シンフォート家 1
私は死んだ…はずだよね?どういう事だ?
落ち着こう。私は死んだ、両親の虐待によって。それは確かなはず。
なら何故私は今大きな天蓋付きのベッドで横になっているのだろう。それに、何だか記憶が2つあるようだ。1つは私のもの、そしてもう1つはこの体の記憶?
今わかる事は、私は今レイ・シンフオート、2歳。公爵家の令嬢。そして、現在原因不明の高熱に魘されているという事だ。
うん、私は今のこの体レイ・シンフォートの体に違和感はない。つまり、前世の記憶を思い出した、そんなところか。
それよりも、公爵って王様の次に偉い貴族様だよね?随分と位の高い家に生まれたな。前世とは大違い。どうしよかな。まだ2歳だけど、前世を思い出したからもう普通の子供は演じられない。てか、前世思い出して普通の子供を演じられたら凄いよね。しかも、前世が前世だし、知識は人一倍あるって事は理解してる。まぁ、なるようになるか。
ガチャ
「レイ、入るわよ」
凄く美人な人が入って来た。銀髪で緩いウェーブがかかった髪をハーフアップにしていて、落ち着いた大人の女性、まさにそんな感じだ。うん、この人私のお母さんだよね。クラリス・シンフォート、美人過ぎる。どうしよう、どうやって接したらいいかわからないんだけど…。
「レイの様子は?」
近くにいたメイドに話しかける。お母さん。
「まだ熱は下がりませんが、先日よりも安定してきています。」
「そう、良かったわ…。」
ホッとしたように息を吐いた、そんな憂い顔でさえ美しかった。
「私が後は見ているから、下がっていいわ。ありがとうね。」
「はい、失礼致します。」
そう言って恭しく頭を下げると、メイドは部屋を出て行った。
お母さんは、メイドが出て行くのを見送ると私の寝ているベッドに近づいてきた。
「レイ…。」
お母さんが優しげな笑顔で私に手を伸ばしてきた、そしてそのまま頭を撫でられる
そう思った手は私の口を塞いでいた。
「んっ‼︎」
私は思わず声を漏らした。そんな私を見てお母さんは憎々しげに言葉を紡いだ。
「もう、あんた何やってんのよ。熱?ふざけんじゃ無いわよ。あんたのせいで今夜のパーティーがキャンセルになったじゃない!私の権力を知らしめるいい機会だったのに‼︎あの人もあの人よ!あんたが熱を出したくらいでパーティーを中止して薬を買いに行って!バカじゃ無いの⁉︎なんで私が前妻の子供のあんたなんかに、邪魔されなきゃいけないの‼︎‼︎」
そしてそのまま私の口を塞いだ手に力を込める。
「んぅう…」
私のこもった声が部屋に木霊する。
やっぱりな。そんな風に思う私は異常なのかもしれない。前世であんな生活をしていたら仕方ないのかもしれないけどさ。でも、何処かで期待してたんだよ。もしかしたら、この世界では私を誰かが愛してくれるんじゃないかって。そう思ったら涙が出てきた。中身が高校生でも、身体は幼児だからね、涙腺がゆるいみたいだ。
「何泣いてるのよ。私が悪いことしてるみたいじゃない。だいたい」
コンコン
お母さんがまた悪態をつこうと口を開いたとき、タイミング良く誰かが部屋のドアをノックした。
「奥様、夕食の準備が整いました。」




