第十四話 やっとファンタジー感出てきた
今日用時つまってて1話だけですごめん-----
店内は古びたカフェといった感じで、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
ただ、テーブルや椅子、コーヒーの香りの代わりに、本棚と本、本の香りが立ち込めている。
本の多くは古びた表紙だが、ここ最近出された本もあるようで、様々な背表紙が乱立していた。
絶妙に本棚に隙間があるからか、そこに何か入れたくなる。
その思いはぐっと我慢して、まっすぐ進むとカウンターが見えてくる。
そこには、金髪の女の子が何やら本の整理をしながら店番をしていた。
こちらに気付くと、にやり、と笑う。
「どしたのお二人さん。彼女?」
「いえ通りすがりです」
朱夏は流石に即座に否定した。
何回弄られるねん。
その即答に彼女はケラケラと笑い…。
そこで朱夏は気づく。
彼女の耳が長くとがっていることに。
そこではっとする。
エルフだ‥‥!!
今まで文章でなんとなくファンタジー感を感じてはいたが、ここまで明確に感じたのは初だ。
時々ラノベではエルフが悪役なこともあるけど、この世界のエルフはいい子に違いない!
なんとなくそう思った。
「アハハッ・・・そんなにこの二人の彼女嫌?二人ともイケメンだと思うけどなぁ」
「知り合いにもっとイケメンいるんで」
そうやって言葉が滑り落ちてから、人というのは自分の言ったことを自覚するものである。
朱夏は気づいた。
自分が氷人のことを思い浮かべつつそう言ったことに。
(あ゛ぁあああああ~~~~~~何言ってんだうち・・・・)
ボッと顔を赤らめた朱夏におや、とエルフは笑う。
「どーやら想い人がいたっぽいね~。失敬失敬。私はクラリス。ここの店主の妹」
そう言うとクラリスはカザンに目を移す。
「今日もお花?ありがとぉ~」
「ふふ、前回来てからずいぶん経ったからね。枯れたら捨ててもいいんだよ?」
朱夏はクラリスの近くにある花瓶を見る。
確かに、もう花の生気はなさそうだ。茶色く変色しかけている。
それをちらっと見て、クラリスはアハハ~と笑う。
「もし捨てて君が一生来なかったらどうするつもり?いつ死んでもおかしくないし、歴史に埋もれていくんだよ?私も忘れるかも…友達のことは覚えておきたいでしょ?」
その発言で、そういえばエルフって長寿だったな…と朱夏は思いなおした。
二次元では魔法が得意で、容姿端麗で、賢い‥そういう面がピックアップされがちだ。
だけど、確かに人間は寿命が短いのだろうし、友達を次々と忘れて行っても仕方のない気はする。
「そうか。…うん、うれしいよ」
そう言いつつ花を手渡すカザン。それを受け取り、クラリスは手元のベルを鳴らした。
手元、と言っても色々なベルがあるので、その中のうち一つを選んでならした、が正しい。
すると、すぐにぱたぱたと足音が響く。
すると、白髪で紅の目を持ったエルフの少女がやってきた。
どうやら彼女が店主の様である。
「デルタさんいらっしゃいませ!おや、彼女さんで…」
「違います」
「ですよね。デルタさんからそう言った話は聞いたことがないので」
ふふっと聖母のように笑う彼女。
髪色___おそらくアルビノなので肌も白い彼女の雰囲気とも相まって、どこか神々しさを感じる。
「魔法屋エリックの店主のマリアです。妹共々よろしくお願いします」
いや名前まんまかーい。
マジで聖母様じゃん。確かにカザンさんマリアって言ってたけど。忘れてた。
朱夏が名前に関して思考している間に、カザンさん同様にデルタさんが花束を渡し始める。
「おっと、俺はそろそろ集合時間だからお暇するよ。ヒバナに怒られる」
「また来なよー」
扉の鈴がリンリンと鳴り響き、そのまま扉の閉まる軽い音と共に彼は去っていった。
その光景をぼんやりとみていると、クラリスが朱夏に話しかける。
「君見ない顔だよね。国外の人?」
「ええ、まあ。最近こちらに移ってきたんです。それまではどの国にも属さずに生活していたので」
間違っちゃいない。日本はこの世界にないわけだし。最近こちらに移ってきたのは間違ってない。事実は事実であるが、嘘でもある。
「ふーん。一人?」
「いや、5人で」
そう言うと「はー」と彼女は感嘆した様な声を出した。
「初期装備でよく生きてきたねー」
ギクッ…。まあ確かに。
「極力モンスターに出会わないようにしてるので」
とりあえずそういうことにしておいた。うん。
すると、話が終わったらしく、デルタさんも退出していった。
「さて、お待たせしました‥‥。失礼ですが、お名前をうかがっても?」
「本当に今更感ありますね…波風朱夏です。よろしくお願いします」
「もー、別に敬語じゃなくていいんだよ~緩~く行こう緩~く」
クラリスがのびのびとした声でそういう。
善処します…と朱夏は敬語で返した。
「今日はどのようなご用事で?」
「ああ、私魔法使いなんでこれからどういう成長の仕方をすればいいのかなと」
あ~、とマリアはうなる。
数秒考えた後、マリアは口を開く。
「まず属性適正を見たほうがよろしいかと思います」
「属性適正…文字通りの意味で?」
「ええ…まあすぐ終わりますので」
そう言ってマリアは笑い、超怪しげな魔法陣を引っ張り出した。
あれ、私、今から生贄にされるのかな?と不覚にも朱夏は思ったという。




