↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/28

15話

放課後、マリアは一人で中庭の池の畔のガゼボにマリアは来ていた。

ローラに相談しようとも思ったが、巻き込む可能性もありマリアはローラに話す事はしなかった。


池の周辺には涼みに来たのか、チラホラと生徒の姿が見える。

この池は実習のために、それなりに広くて深い池だ。

凍らせたり、蒸発させたり、水中訓練なども行うため魚類など生物は生息してはいないが、浄化を常時行っているため、覗きこめば自分の顔が映るほど池自体が澄んでいて透明度も高い。


校舎からもそれなりに離れているため、それ程生徒も多くなく、落ち着いて話せるだろう。

だがしかし、近くに人がいないのも少し心細くあり、ローラに一言だけでも伝えとくべきだったと反省している。


先に着いていたマリアはガゼボに浅く腰掛けて、シルヴィアの到着を待った。

この辺りは樹々も青々と生い茂り、木陰のある場所の方が多いため暑くなってきたのを忘れそうなほど涼しい。


マリアはシルヴィアのことをよく知らない為、どんな事を言われるのか少し緊張気味である。

以前、ゼフィサスに聞いた時は付き纏われて困っていると言っていたが、それ以降もあまり変わりのないようで、ゼフィサスはマリアに何度か愚痴っていた。

ゼフィサスに好意を持っている事は明白であり、態々マリアに声をかけて来たということは、行動力はあるのだろう。

ただ、激情型で無い事だけ願うばかりである。


マリアは校舎の方を座ったまま眺めていると、背筋を伸ばし堂々と歩いてくるシルヴィアの姿が見えた。

この場にいる事を示すためにマリアは立ち上がり、シルヴィアへと目を向けた。


威風堂々と歩いてくる様は歳下には思えない貫禄がある。


「こんにちは、シルヴィアさん。話ってなに?」


しかし、マリアだって引く気はない。

もり理不尽な事を言われたり、変な言いがかりで喧嘩を売られたら買う。

ただそれだけだ。

そのために、マリアは綺麗な笑顔をつくり、首を傾げてシルヴィアを迎え撃つ。


「貴方とゼフ先輩がこの間一緒に帰っている所を見ました!どういう関係ですか?」

「どうと言われても・・・先輩、後輩としか答えようが無いんだけど。図書室で時々お話しする事はあるけど」

「なら、なんでゼフ先輩は貴方といる時、笑っていたのよ!いつも無表情なのに!」

「私に言われても・・・、私の話が面白かったんじゃないの?」


確かに最近ゼフィサスには笑顔が増えたと思う。

ただ、笑顔を見せてもらえないと怒るなら、シルヴィアとの会話がゼフィサスにとって面白くないだけなのではないだろうか。

しかし、それを口にすれば火に油を注ぐことになりそうなため喉で止めた。


「私の方がゼフの隣に立った時、美男美女でお似合いだわ!きっとゼフもあなたの事を迷惑しているのよ!そんな事もわかっていないの?・・・可哀想な人!!それに、あなたみたいな成績もパッとしない人はゼフに相応しく無い!ゼフに近づかないで、ブス!」


美男美女の下りと成績の部分は確かにそうかもしれないが、他の部分がどうにも自分勝手だ。

一方的な暴言に冷静に対処しようしているが、沸々と腹の底から怒りが湧いてくる。

しかも、ただゼフィサスと一緒に帰っただけという理由から。

もし、シルヴィアがゼフィサスの彼女だと言うなら、マリアにも勘違いさせた責任があるかもしれない。

しかし、シルヴィアの完全なる片思いだ。

盲信的に恋慕うのは勝手だが、なぜそこまでマリアが責められないといけないのか・・・。

なによりも最後の一言・・・不必要な暴言にカチンとマリアの中で何かが外れた。


「あーあー、そうですか。自分が相手にされないからって、いちいち突っかからないでくれる?そりゃー、美人だし自分に自信があるんだろうけど、選ぶ権利があるのはお相手の方でしょ?私を今排除したところで、貴方が選ばれる保証はないのに、頭大丈夫?てか、先輩と付き合ってんの?付き合ってないのに、こんなことしてるんだったら、頭に色々湧いてるんじゃ無い?大丈夫デスカー?」


マリアは最後一応心配の言葉を伝えたが、感情はこめていない。

ワナワナと震え怒りを爆発させそうなシルヴィアを見て、マリアは少し眉顰めた。

もちろん、言い過ぎなところは、あるだろうが言われっぱなしは性に合わない。

何も言い返してこないシルヴィアへ逃げる様に声をかけた。


「先輩が好きなら先輩と向き合いなよ。じゃぁね、私帰る」


このガゼボは柵で囲われており出入り口は2ヶ所だ。その一ヶ所はシルヴィアの後ろにあり、シルヴィアの横は一人分通れる程度の幅はあったが、通り過ぎるのは危険な気がした。

マリアは仕方なく自分の後ろの出入り口から早足で立ち去ろうとガゼボから出て2、3歩あるいいたタイミングでシルヴィアに腕を掴まれた。


「まって!」


マリアは振り払おうと身体を捻った。

ここは池のほとりだ。

振り払った拍子に、湿地に足を取られ踏ん張ろうと足に力を入れたばかりに、片足を内向きに捻った。

そのまま倒れない様にとあわてて足を地面につき踏ん張り直そうとした時に胸に衝撃がかかり、そのまま後ろへと倒れ行った。


目の前には涙目のシルヴィア手を突き出して、マリアを睨んでいた。


(泣きたいのはこっちだ!)


スローモーションの様にマリアの目の前からシルヴィアが消えて、生い茂った葉と葉の隙間から綺麗な青い空が見える。

一瞬だけ、昂っていた気持ちがその空の青と風に揺れる葉の碧で穏やかになる。


背後が池なのはわかっているため、それほど痛みはないだろう。

それよりも、水浴びできてラッキーかも・・・なんて事をマリアは考えながらすごい音と水飛沫と共に池に入水(にゅうすい)した。


背中を水面に打ち付け、覚悟していたよりも痛みは強かった。

そのまま、痛みで動けずにいれば、少しずつ水中へと沈んでいく。

身体が動かせるレベルまで痛みが和らぎ、マリアは泳いで水面に上昇して岸まで行こうと足をバタつかせた瞬間、捻った足首に痛みが走る。


(痛っ!!)


その痛みに思わず口を開いてしまい、水を飲み込んでしまう。


(やばい・・・)


水中では呪文も唱える事が出来ずなす術がない。

動けば身体の酸素が速く失われる。

マリアから水面が遠ざかって行き、少しずつ意識が薄れて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。