋の中に引っ張りこむと、床に向かって投げた。


「全く!私が呼んだらすぐ来なさいよ‼︎」


今度はどんな嫌な事があったんだろう。何時にもまして機嫌が悪い。

なるべく、機嫌を損ねないようにしないと。


「申し訳ありません。自室で、魔法の練習をしておりました。」


そのまま私は床に膝をついて、頭を下げる。


「言い訳なんていらないのよ‼︎口答えしないで!」


すると、お母様は私の横っ腹に向かって、蹴りを入れてきた。


「あんたさえいなければ、ガゼル様は私だけを愛してくれるのに‼︎あんたがいるから、私が愛されないのよ‼︎

あんた如きが私の邪魔をしないでっ!」


私がいつお母様の邪魔をしたんだ。お母様が勝手に勘違いをしているだけじゃないか。お父様ガゼル・シンフォートは忙しいだけだ。私だって会いたいけど、我慢しているというのに。何故大人の貴方が我慢出来ない?


そう心の中で思っていても、表情に出してはいけない。出したら、お母様の機嫌をさらに悪くしてしまう。

だから、私は床で頭を下げたまま、言葉を紡ぐ。


「申し訳ありません。以後このような事がないように致します。」


するとお母様は顔を赤くして、更に怒鳴り散らし始めた。


「っあんたのそういう所が嫌いなのよ‼︎いつもいつも無表情で、淡々と言葉を紡ぐだけで!気味が悪いのよ‼︎」


お母様は何処か怯えたような声だった。私がゆっくりと顔を上げると、びくりと肩を震わせて、後ずさった。お母様の瞳の中にあるのは、私に対する畏怖、恐怖。それらが全てだった。


「なっ何よ‼︎何か言いたいことでもあるの⁉︎」


何を言っても聞く気は無いくせに、よく言う。でも、言いたい事がない訳ではない。


「お母様は、お父様をどうしたいのですか?」


そう小さく投げ掛けた言葉は、2人しかいない部屋に響いた。


「お父様に愛して欲しいのなら、そう口にすれば良いではないですか。」


私は前世で言葉にしようとする努力をしなかった。しても変わったのかどうかは分からないけれど。何もしなかった事は後悔している。だからという訳ではないけど、お母様には後悔して欲しくない。

だから私は言葉を紡ぐ。


「言葉にしなければ何も伝わりません。行動しなければ何も変わりません。」

「っそんな事っ‼︎わかってるわよ‼︎」


お母様はそのまま踵を返して部屋から出て行った。

お母様…、私が前世を思い出してからどんどん痩せていってる。大丈夫かな…。




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