↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/48

第3章:燃えない樹液

 静まり返った洞窟の中、レクスは怪物の残骸の前にしゃがみ込んだ。

 崩れ落ちた枯れ木のような肉体。その中心部、砕けた結晶の奥に、奇妙なものが埋まっているのを見つける。


「……なんだ、これは」


 手を伸ばし、泥まみれの繊維をむしり取る。

 引きずり出したのは、大人の握り拳ほどの大きさをした、青白く透き通る木片だった。

 植物であるはずなのに、触れると金属のように冷たく、ずっしりとした重みがある。


 迷宮の深部でしか採れない稀少素材――『氷液の髄木』だ。


 魔力を帯びた冷気を放ち続けるこの木は、一流の鍛冶師が極上の武器を鍛える際、金属を急冷するための特別な触媒として高値で取引される。

 ただの武器よりも、こうした「職人が喉から手が出るほど欲しがる素材」の方が、裏ルートで確実に、しかも高く売れる。


「上出来だ。これなら、ガザルの親父への借りを返しても、しばらくは白い飯が食える」


 財布の軽さを思い出し、レクスの口元にようやく自然な笑みが浮かんだ。

 チート武器で無双するより、明日生き延びるための金。それが、この地獄のような迷宮で掴み取った最初の果実だった。


 レクスは冷たい木片をボロい布で丁寧に包み、懐深くへと仕舞い込んだ。

 だが、安堵したのも束の間。冷気の匂いに誘われるように、通路の奥から新たな足音が近づいてくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。